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Ride into the Sun/The Velvet Underground

お気づきの方もいるかもしれないが、時折、「曲名/アーティスト名」のタイトルで記事を書いている。この記事がまさにそうだ。しかしこのタイトルには理由がある。我々は、「愛すべきおバカ曲」というテーマの下にこの記事を書いている。そこには、愛情とおバカさの両方が等しく揃っていなければならない。どちらに肩入れすることもできない。だから、客観的なタイトルを付けざるを得ない。ということにしておこう。

時々、とんでもない名曲がお蔵入りになることがある。

昔のアーティストの未発表音源やデモ音源を漁っていると、時々、「なんでこれリリースしなかったん?」というクオリティの曲に出会うことがある。ビートルズのBad to Meとか、ゾンビーズのI'll Call You Mineとか、最近でいえばアークティック・モンキーズのWavin' Bye to the Train or the Busもそのひとつだ(最近でもないか)。

とにかく、アーティストというやつはよく分からない。僕だったらもう鼻をフガフガいわせながらネットに上げて、ヨダレ垂らして血眼で再生回数チェックするような名曲を、何を思ったかポイと捨てやってしまうのである。もうアホかなと思う。作業用BGMのコント動画アップする奴くらいアホかなと思う。

たぶん誰もが一度は見たことがあるであろうこのバナナ。これを引っさげて颯爽とデビューした(そして全く売れなかった)のが、The Velvet Undergroundである。そして、そんな愛すべきヴェルヴェット・アンダーグラウンド(名前カッコ良すぎだろ)が何を思ったかリリースしなかった超名曲、それが"Ride into the Sun"である。

いや正確に言えば、未完成なインストとか、ダグ・ユールが歌ってるクソみたいなバージョンとか(このダグ・ユールという人は、たぶん声がルー・リードに似ているというだけの理由でバンドに入ったんじゃないかと思うくらい、バンドへの音楽的貢献度は低い。しかしそれでも、彼の歌うCandy Saysは僕が一番好きなヴェルヴェッツの曲だ。いつ聴いても泣きそうになる。たぶんすごく優しい人だったんじゃないかと思う。でも、申し訳ないが彼のバージョンは間違いなくクソだ)は一応リリースされてるし、実は、作曲者であるルー・リードのソロバージョンも1stに入ってるんだけど、もう耳を覆いたくなるような出来だ(リンクも貼りたくないが、なんというか、スティーブ・ハウが悪いところを綺麗に全部出し切ったようなアレンジである。アレンジでここまで酷くなるんやで、とでも言いたげなカントリー風ギターだ。でもたぶん、たまたま悪い偶然が重なっただけで、彼の名誉のために言っておくと本当の彼はとんでもなく素晴らしいギタリストである)。

というわけでこのへんでお聞きいただこう。未発表バージョンのRide into the Sun。

実は、この曲を教えてくれたのは、とある友人である。色々バカもやったし、色々と教えてもらった。

僕が何か与えられたのかどうか分からないが、与えられたのだとすれば、たぶんヴェルヴェッツである。何がきっかけか忘れたが、あるときヴェルヴェッツの3rdをかけると、彼はとても気に入った。彼は、特にJesusが好きだった。防衛本能が強い、とても優しい人だった。

まさに愛すべきバカである。彼が教えてくれたのがこのRide into the Sunだった。この世の中に馴染むのは決して簡単なことではないだろう。彼に贈りたいのは、冒頭に書いた一言だけである。

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