おひとりさまの餃子

一週間前の今日、仕事帰りに餃子を食べに行くと決めていた。午後から「あと何時間……」とカウントダウンを始め、遅くとも19時頃には帰るはずだった。
だけど「あと1時間」になったところで仕事が増えた。「2時間」が「3時間」になり「4時間」になった。目処がたったところで、仕上げは週明けにするつもりで退社した。

目当てにしていた店は2軒あった。オサレカフェ風餃子専門店とスナック居抜きの餃子屋のどちらにするか電車の中で熟考した末、スナック居抜きに行くことにした。
自宅最寄り駅の一つ手前の駅で降りたら、雨がざんざん降っていた。おまけにスナック居抜きの店はつぶれていた。
今度行こうと思っているのに行けないことが増えた。飲食店においては今でしょ! が大事なんだなと思った。

このスナック居抜きのお店は、普段から空いていたからたぶん廃業したんだと思うけど、個人経営ではないお店だと試行錯誤で業態を変えることも多い。
けっこう重宝していた定食屋さんが近所にあった。うちの近辺に何軒かチェーン展開していたけど、ある日串揚げ屋に変わった。
定食屋のときは、おかずとご飯とお味噌汁で食事もできたし、副菜をつまみにお酒を飲むこともできた。居酒屋じゃないので静かに飲めていい店だと思っていたのに。

昼間はともかく、夜にひとり行動をしようとすると、おひとりさまのための快適な店って意外と少ない。
ビールを飲みながらゆっくり本が読めて、お腹が空いたらパンとかパスタじゃなくてお米のご飯が食べられて、こじんまりしたバーみたいに、マスターと話したり、お客さんどうしで仲良くなったりしちゃう雰囲気でもない店がほしい。

ところで、つぶれた餃子屋の3軒隣にきたなシュランでわりに人気だという中華屋がある。餃子もまちがいなくあるはずだ。
ガラス戸にスモークが貼られてて中の様子はぼんやりとしかわからないのだけど、色んな意味で密度が濃い雰囲気が伝わってきて、なんかアウェー感を受けそうな気がして入れなかった。こういうときは外国人のふりをして入ってみるっていうのをいつも考えているのだけど、日本ではなかなかできない(海外の、タクシー代とかがぼられるところの多いところでは、シンガポール人で貫き通せた)。

どこに行ったかというと、向かい側にあったサイゼリヤでビールとピザを食べて帰りましたよ。ビールを飲みながら本が読めるっていう条件は完璧に満たしているので。

んで、なにが言いたかったかというと、今日こそは餃子を食べる。

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