ありがとう、と、ごめんなさい。
ずっと言えなかった本音がある。
買ってくれたあなたへ。
ありがとう。
…そして…
ごめんなさい…。
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わたしは、2006年から自分が作った作品を販売することを仕事にしている。
本当に、たくさんの方々のおかげで続けていくことができている。
仕事にさせていただいている以上、
魅力を感じて
お金を支払ってくださる方々がいるから
続けていくことができる。
だから、毎回、その時の精一杯を出している。
…はずだけど、
長年続けていくとできることが増えてくる。
過去のわたしにはできなかった可能性が広がる。
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はじめた頃から創り続けているシリーズがある。
デザインはそのままに、
仕様や素材など細かにリニューアルして
より良くなってきている。
すごくいいな、と思うと同時に
昔のモノを買ってくださった皆様の分を
全部交換したい気持ちが押し寄せてくる。
常にその時の精一杯のはずだけど、
やっぱり先の未来ではより良くなるものが多い。
自分の手で作っていくものだからこそ
常に感謝と、申し訳ない気持ちと、
複雑な想いが入り混じる。
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実はずいぶん長い間、スランプだった。
出産を期に自分の好きな時間で動けなくなったとき、夜に製作やアイディアが捗る私は手がとまった。
さらに、もともと子供が好きで、ずっと逢いたかった我が子はタイヘンでかわいくて、気持ちがそちらに集中した。
創るのが好きで始めた仕事。
〝好き〝だけが原動力だから
気持ちにかなり左右されてしまった。
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本当は1度休んで、子供の手が離れてから再開しようと思った。
でも、1度離れると戻るのは難しいから、とアドバイスをもらい、できる範囲でも続けよう、と思い直し今がある。
本当に続けててよかった。
だけど、昔のように、
すべての気持ちを注いでたあの頃のようにできない後ろめたさはずっと、ずっと側にある。
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息子も、だいぶ手の離れる年頃になってきた。
だからといって、
あの頃のように、
全情熱を作品製作だけに向ける心持ちには
もう、なれないかもしれない。
手が離れても、気持ちはやっぱり離れない。
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しかしながら、作品を創るその時間は
そこに意識が集中してしまう。
今の限界だとしても、その時出来る1番に仕上がるよう、個人だからこそできる物創りの価値を表現できるよう全力を尽くす。
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ありがとう、と、ごめんなさい。
ごめんなさい、を感じなくなる日は来るだろうか。
買ってくれた、そして、買ってくれて、その上、たくさんの幸せをくれるあなたへ。
たくさん、たくさん、たくさんのあなた、あなた、あなた、へ。
いつの未来と比べても、これが1番!と思える作品を手渡すことができず、にもかかわらず、すべての時間をその為の努力に費やすこともできず…ごめんなさい。
それでも、作品を気に入ってくれて、買ってくれて、本当に…本当にありがとう!
いつまでも、その笑顔に出逢えるよう、これからも創りつづけます。
そして、その先で、〝ごめんなさい〝を手放して、いいバランスで創作と向き合える自分になりたい。
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楽しく幸せな気持ちで手にとってほしいから、
実際には面と向かってお伝えすることはしたくない。だけど、胸につっかえていた本当の気持ち。
たくさんの感謝を込めて。
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