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思い出のバイク RZ50 その1

実家に帰って自分の部屋で探し物をしているとずっと前に使っていた携帯電話が出てきた。

アイフォンデビューしたのはたしか20歳になったばかりの時で、それまではガラケーでした。今だにガラケーのクセが残っており、キーボードの使い方がガラケーのまんまなのです。
そんな思い出(といっても8年足らず前には使っていた電話)のガラケーに高校2年の冬に買ったバイクの画像が残っていた。

ヤマハ RZ50というバイクです。

これで原チャリなんですよ。笑
大きいでしょう。しかし、元のから大いに変わってはいますが…

これが元の姿です。これでも大きく、50ccバイクの中ではいわゆる「フルサイズ」と呼ばれる中型バイクに迫るような大きさ(だと信じてやまなかった時期がありました)の類です。
同じ車格としてはホンダではNS-1、NS50F、MBX50、MTX50、スズキではRG50γ、ウルフ50、TS50ハスラー、カワサキだとAR50。ヤマハはRZ50のほかにTZR50、DT50と言うバイクがあった。
これらのバイクは基本的に2サイクルというタイプのエンジンで公道を走る原付一種(いわゆる白ナンバー30km/h縛り二段階右折強要)の中では上限となる7.2ps(馬力)の高出力がウリでした。(2007発売モデルのスーパーカブC50でだいたい3.5馬力)

各社のラインナップの共通点と言うとオンロードモデル(峠を膝を擦りながら走るタイプ)とオフロードモデル(未舗装の道を走るタイプ)のそれぞれのモデルがありました(カワサキはAR50のみ)
このあたりの話をすると話が終わらなくなります。笑
前述した「RZ50」との出会いは度重なる事故やなんやらでこのバイクの前に乗っていたバイクが再起不能になったからでした。

スズキ GAG

このバイクが僕の第一号のバイクでした。
すげー!カッコいい!早そう!
これで原付?!
との第一印象ではありますが、このバイク…

ご覧のサイズ感

後ろに立っている人たちもそれなりに身長は高いでしょうが、このバイクは小さいんですよ。笑

文字通りギャグなバイクです…
スズキのバーディというホンダのスーパーカブと同じような(低燃費実用型)バイクのエンジンをマニュアル化しわずかに出力を上げた代物でした。
当時を知る方にはとてもよく話しかけられるバイクでした。笑

何も知らないヤンキーにめちゃくちゃいじってるエイプと呼ばれたことには悪い気はしなかったな。
おそらく純正マフラーのサイレンサーが劣化していて音のこもる駐輪場や車庫などではディーゼルエンジンの2tトラックのような音がしていたっけ。

市内のバイク屋さんに遊びに行った時にそこのオーナーが、
「このバイクはショート管にすると最高速が伸びるよ!」
と目を輝かせながら教えてくれた。
ホンマに伸びたのばびっくりした。
※公道は30km/h厳守です。

親父にヤフオクにて徳島の方から落札してもらい、たしか車両価格は実動で6万円ほどでした。
軽トラに乗ったご夫婦が僕の実家まで運んでくださり、「帰りは日曜市に寄って帰ります」と言っていたのを覚えてる。

あの日の嬉しい気持ちは未だに忘れられません。クラッチを繋ぐ練習をひたすらにしましたね〜。(翌日にミラーとウインカーを左右へし折り雨の日のグレーチングの恐ろしさを悲しみと共に知ることになる)

この愛すべきギャグくんですが、高2の終業式の帰りにゆるやかなカーブでガードレールに激突してホイールベースがわずかに短くなります。カウルも大破。顎を五針縫う怪我で人生初救急車に乗りました。
気を取り直し、カウルをのけてネイキッド化させるも突然目の前に現れた車のドアにぶつかりさらにボロボロになります。
その保険と貯金で地元のバイク屋さんにあったRZ50を買うことができた。
もはやスクラップ寸前のギャグくんでしたが、決定的な出来事が起こり永遠の別れを告げます。
もともとタンク内がサビサビになるのが致命傷でしたが、ふと見ると小さな塗装の浮きがあるのを発見しておもむろに爪でかいてみたところ
「ぽろっ」
と何かが取れて
ジワーッ
っとガソリンがダダ漏れ!
これによりタンクが帰らぬ人となります。
このバイクは前述したとおりタンクがサビに弱すぎる。
さらにまともにデッドストックのパーツが流通してない!
あっても阿保みたいな値段で出されている。
すっかり再起不能になり、やる気も無くし…ガレージの隅に置いていたギャグを何ヶ月かしたのち、ねりからし色のツナギを着たおじさんが6000円で買い取っていきました…
なんとも悲しい別れでしたが、なかなかに面白いバイクでした。膝すりなんかも簡単にできたしな〜。

そしてRZ50の話に移ります。

このバイク、実は同じ高校に通う友達がすでに乗っていてサイズ感や速さ、全てにおいて憧れの的でした。
個性的なものが大好きでカブやスクーターには乗りたかねぇ!(承認欲求)と思っておりましたので前述のギャグに乗っておりましたが、いざ乗り換えるなら何にするか…
地元のバイク屋さんには当時、型落ちながら今でも安定的な人気を誇るバイク

ホンダ ベンリィCL50

このバイクがありました。
色は青色でしたね。
このバイクもサイズ的には申し分なく、クラッチレバーつきのマニュアルでさらに燃費も良いと言う素晴らしいバイクでした。
パーツもギャグよりはずーっと手に入りやすく、スーパーカブのエンジンをベースに作られているのでとにかくタフ!
このベンリィと言うバイクには若干17歳の自分にも実直で男らしさみたいな匂いを感じていましたね。眉毛の太い西郷隆盛のような…
今でも乗りたいバイクの一台です。

心の中ではおおかたこのバイクに決めていて、仲間内にも仄めかしていたように思います。
そんな矢先にバイク屋さんに行くと
なんと

RZじゃねえかッ!!汗

しかも友達のより綺麗で鮮やかなブルー!
ブロックパターンの塗装がYZF-R1を彷彿とさせる!!

これ、いくらですか?とすぐさま聞いたっけ

たしか価格は16万だったな。

「これは最終型で燃費もえいで!」

とダメ押ししてきたバイク屋さん
なんだと?燃費が良い?!
あの白煙を撒き散らす2サイクルの激速マシーンが?!

後から知ったのですが、最終モデルのRZ50は環境に配慮する形で排気ガスを極力クリーンにするシステム「エアインダクションシステム」をマフラーのチャンバー部(2サイクルエンジンのバイク特有の膨張室と呼ばれる箇所)に設けられおり、消音もさることながらまるで友人の乗っているRZのチキチキマシーンのような荒さはなく高級セダンのようなフィーリングだったのだ。(静かなスクーターのよう)

その割にはいわゆるパワーバンドと呼ばれる劇的な加速感に変わりはないと言うスグレモノで実際に燃費もカブほどではないものの、本当によかった。

1も2なくコレが欲しいっ!となったのでRZを購入した。
手続きが済むと、
「明日の夕方にはナンバーつけて家に持ってくからね〜」
とのことだった。
ワクワクして眠れなかったかどうかは定かではないけど、とにかく楽しみだった。
あまり周りには言わないでおこう、と思いRZに乗ってる友達とよくツルむ奴にはこっそりと打ち明けた。
水を得た魚のようにRZに乗っているやつから連絡がきて今まで乗らせてくれなかったそいつのRZに乗らせてくれると言うのだ。
今思えば僕の買ったRZに乗ってみたかったに違いない。
ドキドキしながら乗った。
純正の「チーッチキチキ」と音を立てるマフラーに白い煙。
いざ走り出すと抜群の安定感。
少し重たいアクセルを捻ると、あの独特の加速がややモタつきながら始まり一気に景色が変わった。
しかし
「怖い」
めちゃくちゃ怖かった。
これはすごいなぁ!ちょっと怖い。と言うとそいつは偉そうに眉を顰めてしたり顔で
「お前はこれからそういうバイクに乗るがぞ」
などと言うのだった。だけど確実にその加速にヤラれてしまった。
今回はこの辺りで。
いついつまで乗っていたか、どんなことがあったか、などを簡単に綴っていきます!



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