2020年ボカロPベスト5

ただいまこんばんは。マイナーボカロリスナーのutakikiです。もっか年間10選の選曲のために、いろいろ聴きなおしているところなのですが、いやー なかなか2020はすごいですね。近年稀にみる豊穣と言えるのではないでしょうか。なんとなく2014や2015のような雰囲気が戻ってきたようで、嬉しい限りです。もっとも当時ほどには、ボカロ世界に身を浸していないので、いろいろ見落としている違いもあるのでしょうが。

さてそんなわけで、10選の選曲もめでたく難航しているのですが、箸休め的に2020のボカロシーンを盛りあげたPの皆さんを、僭越にもランキング形式で紹介してみたいと思いますw

1.半人間

もう文句なしですね。トップは、半人間さんを置いて他にはないでしょう。毎月のようにオリジナル曲を投稿しているうえに、若干ばらつきはあるものの、全体的に楽曲クオリティもかなり高い。投稿履歴を遡ると、2014から投稿しているのですが、去年までPとして認識してませんでした。それだけ2020に飛躍してきたと言っていいでしょう……
とここまで書いてから、ツイッターのPFを見てみたら、プロのミュージシャンなんですね。そりゃレベルが高いわけで、ボカロでも本気をだしてきたといったところでしょうか。もともと芸達者なかたのようですが、ボカロに関して言えば、このかたの持ち味はエレクトロ方面だと思うので、そこに重点を置いてきたのがよかったように思います。すぐれて音響的なエレクトロ作品に、初音ミクの歌唱がそのまま交錯すれば、これはもう最高になるはずでしょう。

つい先日には、アルバム「2020 HAS GONE」も発表されています。タイトルの通り、2020の半人間さん総まとめといった体になっているようです。ご傾聴ください。

2.ふるがね

「イノセンス」という若干手垢のついた言葉も、新しい創作者が現れれば、また新しい命が吹き込まれるというもの。2020にそれを示したのは、誰よりふるがねさんと言っていいでしょう。人間はおもしろい生き物だ。そんなあたり前のことに、大感激してみせる。まさにイノセンスの真骨頂ではないか。

しかしこのかたの魅力は、なにも箱庭のようなイノセンスばかりではない。それと同等の強度をたもちながら、ひとつの世界観のある歌ものにまとめてみせた「考えても夢現」を聴けば、このPさんのポテンシャルに誰しも驚くのではなかろうか。

それもこみであえての2位に押してゆきたい。

3.いよわ

マイナーボカロと言うには、あまりに有名なPですが。今ではよくもわるくも、ボカロそのものが、マイナー邦楽シーンみたいな位置づけになってきているご時勢ですから、つまらない線引きにはこだわらないことにしましょう。ともかくも、彗星のごとくシーンを席巻した2019にひきつづいて、不協和音なポップミュージックを鳴らすことにかけては、他の追随を許さないのがいよわさんですね。何より、有名ボカロPの楽曲にありがちな、いかにも狙ってるなあという嫌味が、このかたの楽曲にはほとんど感じられない。純粋に音楽的な素晴らしさ・面白さ・可能性を追いかける姿勢には、ひそかに共感しております。

とはいえ、2020のボカロシーンでは、いよわリスペクトな楽曲も散見されるようになりました。それはひとつの文脈ではありますが、そういったフォローワーも蹴散らすような、さらなる飛躍を楽しみにしたい。

4.ごーぶす

コンスタントな投稿で、ここ数年にわたってシーンを支えてきた、知る人は誰でも知ってる中堅ボカロPさんですね。一握りの有名Pより、こういう中堅Pの層の厚さこそが、ボカロシーンの宝だと思いますが。それはそれとして。ぼんやりしていると、ごーぶすさんは今年も安定してたねぐらいに評価している人もいるかもしれません。甘いな、おぬしw
実はわたくしは新曲チェックの際には、音色というものを相応に重視しておりまして(広義にはボカロの調教も含む)、それは必ずしもハイクオリティならいいというものではなく、楽曲によってはローファイのセンスが求められもするわけです。まさにその音色という点で、2020にごーぶすさんの成長は著しかったと思うわけですよ。奥ゆきがでてきたというか。もっと評価されるべしですね。

ま、このクオリティの楽曲を量で殴ってくるあたりが、選出の主たる理由ではありますがw

5.ちるだ

ヒット曲シーンのボカロ戦争(ボカロキャラの覇権争い)が今ではどんな変遷を迎えたのか、さっぱりわからなくなってしまいましたが、さすがに歌愛ユキが覇権に喰いこんだという話は、寡聞にして聞こえてきません。でもだから何だというのか。愛すべきVOCALOIDがあって、それを愛するPがいて、その楽曲を愛するリスナーがいるならば、それでもう素晴らしいことではないか。ちるださんは、たとえ小なりとはいえ、そのささやかな世界の主役の一人でしょう。

こちらは色葉カエデさんとの共作ということです。甘酸っぱいメロディをユキちゃんに歌わせると、ミクとはまた違った味がしてたまりませんね。

……

さてここまで、とあるマイナーボカロリスナーの主観的な視点から、ボカロシーンに対する貢献という客観的な評価も加味して、2020年ボカロPベスト5を選考してみました。しかし残念ながらというか、いやむしろ喜ぶべきなのか、これだけではボカロシーンの全体像を抑えられた感がまったくありませんねw
冒頭で2014・15を引きあいにだしましたが、当時との違いで言えば、年間1曲か2曲ぐらいしか投稿しない人まで含めて、ボカロPの裾野がますます広くなっているというのはあるかもしれません。「焼け野原」と言われることもある2014・15は、逆に美味しいところが濃く濃縮されていたような、今にして思うとそんな感じもします。もっともそれは時間の経過が生みだしたバイアスにすぎないかもしれません。またいずれ当時の楽曲もじっくり聴きなおしたいものです。

そんなこんなで、2021も楽しく気楽に新曲チェックをつづけてゆくつもりです。「Early VOCALOID」ともどもどうぞよろしく。

それでは、2020年間ボカロ曲10選もお楽しみに。まだしばらく時間がかかりそうですが。

(1月29日最終更新)

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