耳學問ノスヽメ

これまで「大物」の国家資格として、司法書士試験と弁理士試験に合格することができている。いずれも仕事と家庭でヒイヒイ言う中での合格だったが、隙間時間に耳から学習したのが良かったと自分では考えている。

ここでは、耳から勉強する「耳学問」について、コツというか、自分で良いと思う取り組み方を書いてみる。

そもそも

いきなりそもそも論で恐縮だが、資格試験に限らず勉強をするにあたっては、自分の特性を知るべきである。特にここでは、「目から情報を得る」「耳から情報を得る」どちらが自分に向いているか考えたい。俗に視覚優位・聴覚優位というアレである。

なお、私は下記のブログにとても共感する。

私はかなりの聴覚優位であると感じている。視覚はまるでダメ。

どのくらいダメかというと、テキストの類を読むとほぼ1ページ持たずに集中が切れる。テキスト等文字を追いながら読んでいると、脳内プロセスとしては:
・目で見る
・文字として読み脳内で音声化する
・脳みそに入る
・理解する
・脳みそに収まる
のステップが必要で、このうち「脳内音声化処理」が重いのか、それとも「理解する」の部分と同じ脳みその部位を使っているのか、まるで脳みそに収まってくれないのである。
(ところで、当たり前のように「脳内音声化」と書いたが、これって皆そうだよね? 脳内にアナウンサーがいて、自分が目で読むのと同じタイミングで音で読み上げてくれるような感じ)

聴覚の場合は、上記の音声化処理が要らず、
・耳で聞く
・脳みそに入る
・理解する
・脳みそに収まる
というプロセスのようで、かなりすんなりと脳みそに入ってくる感覚がある。

このように、視覚と聴覚のどちらが優位なのか、まずはご自身で振り返ってみるのが良い。そして、視覚優位の皆さん、申し訳ないがここでサヨウナラ。私には視覚優位の方に言える何かを持ち合わせていない…。

耳学問の良いところ・良くないところ

耳学問は、何より場所を選ばないのがありがたい。また「ながら」が容易な点も同様。私の場合は移動中等は常に聞いていたし、昼食で社外に出るときは、良い気分転換になって一石二鳥だった。

ただ、あくまで聴くだけなのでコンテンツはインプット系に限られる。「ではやってみましょう&やり終えた前提で続き話します」系の講義はやらずに続きを聴くしかないし、講義録画のコンテンツで「では今から~分でやってみましょう(その後無音)」といったものはしんどい。

また、インプット系であってもコンテンツを選ぶ。例えば、板書を指しながら「コレとコレがこうなって…」と説明されるとちょっと困る(後述するが、それでもOKの場合がある)。音声配信されている講座でも、単に通学授業の録画を配信しているだけのこともあるので、その点では通信専業の教材か、少なくとも配慮している予備校・教材等を探すのが良い。

あとは、「ながら」になる点には常時気を付けるべきである。特に歩行中・運転中など、周囲の音に気付かなくて事故を起こすことがないよう、細心の注意をしたい。

隙間時間って?

隙間の時間のこと。具体的には、以下を除いた隙間の時間:
・睡眠時間
・(通常は)風呂の時間
・仕事や家庭で耳を空けておかなければならない時間

つまり、移動中(通勤通学のみならず、出張の移動とか、食事で社外へ出るとか、スタバなうの時間とか)や運動中などの一人時間を指す。問題がなければ家事の時間なども含まれよう。私はトイレに行く時間にも聞いていた。

これはとにかく探すしかない。また、次項にも関連するが「聴こうと思ったらすぐ聞ける体制」の準備も大事である(その意味でもShokzはおすすめ)。

なお、耳学問の極意は「ながら」にあると考えている。私はコンテンツを聴くことに集中すると、やはり眠くなる。あえて他のことと同時に耳学問することを、個人的には推奨する。時間の効率もいいし。

耳学問の準備

順序が前後したが、耳学問を効率的に進めるための準備が必要である。

1.再生デバイス・アプリ

なにより再生用のデバイスだ。

私は、iPhoneにDropboxをインストールして、Dropboxから再生していた。Dropboxを使うことで、PCでコンテンツを入手し、スマホで聴くというのがストレスなく可能となる。

スマホアプリの場合、アプリをバックグラウンドに送ったり、スマホ自体をスリープ?にした場合に再生が止まらないことが大事。Dropboxはその点大丈夫。

1.5倍速などの高速再生ができればなおよかったが、私はファイル管理が楽な方を選んだ(追加削除や名前の変更(聴く順にリスト表示されるよう、ファイル名の頭に連番を振ると良い)をPC上で行えるのは大きい)。

2.イヤホンの類

何で聴くかもかなり重要。家にいる間は普通のイヤホンでもよいと思うが、電車の中(特に地下鉄)など、周囲の雑音が多い場所で再生する場合、ノイズキャンセリング機能が欲しくなる。そんな場合に私が使っているのはコレ:

逆に、運転中など周囲の音は聞こえるようにしたいという場合、骨伝導タイプのものは耳が開放された状態になるので便利である。AirPods 等でも外部音が入るようにはできるが、物理的に開放されているのは楽。なお、私が使っているのはコレで、実はこれがメイン機&オススメである。稼働時間も長いので、再生しない時でも装着しっぱなしで問題なく、先述の「すぐに聴ける体制」に適している。

最近は機会がないが、飛行機で移動する場合はより静穏性が高そうなこういうのを使うのも良い:


高けーと言うなかれ。他にも試したデバイスは両手からあふれそうなくらいあるが、経験上、高い方がちゃんとしている。あと、バッテリー持続時間も気にしたい。

なお、Shokz のものは専用のUSB充電ケーブルが必要だが、パッケージに2本ついてきたので家と会社に置けて便利。こういう気づかいはありがたい。

3.その他

意外と大事なのが、コンテンツの長さ。コンテンツによっては1本3時間という長編もあれば、逆に10分のものが20本などと細切れなものがある。前者は講義丸録りだったり、後者は好きなところから聴けるようにという配慮だったりする。

長編の場合、再生の再開がスムーズであってほしい。途中まで聴いて一旦止めたが、その後再開しようとしたらまた最初からになってしまった…では正直困る。

短編の場合、再生が終わるたびにデバイスを操作しなければならないのが苦痛である。コンテンツを連続再生できるアプリ等の場合、きちんとコンテンツの内容順にファイルが並ぶよう、ファイル名の加工等をするのが良い。そうでない場合は、いっそのことコンテンツを結合して長編にしてしまうのも良い。

とにかく、聴く前の準備は学習効率に響くと考えるべきだ。

聴くべきコンテンツ・その後

さて、どのようなコンテンツを聴くのが学習上効果的だろうか。耳学問が「ながら」を前提としている以上、耳学問だけで全てを理解すようとするのは無理がある。従って、聴き終わった時に「全部理解するのは無理だけど、なんか頭に残った感じがする」を狙う。

1.何を聴くか

この点、私論としては、新しいことが分かれば何でもよい、と考えている。学習を始めたばかりでは、ほとんど何もわかっていない状態であるから、基礎講座の類を垂れ流すだけでよい。もちろん、全て理解するのは無理だろう。しかし、何か頭に残るとか、ぼんやりと全体像の一部がイメージできるとか、「あ、また○○(何かキーワード)が出てきた」とか、そういう程度でよい。

2.次に何を聴くか

それが終わったら、また別のコンテンツを聴いてみる。状況が許すなら、一度アウトプット系学習をしてみてからその解説とかでもよいだろう。とにかく、新しいことが分かればよい。

別のコンテンツがなければ、同じコンテンツを何度も聞いても良いと思う。ただ、初級者向けコンテンツは概して時間の割に内容が少ないので、効率を考えると、少しずつレベルアップしていけるのが理想的である。レベルアップしたコンテンツについていくために、間にアウトプット系の勉強を挟むとかも良いだろう。

3.いつまで聴くか

やがて、聴いていて知っている事項が増えていくだろう。すると、ただ聴くだけでなく、「はいはい、~ですよね」とか「そりゃ~になるわな」とか先回りできたり、さらには「今の~間違えてるやん」とか、ツッコミを入れられるようになる。コンテンツ上「これとこれが」と言ってても「アレとアレのことを言ってるな」とわかれば理解度は相当なものだろう。

そして、聴いても目新しい知識が得られない状況になったら、そのコンテンツは卒業である(そうなる前に卒業して上のレベルのコンテンツに移行する手もある)。

4.耳学問だけで合格できるのか

試験種によってはそれも可能だろうが、原則アウトプットが必須となるだろう。ただ私の場合、耳学問に専念していた時間の比率は高めだったのではと感じている。

あくまで私見だが、インプットの後「じゃあ次はよくわからんけどアウトプット教材で」と、インプットとアウトプットを相補的に使う方が多いのではと思っている。私の場合は「だいぶインプットしたし、ここから先はアウトプットかな」と、インプットでの完成度をあげてからアウトプット系に手を出した。

5.どういう教材がいいのか再考

インプットで完成度を上ていくには、複数のコンテンツに手を出すことを推奨する。これは、コンテンツのレベル感(初学者向け、中上級者向け)という観点のみならず、同じ題材・レベルでも別の講師が担当するコンテンツを聴くことを指す。

講師が違えば教え方も違うので、より理解が深まる可能性が高い。例えれば、最初の講師で縦糸をひき、次の講師で横糸を通す、のような感覚である。また、講師との相性も正直ある。話し方に癖があって、聞いていてもなかなか頭に入ってこないという経験は何度かある。

複数コンテンツに手を出すのは費用面で負担となるのは確かである。しかし、もともと「ながら」「隙間時間」を活用し、腰を据えて勉強する時間を節約(あるいは設けない)作戦なので、ある意味時間をお金で買う形になるのは止むを得ない、と考える。

教材ではなく自分の時間を買っているのである。

おわりに

最初から最後まで、検証等をしたわけでもなく「それってあなたの感想ですよね?」状態であるが、何かの参考になれば幸いである。

最後まで読んでいただき、感謝。


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