noteの街に風が吹く:小説的考察【3話】先輩の名言「一喜一憂すな!」
「noterには2つのタイプがある」
note初心者の私がぶつぶつ言っていたところ、教わった言葉だ。
初投稿の反応
noteに初めて書いた記事『エイプリルフールの悲劇 上司の言葉に耳を疑った件【実話】』を投稿した翌日、私は自分の変化に気づいた。
あんなに嫌な出来事があったのだから、普通は出勤する足取りが重たいはずだ。それに会社では上司の顔を直視できず、ほかのセールスレディーに対して疑心暗鬼になってもおかしくない。
ところが、昨日まで胸につかえていたモヤモヤがなくなっていた。一夜にしてこれほど心境が変化したのは、noteのおかげだろう。
不安を抱えているときに、その原因となる嫌な体験を言葉にして人に話すことでストレスから解放されるという。いわゆる「カタルシス効果」だ。人に話す代わりに文章に書いてnoteで投稿することによって、同じような効果があるのかもしれない。
この日の私ときたら「おはようございますチーフ」、「○○さん、今日はペアだからよろしくね」といった感じで、なんならいつもより調子がよいくらいだった。
事務所でも外回りでもちょっと休憩すれば、その度にスーツのポケットからスマホを取り出してnoteを開く。自分で初めて書いた記事の「ビュー」が気になって仕方がない。noteの「アカウント」から「ダッシュボード」に進めばアクセス状況がわかる。まだ読者からの反応はないが、やがて「スキ」や「コメント」が増えることを想像するだけでワクワクしてきた。
浮ついた気持ちだから仕事にも身が入らず、退勤時間を心待ちにする始末だ。定時になると間髪入れずタイムカードを押して家路を急ぐ。
バスの中でもスマホから目が離せない。IKの我が家があるハイツに着くと4階まで駆け上がり玄関のドアをあけた。
「ただいまー」
「お帰りなさい」
今まではなんの返事もなかったが、まゆの声を聞いてなんだかジーンとした。
しかも部屋の奥から晩ご飯のいい匂いが漂ってくる。まゆは料理を作って待っていてくれたらしい。
テーブルの上には、美味しそうな卵焼きと焼き魚、具だくさんな団子汁、そして炊きたてご飯がならんでいた。
「これ、まゆが全部作ったの!?」
「ええ。ジュンがお仕事を頑張ってお腹を空かせてるだろうと思って、腕によりをかけたのよ」
私はnoteのことばかり気になって仕事に手がつかなかったことを話したくて喉まで出かかったが、慌てて言葉を飲んだ。
まゆも一緒に食事を楽しみながら、やはりnoteのことが話題になった。
私が初めての記事を投稿してから、やがて1日が過ぎようとしているのに「ビュー」は一桁から伸びない。「スキ」にいたってはゼロのままだ。
さっきまでのワクワク感から一転してテンションは下がるばかりである。そんな胸のうちをまゆに吐露した。
「だしょうなっ!」
まゆが待ってましたとばかりに言い放った。勢い余って言葉づかいまでおかしくなっている。
「私が一晩かけてnoteの世界を探索したところ、思った以上に新しい風が吹いているようね」
「え、どういうこと?」
まゆは私が首をかしげるのを見てこう続けた。
「noterには2つのタイプがある。『共同マガジン』に入るか入らないかだ。あ、これは私の個人的感想だけどね」
「もう、何よ『共同マガジン』って? もったいぶらないで、さっさと教えてよ」
「ごめんごめん、わかったわ。私が感じたことを話すからよく聞いててよ」
まゆは真面目な顔で語り出した。
「『共同マガジン』は主催するnoterが準備したマガジンに、ほかのnoterが参加するしくみなの。noterたちが集まる広場みたいなイメージね。参加したらお互いに投稿した記事を見る頻度が高くなるから“ビュー”や“スキ”そして“コメント”も増えやすくなるって寸法よ」
「じゃあ、いいことばかりじゃん。なんで『共同マガジン』に入らないタイプがいるのかなぁ」
私だってそれぐらいの理屈はわかるつもりだ。釈然としないので率直に聞いてみた。
「そうね。さまざまなケースが考えられるからひと言では説明できないわ。まず、ジュンみたいにそもそも『共同マガジン』を知らないnoterもいるし。自分一人だけの力で何とかやってみようとこだわるnoterもいるのよ」
「私はどうしたらいいの? やっぱり結果を出したいし!」
「ジュンがそう思うなら参加すべきだね。それに参加したらわかるけど『共同マガジン』はもっと奥が深いのよ」
先輩noterたちの“名言”
まゆは座敷童子一族だけに精霊の力でネットの中に入り込み、noteの世界を俯瞰してきたという。PCやスマホでちょっと閲覧しただけでは知り得ない何かを掴んでいるらしい。
「noterの多くは、ジュンと同じように自分が書いた記事に対する反応を過剰に気にしがちなの。特に“スキ”をほしがる傾向にあるわ」
私だってそこまでズバリと言われては耳が痛い。まゆはそんな気持ちを見透かしたように続けた。
「ジュンにはこの名言がぴったりかな。『一喜一憂すな!』(by クロサキナオ ※抜粋及び一部強調しています)」
まゆによると『【みんなで創る】クロサキナオの運営マガジン』を主催するクロサキナオさんによる言葉だという。
クロサキナオさんはほかにも「書くって楽しいよ。続けて、広まって仲良い人なんか出来たら最高さ」や「タイピング速度に結構自信があってさ、集中しているとほんとに機械みたいに無表情でスピードに乗る」などの“名言”で知られる。そのパワフルな活動ぶりから、一部のnoterたちは「サイボーグ」と呼んでいるそうだ。
また『とらねこ村の共同マガジン』を主催するとらねこさんは、迷えるnoterたちに「noteに失敗なんてないんだから、継続し続ければいい」とエールをおくる。
共同マガジンを前提にした『あけぼの塾』を運営するあけぼの博士さんは「初心者ほど最初に感想やコメントほしくないですか?」「自分の道はぜひ自分で"選択"をして道を作ってくださいね…今行動して、変えましょう!」と背中を押している。
さらに「noteはチームプレーだと思う。もちろん書くのは1人だけど、書き続けるためには、人の力がでかい」とは『【共同運営マガジン】頑張る隊』のよへいさんによる言葉だ。
「最近はnoteの作業に全く孤独感を感じなくなっています」というのは『共育LIBRARY×共同運営マガジン』主催者のりょーやんさん。その理由を「いつもつながって、励まし合って、成長し合っている、仲間の存在があるから…記事を読んで応援してくれている読者の存在があるから」だと言い切る。
先輩たちによる言葉はnoteを続けるモチベーションに繋がることだろう。
まゆはそんなnoterたちの“名言”を紹介しながら「もしジュンが『共同マガジン』に入ったら、もっといろいろな事情を知ることになるかもね」と含みをもたせた。
※以下は引用した元記事の抜粋
クロサキナオさんが自身のアカウントの状況を振り返り、記事のビュー数に触れたときの言葉
noteで記事の投稿をはじめながら長続きしない人がいることを憂い…
「マンガ本をけっこう読む」という話題でキーボードを叩きながら…
とらねこさんによるnoteでのつぶやきより
あけぼの博士さんによる「あけぼの塾生」募集での言葉より
よへいさんが『共同運営マガジン』について語った言葉
りょーやんさん「note7ヵ月目の振り返り」のなかで
小説は【4話】へ続く
#note #noteの街 #共同マガジン #名言 #連載小説 #考察 #クロサキナオ #とらねこ #あけぼの博士 #よへい #りょーやん
※ゆーしんけんは次の『共同マガジン』および「塾」に参加しています。
『とらねこ村の共同マガジン「トランスミッションI」』
https://note.com/supertoraneko/m/m45e61de5e47c
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?