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2018年7月の記事一覧

物持ちがよすぎる

物持ちがよすぎる

今使っている定期入れ(パスケース)は、25年くらい前に買ったものだ。別の言い方をすれば、四半世紀前ということになる。「四半世紀」という言葉のもつインパクトにびっくりする。
「銀座かねまつ」の本店で、この定期入れと、口紅くらいしか入らない小さなポーチと、あともう一個なにか小物がセットになって1万円だった。
角っこが多少ハゲてはいるものの、壊れもせず問題なく使っている。
もう何年も新しい定期入れを探し

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いい夏をすごすのだ

いい夏をすごすのだ

アブラゼミが頑張っているところに、ヒグラシが優雅に声を響かせ、遠くから盆踊りの音楽がかすかに聞こえてくる。

まるで田舎のおばあちゃんちにいるみたいだけど、ここはれっきとした東京(のやや郊外)。

男の子が二人、浴衣を着たお母さんを両脇からエスコートしている。男の子たちはお揃いの粋な甚平を着ている。
小学生くらいのお兄ちゃんが、弟に「お母さん、きれいだろ」と言っている。弟くんは「そうだね!」とニコ

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あなたがいなくなって困るひとはだれなんだろう

あなたがいなくなって困るひとはだれなんだろう

やめよっかなー、やっぱりやめるのをやめよっかなー、と3週間くらいもやもやと考えていた。
わたしは地域のボランティア団体に所属して2年近くたつのだけど、最近、理不尽に思えることがあって、少々頭にきていた。

そんななか、この夏、団体のなかでいくつかに分かれているセクションの、次期リーダーとサブリーダーを決めるタイミングとなった。
リーダー役はやる気に満ちたひとがやってくれることが早々に決まったが、サ

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雨にも負けず。いや負けてもいいし

雨にも負けず。いや負けてもいいし

駅から自宅までの道中、雨は頭にくるくらいざんざん降りだった。
おまけに風も強く、背中の方角から吹いてくるもんだから、リュックサックとふくらはぎのあたりがびっちゃびちゃで気持ちが悪い。
おまけに靴下もぬれ始めた。朝は小雨だったから、無印良品の撥水スニーカーとやらを履いてきたのは、やっぱり間違いだった。
あと5、6分で家だから、もうちょっとの辛抱なりよ、と自分に言い聞かせながら、意味もなく前のめりで歩

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どうしておなかがへるのかな

どうしておなかがへるのかな

訳あって1泊2日で宮城県某所に行ってきた。
事前に天気を調べていたら、最高気温が25℃って東京じゃありえない数字だった。
北海道じゃあるまいし、いくら北の方とはいえ、東京都10℃も気温が違うってありうるのか!? と天気予報さえも疑った。
多少外れることはあっても、少なくともわたしよりは正しいはずの天気予報に対して、意味のない懐疑をする自分は愚かだと思いつつ、酷暑にやられちまって頭がおかしくなってい

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ニッポンの夏、汗っかきの夏

ニッポンの夏、汗っかきの夏

わたしが言うまでもないことだけど、今年の東京は例年以上に暑い。
「あっつい、あっつい」と何万回言ったかわからない。
こんなに暑いのに、電車のなかで扇子などでぱたぱたとあおいでいるひとや、汗をだらだらかいているひとが意外に少ない。
うなじやもみあげのあたりから汗がぽたぽたと滴り落ちて、落ち着きなくハンカチで汗を拭いているのはわたしくらいだ。
隣に立っている小太りの男性が、涼しい顔でスーツを着ているの

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裸の年寄り

裸の年寄り

たいがいの日本人は、すごく仲良くなった場合とか、親戚である場合を除いて、おおよそ5歳以上年上のひとに対しては、敬語を使うんじゃないだろうか。

年長者は敬いなさいということを子どもの頃から言われてきた。
とはいえ、思春期になれば親や先生に反抗したり、見知らぬひとを「オバサン」などと意味もなくバカにしたりしたんだけど。

なんで年上だからといって無条件に敬わないといけないんだろう、年齢とともに人間は

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「なかったこと」にしたい寄付ではないのか?

「なかったこと」にしたい寄付ではないのか?

失敗をなかったことにしようとして、無理やりつじつま合わせをして、結局自分も含めだれのためにもならないことがある。
そして、だれのためにもならなかったことがわかった時点で、失敗が隠し通せなかったことは明らかになる。
やらかした時点で「やっちまった〜」と公言しちゃえば、失敗といえるほどのことでもなく終わるのに、ゴリゴリとつじつま合わせをすればするほど、それがだれの目から見ても「失敗」と映るようになる。

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鈍感力、ときどき悪態

鈍感力、ときどき悪態

今朝コーヒーを飲んでたら、いきなりガッテンした。

四十数年間生きてきて、わたしはいじめられたことがないと思ってきた。
多くのひとは、学校や会社で大なり小なりいじめられた経験があるみたいだ。
わたしが「いじめられたことない」と言うと、みんな納得したような顔をする。なんでだろ。
「そうね……」とため息まじりに髪をかきあげながら言いたい。「いじめられてたの」と言えたほうが楽だったかもしれない、ってね。

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