良い子でいる事
良い子症候群という言葉をこないだ初めて聞いた。
自分自身を振り返ってから、その方法が自分と向き合う最適な方法だったと色んな情報や本を見てなんとなく確信していっている時だった。
なお、自分自身を振り返るのはマジでしんどい。こびりついた思想を真っ向から否定しなければいけない時もあるからだ。
私の家庭環境や幼少期のことはどれかの記事に書いたが、出産前後から爆発的に色々あった自分にとっても親との関係はまた変化して違和感が露呈したものとなった。
自分が自分とちゃんと向き合って、気持ちを言語化していく事が出来ていく度にその違和感は増えていたのだった。
さて、タイトルにあった「良い子症候群」だが、自分の場合は完全にこれだと思う。
一つこの記事を見てくれている人に聞きたいことがある。
あなたに兄か姉がいるとして、とうもろこしを2つ用意してくれたとする。
ひとりずつ分あるが、上の兄弟はとうもろこしが好きである。
ある日、あなたが食べようと皿を見ると兄弟がぺろっと食べきってしまう。
あなたは少しショックを受けたのだ。
そしてそんな事が度々起こりうる。
そんな時、あなたはどうするだろうか?
おそらくだけれど、私にとっては「怒る」人は正解なのだと思う。
自分のものだ。と主張するのは、自己肯定感にも感じる。
じゃあ、私はどうしたかというと、
とうもろこしを2つとも置いておき、自分に「なかった」「そんな大好物でもない」といらない理由をつけて無理に自分を納得させた。
そうすると、「自分のものをとられた」ショックも感じなければ、ストレスも抱えないからだ。
あれは兄弟の好物だ。あげよう。そう思ったほうが楽だったから、そう思うのを習慣にした。
思い込みというのはすごくて、とうもろこしがさして欲しいものでもなくなってきたので自然と譲れる様になった。
こないだ気づいたが、こないだ新郎が茹でてくれた美味しそうなとうもろこしに言われるまで手を付けなかった。譲るのが身体に染み付いていた。
「食べないなと思ってた」
そう言われた。本当は、あの時欲しかったのかもしれない。傷つきたくなかったんだろう。
出産後、親と話をつけにいった時も、こないだ理不尽なことがあって怒りを覚えた時も、珍しく文句や言いたいことを運転中やスキマ時間に言語化して並べてどう伝えようか迷っていた。
本当に、考えて考えて冷静に主張しようと思っていたのだ。
でも、実際に出てくるのは相手を尊重した言葉ばかりだ。嫌気が差す。
私は交渉に向いてもなければ主張すらできない。
どこかでブレーキがかかる。
自分の中で意見をまとめたり、伝えようと努力することはできるようになってきた。
でも、相手の事情を考えたり自分に本当に非がないのか探し回ってしまった結果、思ってもない綺麗な事を言ってしまう。
相手に寄り添って、言葉を並べて、本当に言いたかった事に蓋をする。こんな歳になって情けない。
涙が出たって少しずつ言えるようになってきた言葉もあるけれど、どこかで無理やり止められる様な感覚を覚える。
「良い子」は、相手にとって良い子で
都合が良いだけである。
「大丈夫」「はい」は口癖にしてはいけない。
その言葉だってイエスマンの特徴だ。うちの父である。
背景に人から嫌われたくない、無価値だと思われたくない気持ちがあろうとも、断る勇気が必要だと身にしみて感じる事があった。実際、断っても何とかなったしスッとした。
「良い子」はNOを言えない。
演じるのなんて簡単だ。おすましして、大人しくして、言われたことに従って、笑っていれば良い。
結構らくだったりする。
しんどいのは、それが本音じゃないことに絶えられない心だ。
親が自慢する「良い子」は演じられていただろうか。
嘘をついて、真面目にも生きてなくて、賢くもない、ただ自分が傷つきたくなくて塞ぎ込み、人の求める自分になる様に演じているだけだ。
家では明るく、人前でも明るくしなければ怒られる。
疲れてても、暗くしてはいけない。
言われたことを守って、口答えしない。
それが辛い。
しんどくても、皆が楽しんでるのにと怒られた記憶と
しんどくても、暗い顔むすっとした顔をと文句言われた記憶と
しんどくても、私はねと言われた記憶と
しんどくても、褒められなかった経験が
きっと「良い子」のふりする自分を苦しめていく。
良い顔をしないといけないと学習させていくのだ。
今でもホラ吹きするし、から元気出すし強がって自分を騙すクセが抜けない。
一度連絡を絶ってから親に優しくされても戻ろうとは思えない。
もう良い子でいるのはしんどい。
ご機嫌とりにしか聞こえない。
きっと親が気づくことはないんだろうと思う。
良い子でいることは、心を殺して何事もなかったかのように振る舞うことだ。
良い子でいることは、相手を尊重して自分なんかいなかった様にすることだ。
良い子でいることは、自分はそこにいないと認識させることだ。
良い子は、作れる。
何も考えないほど、良い子は作りやすい。
だって、相手の望むことをすれば良いんだから。
…二度となるか。
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