星降る夜に出掛けよう 備忘録

髙木担による記憶のあるうちに書いておきたい美しい世界のメモです!

2023年6/12〜6/21  京都南座 12公演
2023年10/2〜10/28 大阪松竹座 30公演
全42公演

髙木雄也 中山優馬 髙地優吾 をメインキャストに
坂東玉三郎さんが演出・翻訳・脚本・作詞を行った舞台。
サン=テグジュペリの「星の王子さま」とジョン・パトリック・シャンリィの「喜びと孤独な衝動」「星降る夜に出掛けよう」の3つの戯曲の混合で構成されており、劇中歌に井上陽水、安全地帯のPOPSやアメリカン・スタンダードの曲が使用されています。

全体を通したテーマは孤独。
綺麗な心で見に来て欲しいという髙木くんのお言葉通り、まっさらな気持ちで美しい世界に身を委ねるのがこの95分の夢のような舞台の味わい方かもしれない。

さっそく演目、歌の感想!

・星の王子さま
髙木くん演じる青年と髙地くん演じる星の王子さまの2人芝居。青年が星の王子さまと出会ったことを語りかける形で始まる。星の王子さまの話を信じてもらえない青年の孤独にまず胸を締め付けられる。

・calling you (Bob telson)  髙木くん歌唱
この曲はどこかで聴いたことのある曲ではないかと思うのですが、ロングトーンが印象的なこの曲、私的には深夜のFMラジオで流れてたイメージで小学生の時に子供心に物悲しくてちょっと深夜に聞くのは怖いけど歌が本当に上手い人しか歌えない曲だよな、ほとんど声じゃんって漠然と思ってたんですよ。それを!髙木くんが!歌い出した!!!???え?!これを?!ですよ。
しかもほぼ伴奏なし、語りからのアカペラで歌い出す。音程も難しいと思う、難易度の高い楽曲。
それを含みのある、豊かで劇場に響き渡る声で歌い上げるんです。本当に圧巻です!
曲中にも語りを入れながら、音の端まで丁寧に歌いきります。震える…喉どうなってるの?すごい...ハミングも美しい。
JUMPで歌ういつもの発声とは明らかに異なっていて、
玉三郎さんが毎日歌の指導をしてくれたと言っていたし、他のお二人からも髙木くんずっと歌の練習をしていると言っていた、歌にかける思いが1曲目でビシビシ伝わります。ベイジャンで喉のここへ持っていけばこの音が出るというのがわかるようになって〜と話していたけど、本当に鍛錬の賜物だと思う。1曲目から涙が溢れる。

京都から大阪になって衣装にパイロット帽がプラス☆ジャケット着て帽子装着して歌い始める。髪が短くなって帽子が似合う!

・カナリア(井上陽水) 髙木くん髙地くん歌唱
砂漠で出会った星の王子さまと歌い舞い親睦を深めるシーン。地球には美しい声で歌う鳥もいることを伝えたくてカナリアを歌い出す髙木くん演じる青年。前半は髙木くんパート後半は髙地くんパートとユニゾン。美しい情景が見えるような抑揚と力強い声で歌い上げながら羽根を持ち2人歌い舞う。手をクロスして回ったり王子が無邪気におどけたり、羽根を取られてこらー☺️ってしたり、何を見せていただいてるのでしょう、多幸感。
この曲で初めて出てくるアンサンブルさん達、玉三郎さんの化身のような所作で美しい。

・虹のできる訳(井上陽水) 髙木くん歌唱
青年から眠る王子様へ贈る唄
全てを包み込むような優しく慈しみを感じる暖かい歌声でおやすみを歌ってくれます。髙木くん持ち前の低音の深みとたっぷり情景をのせた歌声。最後の節にかけてふくらんでいく歌声が身体に振動する感覚。すごい。
毎日聴きながら眠りにつきたい。音源ください。

・あなたがどこかで(安全地帯)  髙地くん歌唱 その後2人で歌唱
王子様から眠る青年へ贈る唄。
その後姿を消した王子と2人で歌う曲。
あなたは1人じゃないということを優しく歌い重ねてくれて涙がでる。心が疲れた時に寄り添ってくれるような歌だった。
無事に砂漠から帰還した青年と、星に帰ってしまった王子の語り部分は2・3階席から見るとプロジェクションマッピングで王子様の足元には月と青年の足元には地?が写されて美しい演出でした。
アンサンブルさんの鈴の音と所作が美しい。

星の王子さまへ手を振る髙木くん、最終日はダブルピースを一振り混えててやり切った気持ち感じました。ダブルピースで感情伝えてくれるゅぅゃくんのギャルみに双眼鏡が震えました。

・間
アンサンブルの方たちのダンス。
坂東玉三郎さんの美意識が凝縮されたような時間と空間。星の王子さま冒頭からずっと流れる少し悲しいような不思議でシンプルな曲に合わせたBGMで照明の美しさと所作の美しさで美の世界を味わう。
ここすごい好き。

・喜びと孤独な衝動
髙木くん演じるウォルターが優馬くん演じる親友ジムに恋人の人魚を紹介しようとしたが信じてもらえず孤独な哀しみを感じるお話。
恋するウォルターが死ぬほどかわいくて、純粋で、るんるんな気持ちが身体全体から溢れてる。頬杖をつきながら寝そべり投げ出した長い脚をパタパタしてもう、かわいい!!そしてこれがまた舞台センターの客席ギリギリのところで繰り広げられる。運良く1列目の席から1度観劇しましたが、率直に近すぎておののく。周囲の人間を固まらせる顔の近さ。舞台淵から客席に向かって身を乗り出し光るカボチャを差し出しながらサリー!と呼びかけられると息を詰めるしかなくなる!!それもまっすぐ必死にサリー!サリー!と呼びかけられると、あれ、私ってサリーでしたかね…そんな悲しい顔するなら名乗り出たい、しかし私はサリーではない…と余計なことを考えてしまう。
そんなとんでもないサリー席を産み出した演目ですが、優馬くんのジムとの掛け合いでくすりと笑わせてくれる場面でもあり楽しいです。その日の空気を感じてちょっとした間を変える優馬くんの演技はとても秀逸!
相手のセリフを聞いて応えるようにセリフを言うようにしてると言っていた髙木くんも、日々変わる間に対応していてその日の空気ができてる。舞台は生物ですね!

・雨(安全地帯) 髙木くん歌唱
ジムが立ち去った後サリー🧜‍♀️の声が聴こえて歌い出す伴奏なしで「愛しているんだよ」から始まる曲。
感情をたっぷりのせた歌は圧巻の一言。
友人を失った孤独と人魚に恋をするという夢のような叶わなさを伴う悲しい恋がぎゅっと詰め込まれた、切ない歌に胸が締め付けられる。自然と涙がでる。
これぞ髙木雄也の真骨頂では?!という歌で、なんかもう本当にすごい。(語彙力)
そして最後に微笑みを浮かべます。はーとんでもない。

・Honesty (ビリー・ジョエル)  優馬くん弾き語り
誠実であることを力強く歌い、次景の星降る夜に出掛けようの導入も兼ねていると思われる歌。
歌がシンプルに上手い。素敵。声質と曲がぴったりだしピアノも弾けるのかよ!エンタメの経験と実力を感じる!

・星降る夜へ出掛けよう 
優馬くんと髙地くんの演目
真剣に話すことで表面上の友人や取り憑く妖怪や幽霊が立ち去り星降る夜にたどり着くお話。シャンリィの戯曲だと優馬くんの役が女性でした。ドストエフスキーに似た男の髙地くんの鬱々とした男ぶりと真剣になることへ行動に移す優馬くんの男のかけあい。
解釈が難しい戯曲だけれども、お芝居のアプローチを細かく変更していて見るたびに違いがあった。
先に戯曲を読んでいたから、演目通しての表現の仕方が興味深かった。アンサンブルさんもすごくて、女友達のお面のリアルさと、所作と、黒い服の上に装着した女性の脚で近くで見てもあれ?女性キャストいたっけ?って動揺。女性の仕草が良い。髙地くん演じる男を取り巻く幽霊や妖怪もすごくて、母の幽霊の怖みがすきです。包丁いつのまにどこから出てきたんだ?!って思わず何度か確認してしまいました。

・星降る夜に 3人で歌唱
星降る夜にたどり着いた2人に髙木くんが合流して3人で歌唱。京都では僕も混ぜて!って言って入ってきたけど大阪では自然な合流。
マイムでシャンパンとグラスが出現して乾杯🥂!
京都では両手にグラスを出現させていた髙木くん、大阪ではどんどん上に出現する時もありました。
客席の天井まで満点の星空の中で心の自由への讃歌を歌い上げる光景はただただ夢の中みたい。キラキラキラキラ

歌と踊り

・The Stranger(ビリー・ジョエル) 優馬くん歌唱
キラキラジャケットを羽織ってショータイムだよ!
タバコ演出から始まる渋さ!スターみがあってシンプルに曲がすき。優馬くんの少しハスキーな声にもあってて歌もダンスも最高。頭に残る曲で仕事中とかふと思い出しちゃう。すき。

・Mack the Knife  髙木くん歌唱
死体を蹴り上げたりステッキを操る髙木くんにメロメロになる曲。ここまでの純粋な役柄とガラッと変わって血まみれナイフのギャング?の曲やばい。後半にかけての盛り上がりの声量よ!言わせてください。脚がながーーーい!!!玉三郎様のスーツ似合う!
曲の雰囲気でブロードウェイと銃弾を思い出すね!今のパワーアップした歌声でミュージカルにでる髙木くんが見たい!!!

・ジェニーの曲 髙地くん歌唱
破天荒ジェニーの生涯を歌う曲、髙木くんが1番好きと言ってたのわかる。物語性と照明やアンサンプルの方達の豊かな表情もすごく楽しいエンターテイメントな曲!髙地くんが人を椅子にする2つ目のシーン。シャンパン開けてシュワシュワ溶けていくアンサンブルさん楽しい。
この曲はYouTubeで調べると昔のサーカスと融合したステージが出てきたりして楽しい。The sage of jennyでご検索を。

・情熱(安全地帯) 3人の歌唱、カテコもこの歌唱
希望と夢が詰まった曲を3人で歌って踊ってくれる。客席も手拍子曲。見てるうちにダンスちょっと覚えちゃって引っ張られて手拍子乱れがち曲。キラキラのショータイム最高だね!このダンス髙木くんのポッピンがちょっと入る感じが見れてまた良い。

カテコは情熱を歌いながら上手下手にお手振りしてくれる時間があって、こちらは手拍子したり拍手しているうちに夢のような時間に幕が閉じます。

美しい95分一本勝負の夢を見た感じでした。

個人的には、後半にかけての髙木くんの喉の調子が辛そうな時、調整して歌いあげるというプロテクニックにも感動した。
長い大阪公演、喉は消耗品とも聞くし後半にかけての辛さがあったのかなと感じたんだけど、それでも響き渡らせることのできる歌声。
ベイジャンで話してた喉の違う部分を使って調整したりねって話してたのこれ…え...すごい。
調整して観客に届けることができる状態に持っていくことのできること、技術とプライドと気持ちを感じた。
髙木雄也の成長は止まらないよ。

最後に、坂東玉三郎さんの美の塊の世界観を感じられて幸せでした。「大切なものは目に見えない。心の目で見ない限りははっきりと見えないんだ」
星降る夜に出掛けようをありがとうございます。

使用楽曲メモ
・calling you 

・カナリア

・虹のできる訳

・あなたがどこかで

・雨

・honesty

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?