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アンゾフの成長マトリクス

イゴール・アンゾフ(1918-2002)は、「戦略的経営の父」とも呼ばれるロシア系アメリカ人の経営学者です。有名なのが「アンゾフの成長マトリクス」と呼ばれるフレームワーク。成長戦略を「製品」と「市場」の2軸におき、それをさらに「既存」と「新規」に分けて、マトリクスに整理します。①既存製品×既存市場=「市場浸透戦略」。いままでの市場、既存の製品・サービスで、売上・市場シェアの拡大を目指す。②新規製品×既存市場=「新製品開発戦略」。いままでの市場に、新しい製品やサービスを投入して、売上を拡大。③既存製品×新規市場=「新市場開拓戦略」。既存の製品やサービスを新しい市場に投入する。④新規製品×新規市場=「多角化戦略」。新しい市場に新しい製品やサービスを投入する。①が基本で、④はハイリスクハイリターン。②と③は、業界や自社の状況によって難度が変わります。このアンゾフの成長マトリクスは基本かつ重要な考え方で、成長戦略策定では必ず考慮する必要があります。

感染症拡大以降、既存のビジネスが通用しなくなり、将来が極めて不透明な時代です。この厳しい環境を乗り切るため、企業は成長戦略(生き残り戦略)を考えなければならない。最近、大手金融グループが新規事業の創出を急いでいます。理由は二つ。従来の融資中心の伝統的銀行業務だけでは生き残れないという危機感。銀行業務範囲の厳しい規制が、どんどん緩和されているという環境要因。これにより、IT企業と競争しつつ新事業の開発を加速しています。社内のビジネスアイデアコンテスト、外部新興企業への出向、理系専門人材の積極採用などなど。仮定ですが、例えばスマホ決済事業(ペイペイと直接対決)は②、農業をするなら④。発想段階では、①~④をすべて考える必要があります。ダイナミックに④まで広げて、そこから現実に近づける。技術、ノウハウ、囲い込み顧客に強みがない拡張は失敗するので、アイデアだけの④勝負は危険です。M&Aスタートが現実的ですね。

このアンゾフの成長マトリクス、企業活動だけではありません。個人のキャリアデザインでも活用できます。「能力・スキル」と「人間関係・人脈」の掛け算です。今ある強みと、これから獲得する強み(今は強くない)を、よく考える必要があります。企業も個人も目的は「成長」ですからね。

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