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ハンカチ             ――画像しりとりはじめました(#65)

(#64) 速度違反→「はん」→ハンカチ

「これ落としましたよ」「まぁありがとう」作戦に
見合うイケメンを、只今、虎視眈々と物色中



説明しよう。
「これ落としましたよ」「まぁありがとう」作戦とは、
主として女性が気に入った男性とお近づきになり親交を深めようとする際に用いる、古式ゆかしい逆ナンパのメソッドである。

手順は概ね次のとおり。 

  1.  標的ターゲットの男性とすれ違いざまに、さりげなくハンカチを落とす。

  2.  標的ターゲットの男性がそれに気づき「あの、これ落としましたよ」と拾ってくれる。

  3.  それに対して「まぁありがとう。親切なお方。ぜひともお礼させてくださいな。」

  4.  「そんな。たかがハンカチーフひとつで、大げさですよ」

  5.  「いえ。このハンカチーフは亡き祖母の大切な大切な形見なのです。このまま何のお礼もしないだなんて、祖母に叱られてしまいますわ」

  6.  「そうだったんですか」

  7.  「そうだったんです。どうでせう。これからお食事でも――」

――とまあ、基本はこのような流れである。さて、その伝統ある古式ゆかしき逆ナンパ作戦により成果が得られるのか。
樹里お嬢様の運命やいかに( ̄∀ ̄)


「いいこと、セバスチャン。今日こそ、このわたくしに相応しいイケメンの王子さまをゲットするわよ」

「は。お嬢さま。今宵のパーティーには、各界の"王子"が多数ご出席とのこと。このセバスチャン、そう聞き及んでおります」

「そう、それはいいことね。期待大だわ♪」

「お嬢さま。早速、最初の王子でございます」

「まあ。そこそこのイケメンさんじゃない。彼は?」

ハンカチ王子でございます」

「ハンカチ王子?(・_・)?」

「2006年の夏の甲子園大会で、早稲田実業高等学校を優勝に導いたエース・斎藤佑樹投手であります。決勝戦では延長15回でも決着がつかず引き分け再試合になる等の激闘を投げぬき、一大会での投球回数69、投球数948というのは、いまだに破られていない大会記録となっております。

なお、試合中に汗を拭う際に、手やユニフォームではなく、ポケットに忍ばせているハンカチを使うという独特の所作が女子ウケ、バッチグーでございます」

「あらホント。爽やかじゃない♪ それでハンカチ王子なのね」

「はい。彼は、その後、系列の早稲田大学に進学、東京六大学史上6人目となる通算30勝300奪三振を達成する等、類まれな活躍を経て、2010年のドラフト会議で4球団が競合する中、北海道日本ハムファイターズにドラフト1位で入団しております」

「へえ、すごいのねえ。じゃあ、プロ野球でもさぞ活躍したんでしょうね」

「は。これが彼の11年間の通算成績でございます。
89試合 15勝26敗 防御率4.34 WHIP1.59 奪三振209 与四死球171

「ちょっと待って。11年で15勝?1がひとケタ抜けてるのでなくて?」

「残念ながら、プロ入り後、投手としては致命的な右肩関節唇損傷、他にも股関節の故障、最後には右肘内側側副靱帯断裂、と相次ぐ故障に悩まされ続けたプロ野球人生だったようです」

「そう……悲しいわね」

「ですが、現役を退いた今や、『株式会社斎藤佑樹』を立ち上げ、実業家としてのセカンドキャリアを着々ドンチャックで歩み始めておりますぞ」

「へえ、やるじゃない。会社名は正直ビミョーだけどw」

「しかも、彼はしゃべると滑舌も悪く、人気者のさがというもので、悪しざまに罵るアンチファンも一定数いますが、とりあえず人望はあるようです。

これは2021年10月に行われた彼の引退セレモニーの一部ですが、彼のプロ野球人生の後半の主戦場となった千葉の二軍施設、鎌ケ谷スタジアムで撮られた、ファームの後輩たちによる『勇気100%』の合唱Vです」

「あら……なかなかイカした後輩たちじゃない。てか、ホント、ずいぶんと慕われてたのね。時折、なんかヘンな子もいるみたいだけど、こんな送り出し方って、泣けるじゃない(T_T)

それにほら、一列になって肩組んで歌ってるのに、右端で一人だけノリノリになってる子、なんか格別に楽しそうね(≧▽≦)」

「ああ、今井順之助ですね。彼は、このVTRを撮って半月もしないうちに

戦力外通告

を受けます」

「……ノリノリで踊ってる場合じゃないじゃない……(*´Д`)」

「それはさておき、このハンカチ王子、今や実業家でもあります。これからの将来性も鑑みて先行投資の価値は十分あると存じますが」

「そうね……でも、この作戦では落とせそうもないのでやめておくわ」

「???」

わたくしがハンカチ落としても、この方、拾ってそのままわたくしに返しもせず、ご自分の汗を拭いてたりするのじゃなくて?」


「……次の王子さまのご登場でございます」

「この方は?」

直球破壊王子でございます」

「直球破壊王子?? なにそれw てか、こういっちゃなんだけど、お顔立ちというかたたずまいというか、『王子』感、乏しくない?」

「は。
彼――渡邉諒は、この相貌から、一部のファンの間で「やんごとなき」を枕詞にした語られ方をするようになり、そのうちエスカレートして『王子』と半ば揶揄して言われていたのです。

ところが、そんな皮肉な用法がオリジンとも知らぬ一部のミーハーな女性ファンや、ろくに語源も調べないようなマスコミの一部によって、160km/hを超えるような速球も苦にせず打ち返す特徴とくっつけて『直球破壊王子』が誕生したというわけです」

本物のやんごとなきお方

「んー……ビミョーねえ。でもまあ、野球の実力さえ確かなら、将来性は有望よね。成績はどうなの?『直球破壊王子』というくらいだから、さぞやホームランをたくさん打っているでせうね」

「彼のシーズンキャリアハイは2019年に放った11本です。ちなみに一軍での通算本塁打は28本ですな」

「……少なくない? てか、その11本打った年から、6本、3本ときて、今年はホームランまだゼロってww 全然、破壊できてないじゃないw」

「彼はその分、『不動のセカンド』とか『カラーコーン』とかいって酷評されるザル守備で、

味方投手の防御率を絶賛破壊ちう

であります」

「……全然ダメぢゃないの……(・_・)
ていうか、野球選手ばっかじゃない?
他のジャンルの王子さまはいないの?」


「なるほど。確かにそうですね。
……おっ♪ お嬢さま、今度こそ本物の王子さまの降臨でございます」

「本物すぎるでしょ!
てか、そもそも妻帯者じゃない。このわたくしに不倫しろっていうの?
いやいや、不倫のレベルが高すぎるわ。こんなの、フツーに国際問題じゃない。命がいくつあっても足りないわ! 次よ、次!」


「…………ちょっと💢
そもそも王子じゃなくて国王じゃない!」

「……今度は、一体全体なんの王子さまなのよ!」

「この方は、DJケミカル。こう見えてミュージシャンのようです。えー、彼は、生まれも育ちも東京都八王子でございます」

「……もういい、帰る」


樹里お嬢さまのイケメン王子さま探しは、まだまだ道半ばのようである。


おっと、今宵ももうこんな時間だ。
王子のもとへ呪符を届けに行かなければ。

そんなこんなで、お出かけの際にはハンカチを忘れずに。
明日も、なるべく多くの人が、備えあれば患いなしを体感できるような安心安全第一な一日でありますよう


■ おまけ

今回の画像しりとり列車 (65両目) の前の車両です。タイトル「速度違反」と右下のネタ画像で、なにこれ?て引っかかりを覚えた方がおられましたら、時間が許すような時にでも、覗いてみてやってください。


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