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【離島デリ・2024春】西表野生生物保護センター(3/20)


こんにちは!離島デリの伊平と申します。現在は農学部フィールド科学専修3年に所属しています。
この記事では、3/20の午前に訪問した西表野生生物保護センターについてお伝えしたいと思います!
西表野生生物保護センター訪問は、私が最も楽しみにしていたアクティビティの一つでした。というのも、私の専門は森林で、八重山諸島の自然にもとても興味があるからです。特にイリオモテヤマネコの不思議さと美しさには小さいころから惹かれていました。研修前に西表の野生生物に関するテレビ番組を根こそぎ履修し準備万端、さあ行くぞ!というところで、そういえば西表ではレンタカー借りていないじゃん!と気が付きました。それでも絶対に行きたかったので、何とかバスを探し出し、根性で行きました!(笑)

魅力的な展示

さて、どきどきわくわくしながらセンターに足を踏み入れると、そこには壮大な展示が設置されていました。壁面には、奥山、里山、低湿地、海など西表島で見られる多様な生態系に関する展示がされています。それぞれの生態系に、様々な生物がすみわけをしていることが一目でわかり、その多様性に驚きました。

西表島に生息する多種多様な生物たち

そして部屋の中央には、イリオモテヤマネコについての展示が行われていました。テーブルの上には、イリオモテヤマネコのはく製が設置されていて、間近で観察することができます。隣にイエネコのはく製も設置されており、比較できるのが面白かったです。やはり、イリオモテヤマネコのほうが、耳が丸く、顔がとがっており、足やしっぽが太くてヤマネコらしいなと感じました。また、イリオモテヤマネコの毛並みを体験できる展示があるのですが、なんだか手触りは私の実家の猫に似ていました(笑)さらに、イリオモテヤマネコの食べ物についての展示もありました。イリオモテヤマネコの大きな特徴の一つは、非常に多様な生物を食べることです。なんと、泳いでテナガエビをとることもできます!!このように様々なものを食べて生きていけるからこそ、西表島のような小さな島に、ヤマネコが生存しているという奇跡が実現されているそうです。

魅惑の毛並み
イエネコと比較できるのが面白い。それにしても、仔猫の破壊力よ…

保全活動への情熱

メインの展示ルームの奥にある小部屋では、地元の皆さんによるイリオモテヤマネコの保護活動についてのビデオを視聴することができます。ビデオからは、保護活動に対する皆さんの情熱が伝わってきました。イリオモテヤマネコの交通事故は、とても深刻な問題です。交通事故を少しでも減らすために、車道の下に生物が安全に通ることのできるアンダーパスを通したり、その手入れを定期的に行ったり、道端の草刈りによって見通しを良くしたりしているそうです。また道路で轢かれた小動物を食べようとイリオモテヤマネコが道路に出てくるのを防ぐために、カメやカエルなどが道路に出てきにくい傾斜をつけたり、道路で死んでいる小動物を片づけたりする地道な活動も行われているとのことでした。また、大人だけでなく、小学生たちが減速を求める看板を設置したり啓発活動を行ったりしている様子が印象的でした。外部の専門機関だけでなく、地元に住む複数の世代の方々が一緒になって活動をすることが、イリオモテヤマネコの保護活動が持続的なものになっている秘訣ではないかと考えました。

西表野生生物保護センターの取り組み

館内では、西表島の野生生物を治療する獣医の方にお話を伺うことができました!その方は、実際に交通事故で運び込まれたイリオモテヤマネコの治療をされたことがあるとのことでした。ペットを治療するのとは異なる苦労を伺ったところ、意外にもイリオモテヤマネコのほうが諦めているのか大人しくて治療しやすい、ただし力は強い、とのことでした(笑)

西表野生生物保護センターでは、交通事故後のヤマネコのリハビリにも取り組んでいるそうです。しかし、素晴らしいことに昨年は事故がゼロだったために、現在収容されているヤマネコはいないそうです。イリオモテヤマネコの人工繁殖には取り組まないのかと伺ったところ、ヤマネコの頭数調査が開始されてから現在まで、全島合わせて100匹程度という数は大きく変化していないため、今のところ人工繁殖は行わない方針だとおっしゃっていました。そもそも小さな島にヤマネコが住めていること自体が奇跡ですし、現在島の大半が縄張りとして利用されているため、たとえ人工的に増やして放しても定着しないのではないか、ということだそうです。私は、それを聞いてはっとしました。絶滅危惧種!と聞くとどんどん増やすことがいいように思われますが、島の生態系は絶妙なバランスで成り立っています。それを勝手に壊すことはできません。生態系という広い視野で考えることの大切さを実感しました。
とはいえ数が減りすぎると絶滅の渦になりかねないため、現在は、100匹より減らさないことを目標として活動をされているそうです。その中で、近年の交通事故の問題は深刻です。多い年では一年に10件近く起きています。母数が少ないので、その影響は甚大なのです。

死亡事故は0にし続けたい

ドキドキ!ドライブシュミレーション

最後に、イリオモテヤマネコの交通事故を防ぐためのドライブシュミレーションにチャレンジしました。ポイントは、いつヤマネコが飛び出してきても急ブレーキをかけられる40km/h以下で走行することです!私は、まだ運転免許を持っていませんが、頑張りました!思わぬところでヤマネコが飛び出してきて非常に難しかったです💦気になる結果は…イリオモテヤマネコの犠牲はなんとか1匹に抑えたものの、ヤマネコ関係なくハンドル操作をミスって3回事故りました…。夢はフィールド系の学者になることなのですが、運転の素質がなすぎて将来が心配ですね…。

魅せろ!ドライバー魂
本当にたくさん飛び出してくるので難しい…

これから

西表野生生物保護センターを訪れ、実際に観察したり、お話を伺ったりして、教科書や自然番組で得たイメージがより具体的なものになりました。また、イリオモテヤマネコの保護活動にますます興味がわいたため、実際に行われている方に話を伺ったり、活動に参加したりしたいなと感じました。われらがデリの良いところは、学生主体で、現地活動日程を組めること!ですので、来年の西表でのアクティビティとしてイリオモテヤマネコ保護活動への参加できるか模索したいなと思っています!

文責:伊平未紀




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