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思考系

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嘘をつかない範囲で都合の良い統計データをでっちあげるマニュアル

本マニュアルでは、統計データをうまく使って「事実ではないが、決して嘘ではない」ゾーンを攻め、自分にとって都合の良い結論を導き出し、見る人の思考を誘導する方法をご説明します。 結論ありきで根拠となるデータをでっちあげたい方向けの内容です。 正確な情報に基づいて意思決定したい方は使用をご遠慮ください。 調査対象を偏らせる統計は、料理の味見にたとえられます。 たとえばカレーの味見をするときは、ルーを入れてしっかりと全体を混ぜ合わせてから味見をすると思います。十分に混ざっていな

背水の陣という言葉を使う人がたいていスルーしている大事なこと

背水の陣という言葉があります。 河を背に布陣することで、退却したくてもできない(おぼれて死ぬ)、生き残るには前進して敵を打ち破るしかないという状況を意図的に作り出すというもので 「今期の売上目標を達成できなければ、わが社は立ち行かない。みんな、背水の陣で挑んでくれ!」 といった使い方をされるわけですが、個人的にはこの用法に大変な違和感を覚えるのです。 そもそも背水の陣とは古代中国の韓信という武将が生み出した奇策です。 韓信は劉邦(漢の初代皇帝)に仕え、数々の戦いで勝利

やりたいことが見つからないなら、見つかるまで探せばいいじゃない

最近妙に 「やりたいことが見つからない」 というご相談をいただくことがあって、私ってそんなにやりたい放題やっているようにでも見えるんでしょうか? とはいえオルタナティブが大事にしている価値観のひとつに 「人生は一度しかないし限りがあるんだから、やりたいことやって使わないともったいない!」 というのがあるので、そう感じていただけるなら本望なのですが閑話休題。 とにかくやりたいことが見つからないという方向けにお伝えしたいことがあるというか、端的に言えば毎回同じようなこ

シュレーディンガーの碁石あるいは能動的に「決断しない」という選択肢

囲碁の醍醐味のひとつである 「本来そこにないはずの石を想定して戦略を立てる」 という概念をご説明したいと思います。 個人的には量子力学に似ている(量子力学を良く知らないんで勘違いしてる可能性はありますが)と思っているんですよね。 囲碁のルールをご存じない方にも雰囲気だけで伝わるように書いてみますので、細かい部分には目をつぶって、是非お付き合いください。 黒はどこに打つ?こういう局面で、次は黒の番です。 黒がここに打って 白がここに打つ というのが、ひとつ考えられ

まずは自分を疑え

私は大学を卒業してから10年ちょっとの間、ITエンジニアとして働いていました。 お客様の要望を聞いてシステム全体の設計をする、みたいなこともやっていましたが、基本的にはキーボードを叩いてプログラムを書くのが私のお仕事でした。 そんなことをしている中で学んだことはたくさんあるのですが、今回はその中から うまく行かない時は、他人を責める前に自分に非がないか何度もチェックせよ という教訓をご紹介したいと思います。 システム開発は分業制ある程度以上の規模になると、システム開発

男女という分け方は適切なのか問題

問題です。 こちらの絵を見て、何らかの法則性を見つけてください。 おそらく多くの方が、以下のいずれかを見出すと思います。 「青い図形は丸であることが多く、オレンジの図形は三角であることが多い」 「丸は青色であることが多く、三角はオレンジであることが多い」 これはこれで間違いないんですが、けっこう例外も多いことは見ての通りです。 私はこれ、よくある「男女の特徴」「男女の考え方の違い」も同じだと思っています。 「男性はこう考える傾向がある……でも中には女性的な考え方をす

帰りの交通手段に鈍行をご用意するのはどういうことなのか

お盆でご先祖様に乗りものを用意する「精霊馬」ってあるじゃないですか。 現世にやってくる時は「早く着いてほしい」という意味を込めて馬(きゅうり)を、あの世に帰る時は「なるべくゆっくり帰ってほしい」という意味を込めて牛(なす)を用意する、というのはよく知られている話ですが。 よくよく考えてみたらなるべくゆっくり帰ってほしいって、どういうことなんだろうって。 「早くこちらに着いてほしいので、行きは新幹線をご用意しました」 これは分かる。でも 「なるべくゆっくり帰ってほしい

判断はすべての事実が揃ってから

事実1「X氏の足元に、大量の血を流して事切れたY氏が横たわっている」 事実2「X氏は血まみれの包丁を握りしめ、服には血が付着している」 事実3「X氏とY氏はたびたび金銭上のトラブルで揉めていた」 数時間後、警察はY氏殺害の容疑で、X氏ではなく別の人物Z氏を逮捕した。 あなたはどう思いますか?どう見てもX氏がY氏を刺したとしか思えないこの状況で、この行動。 「警察の目は節穴か!」 って思うのは仕方ないと思うんですが、その後の捜査で 事実4「防犯カメラにY氏に包丁を突き

私が最大出力で動けるタイミング

私はこちらでもご紹介している通り、老いることがイコール衰えであるとは思っていません。 一方で、少し前に体調を崩して1週間くらい微熱が続いたことがあったのですが、その時はほんとにもうびっくりするくらいダメダメで、インプットもアウトプットも碌にできませんでした。 体力の衰えが気力の衰えに繋がるよく言われることですが、本当にそれを実感した1週間でした。 そして思ったのです。 これから年を取るにつれて、体力そして気力はどうしても衰える。 であるならば、今この瞬間こそが私が残

肉味噌うどんを食べて考える駐車券に関する注意事項のベストポジション

トモナリです。 先日、とある企業にお邪魔して色々とお話を伺ってきました。 なかなか興味深いお話を伺えたのですが、それは今回特に関係なくて、帰りにうどん屋さんに寄りました。 丸亀製麵は安定の美味しさでとても好きなんですが、それもやっぱり関係なくて、うどんを美味しくいただいた後の話。 私は、胸ポケットに入れていた駐車券の存在を思い出しました。 「これ、認証とかしなきゃいけないやつだよね? 特に精算機とかないみたいだし、どうすればいいかレジの人に聞いてみよ」 かくしてレジ

意思決定ナメんなって話

意思決定というのは難しいものです。 という話をする上で、まずは「影響の大きさ」と「問題の複雑さ」という2軸を取り、意思決定を四つの象限に分類します。 それぞれの象限にどんな意思決定が当てはまるかはだいたい見当がつくと思うので説明は省きますが、明らかに大変なのはBの意思決定。 会社でいえば「わが社はこの先、どのような事業を行っていくべきか」みたいな、参照すべき情報が無数にあり、選択肢がいくらでも存在し、そして会社の将来に大きな影響を与える意思決定です。 往々にしてこの意

誰かを批判したくなったら思い出してほしいこと

「もめ事が起きた時に、安易に第三者が介入するな」 小学生の頃に先生から教わった警句です。 どういう状況で発せられたものかも覚えていませんが、おそらく同級生同士でケンカをしているところに別の誰かが口を挟んで話がこじれた、みたいなことがあったのだと思います。 私自身が叱られたのか、誰かが叱られていたのを見たのか。 いずれにせよ、子供心によほど印象的だったのでしょう。 教えだけは今でも記憶に焼き付いています。 改めて周りを見てみるといわゆる炎上案件って、まさにこういう状況

存在しない敵と戦っていたら商機を逃しかけた話

U.T.パートナーのトモナリです。 私はU.T.パートナーとは別に、中小企業で救急用品を取り扱うオンラインストアを運営しています。 オンラインストアはお問い合わせメールアドレスを公開していることもあって、お客様からのお問い合わせ以外に、結構いろんなところからメールも送られてきたりするのです。 営業のメールならまだ良い方で 1,000万円あげるから連絡くれだとか 何もしなくても1日10万円振り込まれますとか 誰も知らないゴルフの上達方法を教えますとか 3日で血圧が劇的に下

アンコンシャス・バイアスについて

人間はさまざまな「バイアス」すなわち認知の歪みや先入観を持って生きています。 たとえば、Twitterで見つけたこちらの作品。 たぶん、ほとんどの方が「え、そっち!?」と思ったはずです。 最初のコマで、明記されていないのに「一人称で語っているのはこっちだろう」と認識してしまう。 当たり前といえば当たり前なのですが、結果的に「先入観が間違っていた」ということになります。 外科医と息子有名な例なのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、こんな話も。 父親と息子が自動車