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ドビュッシー ベルガマスク組曲 パスピエの楽譜の誤植について

ピアノのレッスンで、ドビュッシーのベルガマスク組曲に取り組んでいました。楽譜は全音のもの(定番の青い表紙のやつ)を使っていました。
4曲目のパスピエを練習しているときに、気になる場所を見つけました。

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手書きで直してるので見にくいのですが、全音の楽譜では赤丸の部分(p.31 2段目の3小節目: 出だしから62小節目)の最後の音がEになっています。(Top画像が拡大版です)
はじめは気づかずに普通にDで弾いていて、私が持っている音源もDで弾いていました。Eで弾くとかなり違和感があります。
ピアノの先生に相談したところ、先生が持っていた楽譜もDだったので、とりあえずDで弾きましょうということにしました。
一方、Youtubeでの音源ではEで弾いている物もあり、気になったのでIMSLPの楽譜と見比べてみることにしました。

初版 (E. Fromont, 1905) : Eになってます。楽譜の体裁(譜めくり位置など)が全音と似ているので、全音がこちらを参照した可能性はありそうです。

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ペータース版(1969): Dになってます。米印がついていて"See Revisionsbericht" (校訂報告を見よ)と書いてあるのですが、IMSLPのスキャンでは当該の報告は見当たりませんでした。これ以上調べる場合はちゃんと楽譜を買ったほうが良さそうです。

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他にも、114小節目の左手の音が違う(A-Cis-A-Fisではなく、A-H-A-Fisになっている)という情報があったので比較してみます。この部分は再現部なので11小節目と同じ音形(A-Cis-A-Fis)と考えるのが自然だと思っています。

全音:A-Cis-A-Fis です。

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初版 (E. Fromont, 1905) : A-H-A-Fisになってます。全音はここを直したということですかね…

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ペータース版(1969): A-Cis-A-Fis です。(米印はない)

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感想とか

初版の楽譜の誤植の可能性が高いと思っています。全音の楽譜がいつのものかは、ちょっと分からないのですが(内表紙には1958年とある)、古いままで直しきれていないというのはありそうです。IMSLPにあるものも最新版ではありませんが、こういった比較ができるのはとても面白いですね。

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