思わぬセラピー
気分が落ち着かずイライラしながら外を歩いていると、前の方から黒いラブラドールを散歩させているおじいさんがやって来ました。
まだ成犬になっていないためか、落ち着きがなく私の姿を見るときゅんきゅん言いながら駆け寄ってきます。成犬になっていなくても、中型犬くらいの大きさなので、飛びかかってきたらよろけるかもしれないなと軽く身構えました。飛びかかってくることはなく、私の方へとよってきます。おじいさんが申し訳なさそうに綱を引きますが、私はそっとラブラドールとおじいさのそばに近寄っていきました。
「ひとなつこいですね」
黒いラブラドールは、ごろんと横になり甘えるような声をあげます。
「道で会う人は、みんな自分をなでてくれると思ってるんですよ」
ごめんなさいね、嫌がる人もいるのにと申し訳なさそうな顔をするおじいさんに、いえいえと笑ってラブラドールの頭とおなかをなでていきます。あまり引き留めても悪いと思いすぐに立ち上がって、お礼を言ってから軽く会釈をしました。
ラブラドールをなでたことで和んだ私は、そのままウォーキングを続けました。
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