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自分たちの北極星を見つける。vision作成ストーリー~gCストーリーエナジー事業部~

約1年前にgCストーリーエナジー(現:ソーシャルエネテック)事業部からvision作成の相談を受けました。その作成プロセスを公開したいと思います。

組織開発やスタートアップの方にとって役立つ内容になるかもしれません。ちなみに私はコピーライティングの正式な教育を受けているわけではないので、方法は我流になります。
※役職や部署名などは当時の名称です。

謎のMtgに急遽アサインされる新年

2018年1月9日「意義目的」と設定された謎のMtgに突然アサインされました。しかも参加している4人のメンバーも謎の組み合わせ。
イマイチ要領を得ず、若干の不安を抱えながら参加。

なんだろう??と思いながら会議室へ。

自分以外の3人は既に事情を知っている様子。何が始まるのか分からないまま、なんとなくの空気に身を委ねることに。

1人が口を開きます。

「……さとうさん、うちの事業部のVISION作ってくれません??」
「……!?」

驚いたのもつかの間よくよくヒアリングしてみると、現状が分かってきました。どうやら、困っているのは下記のよう。

・自分たちが何のために働いているのか?
・どこを目指しているのか?
・毎日の業務で忙しい事は事実だが、目的を見失っている気がする

こうした悩みを抱えていたエナジー事業部は別部署で働いているワークショップが得意な坂本さんに相談したとのこと。そこで坂本さんファシリによる現在地を見直すワークショップを実施。 

※坂本さんには、gCOBインタビューにも出ていただきました。

チームビルディングの意味合いも含まれたその会で、価値の整理や相互理解がイイ感じで進んだものの、、

最終の文言が決まらない。。どのように決めたらいいか分からない。。自分たちで考えてみたものの、しっくりこない。。

で、社内でコピーライティングが得意と思われていた自分に相談が来ました。

当然ですが、当時の自分もVISION作成の仕事を請けた事はありません。
さあ、どうしましょう??

ステークホルダー&情報の整理

まずは、ステークホルダーと情報の整理から。

当時、エナジー事業責任者の、毎週1時間程度ラフに壁打ち相手になっていました。話題は今後の方向性や、自分たちの進む先など諸々。
ある程度キャッチアップはスムーズだった記憶があります。

※壁打ちには付箋をよく使ってました。懐かしい(笑)

依頼元
エナジー事業部。当時は6人体制。事業内容としては、再生エネルギー関連の施工事業。ソーラーカーポートの施工を行っています。

社内での立ち位置
役員主導で立ち上がり、現在売り上げ的にも成長中の事業部。
新規領域のチームだけあって、勢いがある。役員退職後、現在の事業部長が引き継ぐ。事業部長は新卒で入社して、最年少ゼネラルマネージャーになり、30歳前後で非常に優秀な方です。

チームカラー

坂本さん曰く動物園に近いとのことでした(笑)
業界の中では比較的女性比率が高い会社ではあるものの、エナジー事業部はほぼ男性。

とにかく勢いで物事をこじ空けていく事業部長、no2は入社以降一貫して新領域の案件を担当し修羅場をくぐり続けている柔和な男性。

短期の瞬間最大風速に強く、我武者羅に取り組む熱いチーム感のイメージです。このタイミングで「自分たちは何のために働くのか?」北極星が必要なのかもな、と当時感じました。

そこにワークショップの設計とファシリーテーションを担当してくれたのは坂本さんです。

その時点でワークショップは2回行われていました。

まずは、エナジー事業部が与える価値についてのブレスト。
この時に「方向性の明示」は坂本さんの方で調整してくれていました。

◯ブレスト
①エナジーが与える価値について
■社会に対して 
環境問題への貢献、太陽光業界への貢献、 施工業界への貢献、雇用の創出、gCとしての社会貢献

■gCに対して 
数字の基盤、成長促進、活気・バイブス、 未来の開拓、採用、世の中への貢献

■PN(協力会社)へに対して 
会社の発展、働きがい、職域発展、 視野の広がり、安定した仕事の供給

バイブスとあるのがエナジーっぽいですね(笑)

続いては自分たちがありたい方向性のイメージすり合わせ、

◯ブレスト
②エナジーメンバーの◯年後
ベンチャーマインド、プロ意識、仲良し、バブリー、誇り・やりがい、最先端、ちゃんとしているわくわく・たのしい、元気、自由

次のMtgでは、具体的な方向性の明示に話が進みます。

◯環境への貢献エナジーの事業は「持続可能な地球をつくる」ことであり、「子孫が今と同じように暮らしやすい未来をつくる」ことである。

→これに対して、 
◯再生可能エネルギーを増やすこと 
◯省エネルギー 
の2側面から、貢献する。

・具体的な指標としては、COP21で定義されたCO2削減目標がある→今後、目標を立てるのであれば下記のような指標がよいのでは? 
カーポート:◯◯GW/年のエネルギーを創出  
草刈り  :◯◯GWを1年で管理

・再生可能エネルギーを増やすということ =CO2を減らせるということ
・ソーラーカーポートは中古・リフォームでも太陽光発電を可能にした また、屋根上でなければ太陽光発電ができないという常識を覆した

◯太陽光業界への貢献4方(CL・PN・gC・施主)よしの、「持続可能な地球をつくる」という目的に誠実・真摯である業界へ。 

・太陽光業界自体のイメージの変革

自社事業の分かりやすい明文化はされていますが「持続可能な地球をつくる」だと他社と同じになってしまいそうだったり、抽象度が高くなります。

この1文に悩んでいるとのことでした。

言葉のアウトプットの定義


まず、求められているアウトプットの定義を自分なりに解釈する事からはじめました。

・コアの価値観
・目指す目的地
・未来に対する明確なイメージ

こんなイメージで考えていましたが、一文にするとこうなりました。

北極星を作る

自分なりの課題に対してのアプローチの方向性を決めます。
現状目的の曖昧さがチームのモヤモヤを抱えている原因なら、その解決策を作る事と定義。

しない事も同時に決める

自分は仕事をはじめる際に、目的と「しない事」を決める事が多いです。

・ビジネスポエムにしない
・ありきたりの言葉にしない
・visionで未来を狭めない

ありきたりの言葉にしない、と決めたのは抽象的過ぎて結局何を言っているか分からないようにしないためです。短く1行、と最初から決めていました。長過ぎて覚えられなかったら意味がないですし、今回求められていたのは明確に「目的」でした。

言葉で未来を狭めすぎないのも決めていました。例えば言葉を限定し、直接的過ぎる単語を選ぶと事業部の可能性を狭めてしまう恐れがありました。
ましてや新規の事業部なので、なおさらそこは気を付けました。
抽象過ぎず、具体過ぎず、ありきたりでもなく、機能する言葉を作る部分は意識しました。

何を土台に考えるか?

VISION作成は2つのフェーズに分かれるとお聞きしたことがあります。

「想いを引き出す」
「想いを言葉にする」

引き出す部分は、概ね下記の言葉に集約されていると理解し、自分でも確認したい事を改めてヒアリング。

エナジーの事業は「持続可能な地球をつくる」ことであり、「子孫が今と同じように暮らしやすい未来をつくる」ことである。

既にある程度具体過ぎず、抽象過ぎないワードが出ていたのでこの言葉を土台に考えました。

類似・連想ワードの洗い出し

※当時の資料がなくなっていたので、イメージ図です。

最初は思考を広めるために、連想キーワードを1人ブレストします。
そこから、KJ法で類似キーワードをグルーピング
ワードの洗い出しに関しては、思いつくまま全て出します。
出し切ったら、類語辞典で関連ワードも引っ掛かったものを出します。

※今回はこのフローを辿りませんでしたが「そもそも」で考えるため語源を調べる事も多いです。

pineterstの使用

意外かもしれませんが、自分はビジョンやコンセプトワード策定の際にpinterestを用いる事が多いです。特に初期的な発散のフェーズでは、可能性を広げるためにビジュアルの力を用います。
言葉→ビジュアル→言葉のフェーズを挟みます

ここからは、一旦キーワードを洗い出し、連結させたり、類語で調べてみたり、逆の言葉にしてみたり、頭の中でレゴをいじっているようなイメージです。そして、プロトタイプ的に候補を数十パターン作ります。

みらいを繋ぐ
エコロジカルな社会生態系を作る
エネルギー事業の太陽になる
エネルギーを生む仕事
全国の家族の光に関わっている
※この時点でのアウトプットイメージです。まだまだ荒いですね。


頭で理解するではなく、心を撃ち抜く

時折なんで言葉に力を持たせることが出来るんですか?と聞かれます。その都度考えますが、結論マインドの話になってしまいます(笑)

というよりも自分は出自がコピーライターではありません。脚本家目指す→ライター→介護職→営業→マーケ→PDM→マーケ/編集とキャリア的に変わっています。
体系的にスキルを学んだ経験がなく、マインド面で、心を撃ち抜くつもりで書くから、となってしまいます(笑)

目指す部分を引き上げているから,自ずとアウトプットの質も高まっている(と言いたい、、)

いずれは、ここのスキルも体系的に整理したいです。
※もちろん、日ごろから宣伝会議を読んだり、コピーライティングのワークショップに参加、一時期は写経もやったりと自分なりの努力はしています。

緊張→弛緩→緊張

作成納期までに自分は土日を挟ませてもらう事が多いです。基本的に作業はデスクの上で作業を行いますが、やり切ると煮詰まってきます。そこから、頭の隅に入れておいて土日を挟むと意外なアウトプットや気づきが結びつく経験を何度かしました。

言葉を選び、いざMtgへ

一度出し切った後に、言葉を選ぶフェーズに入ります。
選択の際には、〇、△、×で一度ジャッジ。それでも多い場合は、△の中でもう一度ジャッジ。

十数本に絞り、ここからさらに、言葉を組み合わせたり、入れ替えたりを続けて数本に磨き,Mtgに持ってきます。これも今から考えるとちょっと多いかもしれません。今なら3本ぐらいに絞って提案すると思います。

結局Mtgに持っていった言葉は下記になりました。





どうやって決めたのか?

全員いる場での議論になりますが、「決め方」をファシリテートするのも仕事だと感じました。今となってはこの部分が反省点としてあります。

当時は委ねるようなやり方を選択しましたが、現在では違う方法を選ぶかもしれません。
ココで大事なのがなんとなく「決まる」ではなく意志を持って「決める」事。自分たちで「決める事」で納得感が生まれます。そこから、その後も機能する言葉になるのではないでしょうか。

結果として、多少の調整がありましたが、下記のワードに決めました。

vision
日本中に途絶えない光を灯す
mission
みらいへの責任を果たす

まとめ

今回のnoteは別の方が書く想定でしたが、諸々あり自分が書かせていただきました。当時の資料を振り返ると懐かしさがこみ上げます。

いつか、「vision策定その後」として浸透には何をしたのか?インタビューもしてみたいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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