【詩】いつもと違うから
遠出をしたある日の平日
思い切ってとった有給で休日を味わっていた
いつもなら働いてる
いつもならオフィスでパソコンに向かってる
いつもならこの町にはいない
この町に来たのは私のことを知る人は誰もいないと思ったから
気になるお寺
気になる神社
気になる公園
気になるアミューズメントパーク
ぶらぶら歩いてたどり着いたのは公園
有名な公園だった気がするけれど名前も確認しなかった
いいんだ
だって何も知らない方が良いような気がするし
ゆっくりゆっくり公園内の野の丘を歩いていると雨が降り出した
今日の降水確率50%
雨が降らない方に賭けたけど賭けは私の負けらしい
慌てて飛び込んだ喫茶店
いつからこの町にあるんだろう
古くて古くてやさしい
お客さんのいない昼下がり
誰もいない店内はドキドキする
マスターにいらっしゃいと言われて慌てて奥の席に座ったけど落ち着かない
窓からは青い紫陽花がみえた
ざっと降ってきた雨につややかにぬれる大きな緑の葉
普段来ない町
普段来ない喫茶店
まったく知らないマスター
普段は飲まないコーヒーを一杯飲んでみた
いつもなら平日に休まない
いつもなら知らない町をさ迷い歩いたりしない
いつもならコーヒーを飲んだりしない
カランカランと音がして誰かが店内に入ってきた
相手にわからないようにそっとうかがう
背が高く黒髪には雨粒が光っている
やせ型だけど日に焼けたちょっと素敵なひとだった
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