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埠頭に猫がきちんと並ぶ【東京のりもの散歩~いちょうマークの車窓から9】

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晴海客船ターミナルの都バス待機所で休息するバスとネコ(巨大化)
ネコを大きく描いた理由につきましては記事をお読み下さい。
※モデル:カフェモフリー(東京・大泉学園)の看板ネコ、ナツ先生。

 東京港晴海埠頭は、国内外の豪華客船が寄港することで知られている。南極観測船「しらせ」が接岸する港でもある。いわゆるSNS映えも良く、レインボーブリッジの夜景や水面に映る高層ビル群を美しく撮影できるので人気が高い。<br /> 晴海埠頭の晴海客船ターミナル周辺では、毎年5月には「東京みなと祭」が、9月には「バスまつり」が開催されている。最寄り駅である都営大江戸線の勝どき駅からは2キロ程度の距離があるため、都バスを利用するのが便利である。
 晴海埠頭行きの都バスは3つの系統がある。本数の多い順に、東京駅丸の内南口から銀座四丁目・築地を経由する都05-1系統、錦糸町駅から豊洲駅を経由する錦13甲系統、四ツ谷駅を発車し数寄屋橋から都05-1と並走する都03系統である。
 晴海埠頭周辺の光景を楽しむ人もいるが、定期船の発着はないため、イベント時でもない限り乗客はけっして多いとは言えない。いずれの系統も、終点の手前で大半の乗客は降り、晴海地区のオフィスビルへと消えていく。3方向からの通勤需要などにしっかりと応えた都バスは終点到着後、専用の待機所に移動する。
 15台近いスペースが確保された待機所には、実際何台のバスが同時に駐車しているのだろうか。調べてみると、時間帯によりかなりのバラつきはあるものの、多い時には10台以上が駐車していた。平日のピーク、朝の8時台には3系統合わせて20本近い発車があることから、この数字には納得できる。
 運転席側を海に向けて駐車する待機所のバス群。全長10メートルを超える車体も数が集まれば何だか小さく見えてくる。例えれば、日なたぼっこをしている猫だ。終点まで忙しく過ごしてきた猫たちは、次の発車までのわずかな間、海を眺めつつ休息を取るのだ。実際の猫は同じ方向を見て整列しないし、人間の定めた時刻で動くことはないのだけれど。
 白い柱で構成された三角屋根が特徴の晴海客船ターミナル。三角屋根の先端付近にある展望台に登り、海を眺め、建設中のオリンピック選手村を確認し、猫のような都バスを観察する。そのような時間の使い方もありだと思う。

都政新報(2018年9月4日号) 都政新報社の許可を得て転載