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イベントレポート|心を広げるユーザー体験の創出〜AI・ロボットで考える7つのテーマ〜

こんにちは!
ユカイ工学 セールスチームの金川です。

9/3にロフトワークさんとの共同イベントを行いました。
ゲストスピーカーに、『弱いロボット』著者であり、次世代ロボット研究科の岡田美智男先生をお迎えし、ユカイ工学からはCEOの青木、CDOの巽が登壇しました。

当日のプログラム

全2時間のイベントの内、このnoteではパネルディスカッションに絞り、要約版にてお届けします。

■ パネル・ディスカッション
「心を広げる(ウェルビーイング)ユーザー体験の創出 〜AI・ロボットで考える7つのテーマ〜」

・スーパーマンではないロボット
・ノンバーバル・コミュニケーション
・人間味~スマートスピーカーへの愛着
・ロボットが必要な理由
・コロナ時代の新しい接客
・ニューノーマルの家庭とお家時間
・変化を求められるオフィス空間

■ 登壇
・豊橋技術科学大学 情報・知能工学系 教授 岡田 美智男先生
・株式会社ロフトワーク プロデューサー 浅見 和彦氏
・株式会社ロフトワーク マーケティング 岩沢 エリ氏
・ユカイ工学株式会社 CEO 青木 俊介
・ユカイ工学株式会社 CDO 巽 孝介

ロボットが、これからの時代に求めらるウェルビーイングなユーザー体験にどのような役割で関わるのか、どんな体験を創出できるのか?
コミュニケーションロボット好きな方、人との関わり方に興味がある人は要チェックです。

インプットトーク
∟ ロボットにだって”苦手なこと”があるはず
ロボットと人間が弱さを補い合う関係性とは?

パネルディスカッションの前に、岡田先生より「弱いロボット」などの研究事例を発表していただきました。一部抜粋してご紹介します。

ロボットと聞くと、なんでもできる、完璧な存在をイメージしてしまいがちですが、岡田先生の手掛ける弱いロボットたちには思わず手を差し伸べたくなる、ちょっと手間が掛かる仕掛けがあります。

ゴミ箱ロボット

ゴミ箱ですが、ゴミを拾うことができないロボット。
落ちているゴミの前で、もじもじ、そわそわ。
思わず見ているこちらがゴミを拾ってあげたくなります。

トーキング・ボーンズ

昔話の読み聞かせをしているのに、途中で「えーっと…次はなんだっけ?」と、部分的に忘れてしまうロボット。
「次は〇〇だよ!」と、周囲が触発されて教えてあげたくなります。

この2つのロボットのように、弱さをさらけ出し、不完全な状態があることで、人間とロボットの距離が近づいていき、弱さを補い合う関係性、ウェルビーイングな関係性になるのではないかと岡田先生は考えていらっしゃいます。

ちなみに、これらのロボットのデザインを担当したのが、ユカイ工学CDOの巽です。ユカイ工学に参画前は、岡田研究室のロボットデザインを多数担当していたご縁がありました。


パネルディスカッション
∟ スーパーマンではないロボットとは?

ロボットの期待値を下げることによって生まれる余白。これは、ユーザーがロボットとどうに関われるか考えるためにあるものでした。

【 Q 】
最近では、ロボットもデバイスも、機能が過剰になりがちで、万能になったために人間を助けるもの と位置付けされてしまいます。
本当に介護や育児など、全てを人間の代わりになるロボットが必要なのでしょうか?

【 A 】
岡田:高価なロボット=スーパーマンを期待されてしまい、万能になればなるほど、ロボットの期待値が上がってしまいます。
なんでもできる万能なロボットは、何もできないことと同じ。

巽:
岡田先生の弱いロボットたちや、ユカイ工学に共通しているのは、見た目やデザインで、期待値を下げるための工夫をしています。

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BOCCO
日常に溶け込むよう、インテリアにマッチし
親しみの湧く素朴なデザインに

青木:例えば弱い立ち場の人たちは、ロボットに対して、手取り足取りすべてやってもらいたいと思っていないはず。一番欲しいのは自信で、自分でやりたいことを選択できたり、自分の力で生きているなと感じることが幸せなんじゃないかなと思っています。

岡田:介護の現場に、すこし出来の悪いロボットを持っていくと、ご利用者さんの目が輝くんですよね。逆に不具合を改良したものをもっていくと、ご利用者さんの反応は良くない。出来の悪いロボットには、おそらく手を掛けてあげたくなる 余白があって、その余白は自分が参加できる余地に繋がっているんだと思います。

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Qoobo
しっぽしかないことによって、
所有した自身が解釈できる余地をデザインに持たせている


∟ ノンバーバル・コミュニケーションについて
言語を介さないアプローチとは?

不完全だからこそ、人間が想像する余地がある。
ノンバーバルコミュニケーションには解釈の幅を持たせることが大切です。

【 Q 】
人によって得たい内容はさまざま。
言語よりも、ノンバーバルコミュニケーションの方がしっくりくることもありますよね。ユカイ工学で開発中のBOCCO emoでは「emo語」がありますが、なぜemo語を開発されたのでしょうか?

【 A 】
巽:技術面での難しさと、ユカイっぽい面白さからできています。
そもそも、現在の技術ではロボットが日本語でしゃべれたとしても、会話を完璧にすることができないんです。

青木:犬を飼っている人は、犬は何もしゃべらないのに、犬にずっと話しかけていることがあるんですよね。

人:今日もお留守番ありがとうね~いい子にしてたね~ 
犬: (しっぽを振る) 

岩沢:もしかして人は、言葉を交わしたいというより、共感して欲しかったり、ただ、ぼやきたい場合の方が多いかもしれませんね。

青木:この共感のときに、日本語はわかっているけれど、非言語で返すアプローチが面白いかもしれないと思いました。
ピロピロピロ~♪とか、赤ちゃんが周囲に委ねて「あー、うー」とか声を出すとか、なんか意図が伝わりやすそうなものが良さそうですね。


∟ 人間味~スマートスピーカーへの愛着
家族とロボットの関係性とは?

スマートスピーカーからの発話はどこか他人事。でもロボットは、まれに夫婦喧嘩を未然に防いでくれる家族の大事な存在にもなり得るところが面白いのです。

【 Q 】
自宅でGoogle Homeを使ってるが、数年後に壊れてしまったとき、娘の反応が気になります。壊れてしまって悲しむのか、それとも、新しいものに買い替えようと思うのか。スマートスピーカーを使っている家族はどのように捉えているんだろう。

【 A 】
青木:スマートスピーカーではないですが、BOCCOの場合は「今日はゴミの日だよ」と教えてくれるんです。奥さんから催促されるよりロボットが言うと角が立たなくなって、夫婦喧嘩が減ったというユーザーさんもいます。

BOCCO
青木の子どもが小学校に上がるタイミングで、スマホを持たせるのではなく、違う方法でのコミュニケーション手段のために開発。


岡田:人からあれこれ指示されると、カチンとするけど、ロボットだと無視できる余地もある。ロボットは人と人の媒介として、うまくつないでくれるものなのだと思います。

これが、スマートスピーカーの場合は、「今日東京都新宿区の天気は~」と、どこかよそよそしいところがありますよね。
「今日の行くあそこの天気は~」という風に、代名詞で教えてくれたら、もっと自分だけ感をがあって、繋がりを感じやすくなるもかもしれません。


∟ 変化を求められるオフィス空間
会社、組織、人間関係への愛着の薄れについて

物理的に人に会いづらくなった中で、一定以上「何かと関わっていたい」ことを再認識。関わりの対象は人間だけではなく、ロボットや植物、動物も該当する。

【 Q 】
コロナ禍において、オフィス空間に行かなくなったとき、会社・組織・人間関係への愛着が薄くなるなどの危機感を持っている人もいるのではないでしょうか。
人と人が物理的に離れてしまったところに、ロボットはどういう役割を見出し、そしてロボットを生業としている岡田先生、ユカイ工学はロボットに何を期待したのでしょう?

【 A 】
岡田:みなさんも同じご意見だと思うのですが、アイディア出しをするのが大変でした。人の顔を見ながら話したり、リアルな場だからこそ、ヒントを見つけられていたのだと実感しました。言葉だけでアイディアを出すことは難しいから、目の前に、何か呼応してくれる生きもの(ロボット)がいるだけでも大分状況が違うんだろうなと。

青木:1人で出張でホテルに滞在しているときに、誰もいない静かな空間で仕事をすることは結構大変ですよね。誰かにちょっかいを出されて、良い感じに構ってくれて、それで生産性があがるという人は結構多いんじゃないかなと思います。

岩沢:コロナで人と会えなくなり、植物を購入しました。毎朝8時までに水をあげたり、ちょっとの変化を気にしたり、植物に合わせて生活するように。
人間ではない何か、これがロボットでも、植物でも、動物でも、一定以上自分が何かと関わっていたいんだという発見がありました。


編集後記:ユカイ工学の商品を振りかえると

セールス担当として、BOCCOやQooboを紹介していると、

「〇〇の機能は、ないの?」「機能これだけ??!」
と言われることは、正直頻繁にあります。

シンプルな機能に絞っているからこそ、ロボットの1つ1つの仕草が愛らしくく感じる。そして、日々一緒に過ごしているからこそ、ロボットからの発話になら耳を傾けようかな という不思議な信頼関係が成立していきます。

気軽に人に会いづらい世の中になり、自分が何かと関わっていたい、そんな気持ちの人も増えてくると思います。
「1家に1台ロボットのある暮らし」を目指して、ちょっと頼りないところはあるけど、ロボットが居ることによって笑顔が増えるような世界が広まりますように。

最後に岡田先生の著書をご紹介して終わります。


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