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he is for She is 番外編

自炊の話。


たぶん週に一回とか、そのくらいのペースなんだけれど、月に何回かたまらなく家でご飯を食べたくなるタイミングがある。美味しいご飯はお金さえ払えば外でいくらでも食べる事ができるけれど、家でしか食べられない料理というのがあるから、仕方なく、栄養素を摂取するような感覚で簡単に作る。


昔から料理に対しては趣味性を高められずにいて、例えば学生時代に一時期ペペロンチーノを昼に毎日作り続けていたのだけれど、ついぞ一回も満足する出来のものを作れなかった。下手くそなんだと思う。料理に疲れてしまうと食後に洗い物をしたくなくなる物ぐさな性格もあって、出来る限り料理はしたくないし、しても手短に済ませたい。


なにも予定がない日にブリ大根なんかを作るのは非常に気持ちが良いものだけれど、仕事から帰ってきて自炊をするとなると、それはもうお腹ではなく欲求を満たす為の一大イベントであって、自分がどうしても食べたいものを半分泣きながら調理することになる。


ここ半年、いや一年くらい、私が自炊をすると言ったら、味噌汁と鍋の中間にあるような、出汁で野菜と肉を煮たものを作る事を指す。米を一合炊いて、五分くらいで完食してしまう事が多い。豚汁のようなものを想像して頂ければ分かりやすいと思う。


幼稚園児でも作れるほど簡単で、鍋に水を張り、だしパックを2つとか、気分によっては3つくらいぶち込んで、そこに切った大量の野菜を放り込み、煮立ったら豚バラとか油揚げを追加する。味付けは何もせずそのままでも良いし、小皿に移して塩・ごま油・胡椒で食べる事が多い。二杯目は味噌を溶かして黒七味を振るか、醤油と生姜で味を濃くしたりする。


この料理と言えるか微妙なラインの、高級だしパックと野菜の旨味に頼り切った汁物は、残念ながら家で作る他なく、見た目は悪いけれど破茶滅茶に美味いので、作る前は面倒で挫けそうになるけれど、食べると努力は裏切らないなぁと学びが毎回ある。


前置きが長くなったけれど、僕はそのくらい料理をしたくない人間なのですが、たまに簡単な酒のつまみなんかを拵えたりする事があって、kiriのクリームチーズにおかかを混ぜ醤油をチョロっと垂らしたもの(メチャ混ぜにくいし見た目は最悪だけど美味い)を教えて貰って作ったり、今回は生物群というお嬢さんが冷たいピーマンの焼きびたしが美味しいよと言っていたので、試しに作ってみた。

これ→ https://sheishere.jp/hottopic/201709-seibutsugun/



読み返したりもせず、完全に記憶だけを頼りに作ったから、ピーマンの種を取り除き、フライパンで焦がし過ぎかなというくらい素焼きして、そこに前述の豚汁のようなものを作る際に発生する出汁をフライパンに掬い、タイミングがわからなかったので中火で軽く煮て、ジップロックの箱に詰めて冷蔵庫にポイ。


冷えるまで待ちきれずに一欠片食べたら、ええ塩梅で全部食べてしまいそうになっちゃった。何かを我慢するという事が極端に苦手で、すぐ辛抱ならなくなってしまう悪い癖があるから、次の日まで冷めるのを待つなんて料理、しかも全部食べずにとっておいて常備菜にしろなんて、僕とバイブスあわないなと考えてたけど、美味しくて数日後にまた作ってしまった。




シート状になったピーマンの見栄えが悪かったので、くるくる巻いてみたらどうにかなった。作り方の正解は油を引いたフライパンで丸ごと焼くらしく、なんか出汁の解釈も違うし、もう何もかも合ってないから噛んでもびしゃびしゃと滲み出てこない普通のピーマンの焼きびたしが出来てしまい、個人的には美味しくて何も問題なかったけれど、料理は科学であるからにして再現性を失った瞬間に奇跡に格下げされてしまうから、それはアカンとリトライしてみた。




良いタイミングで我が家に来客があって、これは完璧なタイミングだと提供したところ、喜んで貰えたので、うちは乾き物を中心とした菓子類(主に出張先で買ってくるヘンテコなものと頂き物のお土産が多い)をずっと出すようにしていたのだけれど、これからは少し趣向を変えてみようかなと、換気扇の下で煙草を吸いながらぼんやりと思った。


普段のhe isもいいけど、たまにはこういう普通に思ってる話を書きたいなと思ってピコピコやってたら1600文字だって。なげーよ。

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