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とのラボ 別館

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#映画

「多様性」と理解

「多様性」と理解

先だってこちらの映画を観てきた。

世の中で当たり前とされている感情や欲望がない主人公自身や、その周囲に起きるあれやこれやの話だ(雑すぎてごめんね)。

とくに性的マイノリティなどではなくても、多くのひとは自分のなかにマイノリティと感じる部分をもっているんではないかと思う。
理解が真に進んでいるか否かはべつとして、いろいろなひとがいるんだよという認識が広まりつつあるのはよいことだと、昭和生まれのわ

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自由と引き換えに自由を手に入れる

自由と引き換えに自由を手に入れる

今日は午前中に映画を観てきた。日曜日早朝の霞が関は人も車もほとんどない。日比谷公園もひとはまだまばらだった。

9時ジャストのスタートだったのだけど、すいているかと思いきや映画館のロビーにはけっこうひとがいて、そのほとんどは同時間に始まるエヴァンゲリオンの観客だったようだ。
エヴァンゲリオンもいいらしいけど、わたしが観た映画もほんとうに素晴らしかった。今年初の自分ランクインだ。

11時頃に終了し

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親子ってなに

親子ってなに

映画を観た。

中学生で出産した女の子がその子どもを養子に出して、それにまつわるうんたらかんたらという内容なんだけど、こういった話だと、子を生むとか生まないとか、家族愛のような話になりがちで、あとで見たレビューもそんなのがやや多かった。
この映画および原作の意図は正確には把握し得ないのだけど、でもわたしはまったくそんな観点では観られなかった。

自分が産んだ子を忘れられないとか、子をよそへやらざる

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賢い生き方

賢い生き方

朝、コーヒーを飲みながらこの映画の情報を見かけ、映像の色合いが気に入ったので即ポチしてそのまま見始めた。とある夫婦のドキュメンタリーだ。
夫は破天荒な芸術家で、妻も同業でありながら、夫に献身的に尽くす。……って感じでもない。

夫婦愛とかはよくわからないけど、あることが不条理であってもそうしてしまうという本能、というか、そうしたいという欲望のようなものが人間にはあるのだと思った。

「賢く」生きて

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本気出したらバカを見る?

本気出したらバカを見る?

映画を観ながらこんなに笑ってるってこと、わたしはあまり経験ない。そういう意味でとっても面白い映画なんだけど、それと同時にあんたはどう生きるのか? ということを突き付けてくる映画でもある。

『カメラを止めるな!』

この映画には一組の家族が出てくる。
暴走しすぎてやりたいことをやめざるを得なかったお母さんに、情熱がありすぎて世の中と噛み合わない娘に対して、映画監督であるお父さんは迎合主義的だ。

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この世はグレーなの〜『万引き家族』を観たあとで〜

この世はグレーなの〜『万引き家族』を観たあとで〜

わたしは万引きをしたことがない。
万引きはしてはいけないことだという倫理観を強くもっていたわけでもなくて、単に怖かったから。
見つかったときのことを考えたら、怖くてできなかった。
だから万引きをするという発想は育たなかった。

家族がほしい。家族をつくる。家族はたいせつに。家族と一緒。
ニセモノでも? ロクデナシでも?
へたな家族なら、いないほうがいい。

自分のことも含めて守るべきものがなければ

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照れてる場合じゃない

照れてる場合じゃない

写真:IMDb

夢をかなえるとか、成功するとか、やりたいことをやるとか、言い方は色々ありますが、要するにそのひとが望む姿になるための指南がこの世を縦横無尽に、というか好き勝手に駆け回っています。

あきらめずにやり続けるだとか、運も才能のうちだとか、何もしないほうが却っていいとか……。
いやもう何を信じていいんだかって感じです。ダイエットだって、ひとによって糖質制限がよかったり、ライザップでひと

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なんだ、クリエイターのための映画だったんだ。

なんだ、クリエイターのための映画だったんだ。

写真:IMDb

迷いや不安がなければ、時間がなくても自分がやろうと思ったことは成し遂げられる。
逆に、時間がいくらあっても、迷いや不安があればそれを成し遂げられることはできない。

ということを考えていた矢先にこの映画。
アメリカはニュージャージー州の「パターソン」という街に住む「パターソン」という男の一週間を追った『パターソン』という映画を観た。
松山に住む松山くんのある一週間、というところか

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いいところばかりじゃない

いいところばかりじゃない

CGのあのリアルすぎる不自然さがないなあと思っていたら、ほぼ実写らしいんですね、この映画。

『君の名は。』なんて、登場人物たちは頭が大きく描かれた昔ながらの描写なのに、それ以外は本物か作り物かわからないくらいのリアルさで、かえって醒めちゃいましたもん。
その点、『この世界の片隅に』はアニメ映画らしいアニメで、なんだか安心して観ていた記憶があります。

アニメ映画の話をしつつ、わたくし基本的に

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Persistence!

Persistence!

駆け込みで見てきましたヨ!

「ファンダー ―ハンバーガー帝国のヒミツ―」

写真:http://thefounder.jp/より

弱肉強食。
真面目なヤツがバカを見る。
やったもん勝ち。

この映画で描かれているレイ・クロックって、典型的な一昔前のガツガツしたアメリカ人に見えるんじゃないでしょうか。
わたしはアメリカに行ったことも住んだこともないし、アメリカについて研究したこともないので、実際

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逃避しないで現実的に生きていく

逃避しないで現実的に生きていく

今日のBGM:

「乗り越えられないんだ」
背中を丸めてリーはそう言った。

主人公のリーはとてつもなく重いものを持ち続けている。1グラムもだれかに背負わせてはいけないものだ。
それと一緒に死のうと思っても死ぬことができない。

だれにでもつらいできごとの一つや二つはある。
そのできごとが自分のこと以外の何か ―自分以外のひととか、環境とか、境遇とか― によって起こった場合は、自分は悪くないと思え

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だから男ってやつは……というわけでもなかったのだけど

だから男ってやつは……というわけでもなかったのだけど

危機的状況のなかで妻は子どもを守ろうとし、夫は携帯電話を持って逃げた。そんなできごとを発端に、あれやこれやが起こるという映画。

観た映画:「フレンチアルプスで起きたこと」

女っていうのは強くて怖いという事実は、万国共通なのだろうか。この映画でも、女が強いように見える。だから、男女逆の内容だったらどういった展開になるんだろうか思いながら観ていたけれど、最後まで観たら、逆にしても同じだと思

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封印したからといって忘れられるもんじゃない

封印したからといって忘れられるもんじゃない

本日のBGM:

男は過ぎ去った年月を思い起こす。埃で汚れたガラス越しに見るように。過去は見るだけで触れることはできない。見えるものはすべて幻のようにぼんやりと…。

(映画の本質とはちょっと離れているけれど、こんなきれいな比喩が自分にもできたらなあと思う)

退廃的な気分になりたいときにおすすめなこの映画。
男女のすれ違いの話と言ってしまえばそれまでだけど。
涙なくしては見られません。って、

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20年前の映画を観てたらなんだか泣きたくなった

20年前の映画を観てたらなんだか泣きたくなった

本日のBGM:

こんな面白い映画観たことなかった。

今はなきホテル西洋銀座と同じ建物にあった映画館でこれを観た。もう20年ほど前のことだ。

当時、中国語圏の映画にはまっていた(カンフーとかキョンシーとかサモ・ハン・キンポーとかは除きます)。でも、ウォン・カーウァイという名前は、この映画を観るまで知らなかった。

あちこちにしかけられた布石とか、ひとによってはあざとく見えるかもしれないカメラワ

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