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7話 高校3年就活中、2軒隣に漫画家が引っ越してきたので、とりあえず押しかけて僕が漫画家になるまで

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8話はこちら。

https://note.com/valensia/n/n0e13a40133aa?magazine_key=mb226382d11c8

スイマセンちょっとお久しぶりです。
締め切り明けだったもので、体力的にちょっとダラダラしてしまいました(汗)

今回はとうとう就職。

漫画では結構端折ってますが、就職の下りの説明を漫画でやっても特に面白くないので(笑)
父親の斡旋でどうにか水回り関係の大手の下請け企業に就職した僕ですが、最初は何も出来ることが無いので一番簡単な仕事を任されるわけです。

それが「円形の平たい物に、ドリルで穴をあける作業」。
会社は基本的には自分から色々聞かないと周囲は何も教えてくれないのですよ。

自分で色々聞くしかない。
もしくは、その平たい物に穴をあける作業を超真面目に続けていると、
年配の上司とかがようやく「頑張ってるなー!」みたいに声をかけてくれ、何かコーヒーの一杯でもおごってくれるわけです。僕は人に話しかけるのには昔から抵抗はないですし、割とすぐ打ち解けるので上司から切り崩していく、成功していたかどうかはわかりませんが(笑)

しかも漫画家になろうと思っている自分は、ここでどんどん仕事が増えて満足感を得て、仲良くなっていく事が逆に

「このまま居心地が良くなったら、ここでずっと働いてしまうんじゃないか」

と怖くなってしまうわけです。
いえ、いい仕事場でしたし、人も良かった、仲がいい人も多くて、全然悪い環境じゃない。仕事にやりがいも見いだせる会社でしたし、本当良い所でしたよ。むしろもう少し働いていれば良かったとすら、思っています。

それでも、僕はここにずっといる訳にはいかないのです。それ以上に皆プロが楽しいわけです。

と、かっこいい事を考えながら、一日一歩も同じ場所から動かず
円形の平たい物に穴をあける日々。


僕は中学高校と、ビーバップハイスクールの影響だったり、トレンディードラマや音楽番組の影響で良い感じにイキり散らし、
当時は、漫画にも描きましたが、とにかくまだこの時代まともな     ネットがないので、情報は偏り、コミュニケーションや
本やテレビ、ラジオの情報に、自分の足で稼いできた情報が全ての時代。
なので、近所のゲーセンで1番強いとか、学校で一番ゲームが上手いとか、
何日でクリアしたとか、ドラマの影響で初任給で16畳の1LDKに住めるとか、働き始めるとすぐ女性と付き合えるとか、
とにかく「お山の大将」になりやすく、すぐ脳が焼ける訳です。

だからこっくりさんでサタンやミカエル等を簡単に召喚し、
自分を好きな女子はいないのか等と途方もない質問が出来るのである…。
天界の敵対勢力のトップの様な二人が、
深夜、6畳の部屋に4~5人集まった性欲サルの恋愛相談を受ける。
MMRも驚きである。

学校でそれなりに友達の中心にいて、仲間も多い。
中学では学校の裏でまだタイマンがどうとか、夜中パトカーに追い掛け回されたとか、そういうのがすぐ武勇伝の様に語られる時代。


そういう、学校と地元、というパーフェクトワールドで生きてきた子供が
社会に出ると現実を知る、というお話なわけです。


円形の平たい物に穴をあける。


もちろん数か月もするとそれなりに慣れてきて、仕事も増えて、と
住み心地は良くなっていくのだが、
それでも、当時睡眠時間2時間で、朝から晩まで働き、晩から朝までアシスタントをして、毎日エスタロンモカを飲んでたら体調がおかしくなる。
そんな生活をどうにかできたのはやはり、
若さと、皆プロがホントに楽しかったと言う以外にないわけです。

真面目な話をすると、両親が「一度は普通に就職を」と言ったのは僕にとっては正しかったと思っています。
アルバイトや部活などで、社会に出たり目上との上下関係を学ぶ事は
就職しなくてもあるのですが、やはり根本的に就職となると、違うわけです。

アルバイトではダメとかバイトは下、いやなことをわざわざやらないといけないのか、就職しなければならないのか、という話ではありません。ただ、やっぱり就職というのは、高校生のアルバイトや部活動とは、違うのです。新入社員はやはり、何者かの部下になるわけで、ある種の主従関係。それが理不尽であっても、うまく立ち回らければならないわけです。
というのを結構学べる。

というのはですね。
アシスタント業だって、その業界で先輩と言うだけで、入った初日からとどうしても年下アシスタントのマウントを取りたがる面倒な人もいますし、技術を必要以上に誇示したがる人もいます。
自分の仕事の手柄をいつまでも主張する人もいますし、逆にとても絵が達者なのにどうしようもない僕に手取り足取り教えてくれたり、技を伝授してくれる先輩スタッフさんもいます。
数人体制の仕事場ですら場所によってはそういう事が起こりえるのです。これは大人数の会社よりも、24時間顔を向かい合わせて仕事する方がつらいです。なにせ逃げる場所がないのですから、衣食住一緒ですよw

え、今の僕ですか?納得いかない事は基本絶対やらないです(笑)というか昔から基本ほとんど従わないですね。作家さんのいう事にはもちろん従いますし、リスペクトしてますが、同業者のアシスタントは仲間ですが、ライバルでもあるので、そこで小さな主従関係など無意味です。リスペクト出来て、師事出来る先輩スタッフさんに従えばいいのです。


あとは、やっぱり給料が2か所から入ってくるのは
精神的維持には大きいかもですね(汗)
会社のボーナス月とかヤバいわけです。
アホほどゲームを買うわけです。
調子にのって鉄拳の基盤とかにも手を出す…。

今は思いますよ、貯金しろよ…と…

ついでの話ですが…この鉄拳2の「ある理由」とは、
実は鉄拳2は最初、ハメ技やバグが多く、すぐに修正版の基盤に差し替えられたのです。僕は個人で買っていたので、ゲームセンターの様に交換するには1か月以内に問い合わせなくてはならなかったのですが、そんな事誰も教えてくれないわけです。

で、遅れて基板屋に行ったらそういう話を聞き、24万8千円くらいした基盤をたったの7万で買い取られ、バージョンBをすぐさま24万8千円で購入するわけです。

バカ、ここに極まれり。ですが、仕事場でも家でも鉄拳2の練習ができ、近所にまだ5件もゲーセンがあったので対戦相手にも困らず、鍛えた末に全国大会に出られたので、元は取ったのではないかと…

で、今回のオチですが…

ある日仕事中、スプリガンファンの方はご存知、精霊惑星の回。
インディアンの儀式を防衛するためにスプリガンとアメリカ陸軍が対峙する。その回の見開き、インディアンの儀式を描きあげ、皆川さんがチェックしている時にそれは起こります。

悦に入り、見開きをチェックしながらコーヒーに手を伸ばす皆川亮二。
突然、コーヒーを口に含んだ皆川さんが見開きに向かって豪快にコーヒーを
吹く。ブゥホ!!ゲェフォ!!

一瞬時が止まるも、咳が止まらない皆川さん。

スタッフ的には、あまりにも豪快に原稿に吹きかけるので
ホワイトを吹くような、新たな効果を狙ったのかと疑うほどです。

気管にコーヒーが入っただけでした。

何か、この頃は毎回60ページくらいの短編構成だったようで
(9巻は精霊惑星、獣人伝承2、人口進化、聖櫃の4本)
大変だったのではないでしょうか。
僕は正直な話、スプリガン時代は本当に使い物にならないアシスタントで、背景も
ほとんど描けず、本当にゲーム攻略班の様なもので…。
時期を忘れてしまったので今度本人に聞こうと思ってますが、
スプリガンの何処かのタイミングで同じく漫画家の夏目義徳君
アシスタントに入りまして、彼の方が全然画力が高くデッサン力もあり、
戦力になってたと思います。何より僕と違い、当たり前ですがペンが使えるので。彼の登場編も多分描くので(笑)
(許可は本人に聞いてもらってます)



漫画家っぽい人の漫画講座っぽく思える講座。

持ち込み作品の傾向と対策。
というよりは今回は作品の冒頭どうやってスタートするか、だけを、
僕が見聞きしてきた話や経験をもとにお話しできれば、と。
とりあえずは賞に出す、読み切り、という前提で。

まず、月例賞を取るためには大体1~2次程度の選考があります。
今はわかりませんよ、あくまで当時の話ですよ、噂ですよ。


信じるか信じないかは、あなた次第ですよ。全ての雑誌社で同じ評価基準で選考しているわけではありませんよ。という前置きをしまして…


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