ヤングキャスター ST-360

先日、若洲海浜公園の釣りに出かけた。
結果はいつものごとく坊主だったのだが、周囲も釣れている人はごくわずかだったので、そんな日だったのだろう。
釣れないのはいつものことなので気にならず、むしろ20年以上も実家で眠っていた竿を、ついに使うことができたという喜びで実にいい気分だった。

この竿を手に入れたのは、中学1年の時だったと思う。
夏にいつも帰省する田舎で釣りをしていると、竿が半ばでポッキリと折れた。
釣具量販店の安い延べ竿で惜しくはなかったのだが、数年使っていたので少なからず残念な気持ちはあった。
すると、一緒にいた伯父が「新しいのを買ってやる」と帰り際に釣具屋に寄ってくれた。
だがその釣具屋に並ぶ竿は、ふといリール竿ばかりで私の望む延べ竿が見当たらない。
一応リールは持っていたが、安物の小型スピニングリールとスピンキャストで並ぶ竿に付けるにはあまりに小さすぎる。
どうしたものかと思案した挙げ句、私は細身の竿を一本買ってもらった。
リール竿とはいえ、竿は竿。先端のガイドに道糸をつければ延べ竿代わりになるだろうし、釣り合うサイズのリールをそのうち手に入れればいい、そんな風に考えたのだ。
その「そのうち」がまさか20余年後になるとは、誰が予想し得ただろうか。

竿は、デザインこそ古めかしいものの劣化した様子はなく、きちっと伸びてくれた。リールの収まりも問題ない。
場所が場所だけに投げることもできず、アタリひとつ感じられなかったのは残念だが、いつかこの竿でエモノを釣り上げる日が来るだろう。
その時は写真を撮って伯父に送ろうと思う。

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