人が直面するたいていの悩み事とその解決法は、それらよりもずっと短くシンプルな言葉で、『のはらうた』の中に書かれている[2022・10〜]

6〜7月に開催した初個展「ぼくは ぼく」で、絵本編集者の東沢亜紀子さんを迎えて行ったトークイベントの書き起こしが完成し、全編公開となりました。

[1]しなもん + 自己紹介
[2]絵本とデザイン
[3]のはらうた + エンディング
 

イラストレーターでもない。そもそも、もともとデザイナーですらなかった──。ここまで長い間この世界でやってこれたのは、絶対的なプロフェッショナルだから、では決してない。その時々でまわりにいた人たちが、単純にいいねと言ってくれたから。そんな日々の小さな積み重ねにすぎませんでした。

デザインもする。編集もだいたい理解する。頼まれていないのに文字校正まで率先して行う。特殊なやり方だけどイラストも描く。作家なのに、自分が出演したトークイベントのまとめを自ら再構成する……。それでも、「何でもできる」ということは、専門的な意味では「何もできない」のと同じだと思っている。そんな寄る辺のなさ、孤独感、どこにも所属できていないという実感は、ぼくをずっと内側から蝕み、そして傷つけてきました。正直苦しかったし、いま現在も苦しみのほうが大きい。

しかし、念願でもあった初めての個展を開き、たくさんの来場者の方々と楽しくお話しする場を得て、ああ、ぼくはへらへら笑いながら、このままずっとここにいていいんだな、という新しい感覚を得たのでした。

数秒考えて、それって『のはらうた』に書いてあったな、と。「いのち/けやきだいさく」。《だから わしは/いつまでも/いきていて よいのである》。書き起こしの[3]で話した「ぼくは ぼく/からすえいぞう」もそうだけど、人が直面するたいていの悩み事とその解決法は、それらよりもずっと短くシンプルな言葉で『のはらうた』の中に書かれています。



──詩画集『のはらうた❶ ぼくは ぼく』|品門堂本舗BASE店
──いのち/けやきだいさく〔35角・水彩額〕|品門堂本舗BASE店
 

みんな自分のことに必死で、見知らぬ誰かの言葉になんて1ミリも興味を持てないのが現実だと思います。そんな過酷な世の中で、いったいどんな人が、このプライベートな文章やトークイベントの書き起こしに、立ち止まって目を留めてくれるのだろうか。そんな親切な方とお会いしてみたいものです。
 
 

余談ですが、この個展の試みについてもいえることとして、絵の活動を行う自分(しなもん)と、デザインの活動を行う自分(パラグラフ)をできるだけ切り離さず、むしろ融合していきたいと思っています。気持ちとしては既に移行済み。SNSでは、現状Instagramでその形ができつつあります。Twitterはこれからどうするか悩み中。新しい活動に適した活動の器・拠点についても少しずつ考えているところです。
 

>>これから行くかもしれない展覧会[2022・8/9~]

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