he is for She is (1)

きいて、She isってウェブマガジンが出来たんだって。あんまり良く分かってないんだけど、女の子が集まって秘密の花園を作っちゃうぞ、みたいな感じみたい。いいなぁ。 https://sheishere.jp/


僕も仲間に入れて欲しいな、でも男だからきっとダメよね、いっつもそう、どうしてアタシが好きになる人はアタシのこと好きになってくれないんだろう、、、って想いが爆発しちゃって、文章の練習がてら一人でhe isを作ることにした。あんまりガチにやっても営業妨害だし、承認欲求が満たされれば何でも良いから、ブログとはやり方を変えて推敲しない素の文章を読んでもらうんだ。ありのままのアタシを見て。



he is



"he is"は自分らしく生きる僕を祝福するライフ&カルチャーコミュニティです。仕事や恋愛、ファッションやビューティなど僕の多様な生き方を探るウェブマガジンと、コスメや雑貨が詰まったギフトを、魅力的な僕だけの声とともにお届けします。



he is for she is 連載1回目 

(1200字 執筆制限時間30分)



『あたしはもうこのドライヤー変えようって言ったのに彼が頑なにこのドライヤーを使いたいと言う理由』



うちのドライヤーは何年か前のパナソニックのドライヤーで、確か水野真紀が「きれいなお姉さんは好きですか?」と言いながら艶々した髪を棚引かせるのが印象的な(少しえっちな)コマーシャルを観て、その頃はまだ10代だったけれど、綺麗なお姉さんという言葉の響きにきっと憧れを感じ、お母さんにねだって買ってもらったもので、ローズピンクのボディは少し傷ついていてきたけれど、まだまだ使えると思っているし、私の青春を傍から支えてくれた。


あれから年月は流れ、残念ながらきれいなお姉さんにはなれなかったけれど、お姉さんにはなってしまい、目に見えないナノイーとか言う不思議な力で私の髪をまとめたり、梅雨の時期はまとめなかったり、少なくともお風呂上がりに髪を乾燥させる仕事は万全にしてくれていて、たまに面倒臭くてタオルを頭に巻いて寝てしまった日もあるけれど、不貞腐れず、故障もせず、失恋して髪を切ったショートカットの私や、髪を巻いた君が好きと言われ胸の下まで伸ばして傷んだ毛先の私も、ただただ乾かしてくれている。


東京の大学に進学した私は経堂で一人暮らしを始め、それから気が付けば3回も引越しをして今の学芸大学の家に辿り着き、お付き合いしている男性や、まぁそれに準ずるような男性を部屋に招いたりする機会も増え、甘えるのはあまり上手じゃないれけど、せがんで私はたまに髪を乾かして貰うことがあった。本当にたまにだけれど。


美容院でブローされている時のうっとりするような心地良さとは違い、何か精密機器を組み立てるような仕草で髪を乾かす今の恋人は、頼めば嫌がりもせず、お風呂あがりの薄っぺらい私の顔を褒め、なかなか乾かないねぇと、毎回同じ台詞を言いながら、職人のようなしかめ面で手首を振り続ける。焼き鳥になった気分。


ある夏の夜、なかなか乾かない髪の毛にうんざりして、もしかして新しいドライヤーに変えたら早く乾いたりするかな、新しいあのダイソンのかっこいいやつ、とても高いけれど毎日使うものだし思い切って買っちゃおうかな、そんな思ったことを寝る間際に寝室で彼にボソッと言ってみたところ、実は卑しい私なりの誕生日プレゼントの催促でもあったのだけれど、あっさり「それはどうかな」と断られてしまった。


そうしたら急に嫌な気持ちになってしまって、いかに新しいドライヤーを買えば髪を乾かす時間が短くなるだとか、髪のキューティクルがどうこうとか、節電にもなるとか、そういう事をとにかく沢山バカみたいに言って説得してみたのだけれど、彼は一向に良い返事をしないから、ますます怒ってしまい「明日もう買いに行くから良い!」と言い捨ててソッポを向いてしまう最悪な私。


彼は眠そうな声で、とてもめんどくさそうなフリをしながら、ひとこと「だってドライヤーしてあげる時間が減っちゃうじゃん」と言うと、私は彼のことが好きで好きでたまらなくなり、抱きついて、キスして、泣いて、彼のTシャツを鼻水でぐしゃぐしゃにした。



明日もまた、勢いで文章を書きます。

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