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[起業デリ]東大IPC特別講演会

はじめに

デリジェントでは様々な起業家をお呼びした講演会授業を月曜6限に東大学生自治会公認ゼミとして開催しております。
今回は特別講演会として、東大の投資企業である東大IPCとタッグを組んだイベントを、2023年12月12日に開催しました!登壇者は以下の3名になります。お忙しい中、ありがとうございました。

株式会社Mantraさんの講演


この講演では、まずMantra社の石渡さんが取り組んでいる翻訳プロジェクトについて述べられました。プロジェクトでは、AIを活用し、日本語の漫画をほぼ同時に英語に翻訳してリリースすることが可能となります。驚くべき結果として、海賊版を制作していた一部の人々がMantra社の正規版がリリースされることに伴い、自主的に海賊版の制作を中止すると宣言し、フォーラム上で海賊版を撤回する動きが見られたそうです。

さらに、Mantra社はブラウザ上で動作するツールを開発し、これを使って同人誌のプラットフォームを提供しています。このプラットフォームでは、Mantraエンジンを使用してファンが漫画を翻訳できるようにし、その翻訳が売れた場合、ファンも原作者も報酬を得ることができる仕組みが構築されています。その結果、海賊版を作る動機が失われ、市場も実際に拡大しているとのことです。

また、Mantra社は自社製品として、英語学習アプリを紹介しました。このアプリは、人気のある漫画作品を英語学習に活用するもので、英語の割合を調整できる仕組みや、AIを活用した機能が備わっています。初心者向けに英語割合を低く設定し、徐々に増やしていくことで、物語に没頭しながら楽しく英語を学ぶことができるサービスです。さらに、日本語と英語を切り替えられる機能や音声の提供、未知の単語を学べる機能も備えています。

Mantra社は、このような革新的な製品を提供することで、言語の壁を越えて漫画を広く届けると同時に、英語学習にも新たな手法を提供しています。その進歩的なアプローチは、業界に大きな変革をもたらしているように感じられました。今後世界的にも急成長する起業でしょう。この機会にお話を伺えて、本当に良い学びになりました。

株式会社yanekaraさんの講演


2人目は、株式会社yanekaraの吉岡さんが、複数台のEVに特化した充放電システムを開発したことについて話されていました。3人の起業家が37万円の予算で始めたこのプロジェクトは、最初のビジネスコンテストでの賞金やホンゴーテックガレージからの支援などでスタートしました。
最初の資金調達は限られており、例えば1人1万円で登記するなどの工夫がなされたそうです。

彼らは自転車屋から使われなくなったバッテリーを入手し、それを元に小型の充電システムを開発しました。このアイデアを元に、EV向けのプロトタイプを作成するために大学の教授と協力し、その後も支援を受けながら技術開発を進めたとお話していました。

また、スタートアップを始める際に資金や技術、人材に乏しい状態でしたが、強い意欲だけでプロジェクトをスタートさせたそうです。特に、優れたアイデアや解決したい社会課題よりも、強いビジョンを持った仲間を集めることが重要だと語っていました。起業家になることへの情熱や、社会課題を解決したいという強い意志がこのプロジェクトの原動力となっているようです。

吉岡さんのアドバイスでは、学生や起業家にとってリスクは少ないとしており、ビジネスアイデアを追求するよりも、大きな社会課題に取り組むことや、ビジョンを育むことが重要だとしています。そして、ディープテック(技術革新や研究開発によって生まれるテクノロジー)は大変な努力が必要だが、その先にあるビジョンが人々を集め、成し遂げる力となるとおっしゃていました。

最後に、自然やエネルギー問題に興味を持つ多くの学生たちが、この分野で活躍していることを強調していました。この分野は新たな取り組みや挑戦を求める多様な人材が魅力を感じ、多くの学生がインターンとして参加しているとのことです。


東大IPCさんの講演


三人目は、東大IPCの長坂さんのお話でした。彼は、UCバークレー、デロイトトーマツでのコンサルティング、ドローンでの起業、そして東大IPCでのVCにおけるキャピタリストという豊富な経験と経歴をお持ちの方でした。

長坂さんのような、能力のあるプレイヤーの方はずっと起業家として活躍しているイメージでしたが、長坂さんは、とある人物の心意気に惚れ、自分が支援しようという気持ちで最初は興味のなかったドローン事業に打ち込んだとお聞きしました。誰かの熱意は、人の人生が変わるほど影響を与えるものだと知りました。東大IPCへの入社も、彼のこれまでの経験と学びを活かし、ディープテック分野でより専門的に活動することに意義があるそうです。彼がこの東大IPCにおけるVC企業に参加した主な理由の一つは、その位置付けがディープテックを支援する環境にあり、大学、企業、VC、起業家の視点を統合し、ディープテック分野の成長を後押しできると信じているからです。
ディープテックの例として、素人には10円ほどしか価値のないような静電気のセンサーが、実際はスマートフォンに用いられ、1000億円ほどの市場価値になるというお話は夢のあるものだと思いました。

スタートアップを始めたい学生に向けて、様々な人を巻き込んで自分の力にして成長することを訴えられていて、我々学生は心に響くお言葉ばかりでした。

彼の目標は、ディープテックの成長と社会への影響を最大化することだとおっしゃっていました。ご自身の過去の経験や知識を生かし、ディープテックの活性化に向けたさまざまなプロジェクトや支援を通じて、その目標に貢献している熱い思いを知りました。

座談会

講演会後の座談会では、yanekaraの吉岡さんに個人的な相談に乗っていただけました。私自身はフェムテックで起業を準備しているのですが、社会問題を解決することを目的に舵取りをするとマーケットサイズが小さくなることが悩みです。VCからの資金調達のためには、いかに市場が動かせるかをプレゼンしないといけなくなるため、自分のしたいことから少し遠ざかった実装になってしまいます。

ビジョンを追い求めるか、マーケットから考えるか

起業をするために投資家のニーズに応える必要もある、これは矛盾する問題だと吉岡さんもおっしゃっていました。ただ、吉岡さんは信念をずっと強く貫いてきた方なので、本当にやりたいこと、この起業で社会問題を解決したいと強く思うのであれば、資金援助先を変えるのもありなのではないか、必ずあなたのビジョンに共感して投資をしてくれる人が見つかるだろうというお言葉を有り難くいただきました。もっと自信を持って、自分の解決したい課題に向けて取り組むべきだと強く感じました。

終わりに

Mantraさん、yanekaraさんの発言や行動からは、大きな社会的課題を解決し、技術を活用して新しい価値を創造しようとする意欲が伝わってきました。また、自分たちのビジョンや目標を追求するために、大学や投資会社などのサポートやネットワークを活用し、積極的に行動していることがわかりました。さらに、VC視点からの、社会問題を解決するためのサポートに徹する想いにも胸が打たれました。

このような姿勢や考えを学生時代に学ぶことで、リーダーシップやイノベーションの原動力の契機となるものであると考えています。これは、自らの価値観や目標を貫くための重要な要素であると思っているので、私はこれからも、デリジェントの設立代表として、様々な東大生が未来への選択肢を広げる場を提供していきたいと本日強く思いました。デリジェントはおかげさまで、2023年設立から参加者が210名になりました。今後とも、様々な外の社会と交流ができる活動を広げて参ります。

文責:代表









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