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プリムラさんに出逢う

 3月1日、なんか公園っぽいところに行きたい、というともだちを乗せて長居公園へ行った。
長居は若葉マーク🔰をつけっぱなしのまんまかれこれ4年が経過しそうなキューブを乗りこなすわたしがぎりぎり行ける範囲の都会である。1度梅田まで行ったことがあるけれど、本当にわけがわからない道だったのでもう2度と走らない。
 長居公園は去年の4月に母を連れてネモフィラを見に行ったことがあった(すごく色んな花が咲き乱れていてとても良かった)ので、今年は暖冬だったしあの場所なら今も何かしら咲いていて綺麗なんじゃないかな〜と思いわたしが提案したのだが、普通にまだそんなに咲いてなかった。寒かったしめっちゃ。
花は咲いていなくとも、春らしくほがらかな天候なのもあり土日の公園はファミリー層や年配の方々でにぎわっていた。わたしたちはふたり並んでだらだらとしたペースで公園内を一周まわり、なんか名前を忘れたが

このいがいががたくさん飾りみたいに揺れている樹をともだちが気に入ってやたら写真に撮ったり、

なんかこの感じムーミンみたいやわ、とかぽつぽつ言いながら、散策をつづけた。わたしは内心「ここまで来といてぜんっぜん花ないやん…」と自分の提案した行き先をうっすら後悔していた。来る前に花がすごい綺麗、みたいな話をともだちにしていたからだ。そんなことでがっかりするようなともだちではないことは理解しているが、どうせならすっごい綺麗な花畑のひとつでも見て欲しかった。

そしてわたしたちはなんかあそこちょっと綺麗やぞ、と寄って行ったところでプリムラさんに出逢う。
長居公園はたくさん植えられている植物のひとつひとつにちゃんと名札をつけてくれている。植物のことなどなんにも知らないにんげんにはありがたいがだいたいの種類は名札をみても3歩あるけばすぐに名前を忘れてしまうものだ。いがいがの樹もそうだ。しかしこの花だけはちがった。
「ぷりむらて、なんか人の名前みたい」
ともだちがそう言ったので、わたしの頭の中に突然「ぷりむらさん」というおばちゃんが入って来てしまった。小柄で派手好きな優しいおばちゃん。
「ぷりむらさーん!」
わたしは思わず呼びかける。ともだちもぷりむらさんを呼んだ。

 話は変わるが今アリソン・アトリーの「時の旅人」を呼んでいる。植物の名前がそれはそれはたくさん出てくるがなにせ疎いので逐一花の名前を調べながら読まないとなにがどんな状態なのか頭の中で描写ができない。それはそれでとても勉強になるのだが、どうも色々と思考が散漫になり物語自体に没頭しにくいので、もっと知識が欲しいぜ…となっている。そんななか、

あーーっ!!!!知ってる!!!!!!
あなたは!!!!ぷりむらさん!!!!!!!

嬉しくて思わずともだちに送りつけてしまった。
タイムリーで運命的なプリムラとの再会、いや、もしかしたら今までだってたくさんのぷりむらさんに出会ってはずっとすれ違ってきたのかもしれないが、今はそれが誰のことなのかすぐ分かる。
知らないことばも、頭の中にきちんと迎えることさえできれば知り合いみたいにまたすぐ出会えるのだ。
知ることの喜びとは、世界にちいさな知り合いをたくさん増やしてゆくことで、それと手を振り合うとき、世界はずっとずっと面白いものになるのだと思う。

 最後に、長居公園のすぐ前にあるこの「パリーネ」というパン屋のパン、非常においしいのでおすすめしておく。またいつか行きたいね長居。

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