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さぁ、お金をトークンで打ち倒そう。

~Tokyo Honyaku Questの挑戦②~

1. マイクロペイメント

前回、お金と言語がTokyo Honyaku Quest(以後THQ)の目的であるコミュニティの更なる進化を妨げているという話をしました。今回は、お金と言語が何を妨げているのか、そしてそれをどう攻略していくのかというところについて書きたいと思います。

ブロックチェーンで可能となることとしてよく挙げられる中にマイクロペイメントがあります。①従来の決済システムを使ったのでは費用対効果が見合わないような少額の支払や、②一通貨単位未満の支払がこれに該当します。

勘違いしている人も一定数いると思うのですが、ビットコインやイーサリアムのブロックチェーンで実際に解決したのは②の部分のみであり、①の部分を実現するにはもう少し時間がかかります。

このあたりの議論も含め、マイクロペイメントの意義・革新性については、元金融マンとして別途真面目な記事を一つ書きたいと思いますが、今日はTHQをマイクロペイメントの好事例にしたいという意気込みを書きたいと思います。

このブロックチェーンが使える”じゅもん”の一つとも言うべきマイクロペイメントですが意外と何に使うべきかという議論がインターネット上にはありません。当然のことだからかもしれませんが少し触れさせてください。

マイクロペイメントをなぜ行う必要があるのか?
それは支払いたいからです。
え、当たり前だろって? そうなんですが、重要なのは何に対して、そして誰に対して支払うのかということです。
この問いへ答えはとてもシンプルです。

全ての価値に対して、価値を発揮している人・物に支払う

これまた当たり前のように思えますが、これが意外と当たり前ではありません。世の中、価値の尺度が非常「あいまい」であることから、その曖昧さに乗じたフリーライド(タダ乗り)が横行しているのです。

2. フリーライド in RPG

例を挙げましょう。ドラクエの世界では、全滅してしまうと「しんでしまうとはなさけない…」(これは2ですね)との決まり文句のあとに所持金が半分になります。直前でふっかつのじゅもんを聞いていればそれを入力すれば良いですが、しばらく教会に行っていなかった場合、戻ったところがスタートする必要があるため大幅に時間をロスします。プレイヤーは、実は時間の対価として所持金の半分を払っていたのです(強制的に取られますが笑)。

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一方で、あなたは村の中の重要な情報をくれる”むらびとA”にお金を払ったことがあったでしょうか?場合によってはそのむらびとの情報を聞き逃すと先に進めないほど重要だったりするにも関わらず、お金を払いませんね。そこに大きな価値はないのかもしれませんがその情報は0円ではありません。あなたは知らずのうちにフリーライドをしているのです。

確かに払う選択肢がなかったと言えばそうかもしれません。しかし、間違いなく”むらびとA”は製作者によって価値を与えられており、プレイヤーはその価値を享受しているのです。

現実世界でも、同じようなことが行われています。例えば、かなり普及している食べログやクックパッドですが、そのサービスを支えているのはユーザーの口コミやユーザーが書いたレシピです。

情報を利用しにくる顧客が見たいのは口コミ(含む指標である点数)であり、レシピであるはずなのですが、それに対して運営側は対価を支払っているでしょうか?払っていませんよね。

もちろん、レストランや居酒屋の情報を提供してくれることが価値で、そのサイト上の広告を見たり、お店のリコメンドを受けることが対価です。またインフルエンサーには払われますが、私のようにたまに口コミを書くようなにわかユーザーは残念ながら何ももらえません。

3. フリーライドが起こる理由

なぜ、払わないのか?私は以下の2つだと思っています。
・払う手段がないから
 
これは上で書いた通りですね。一つのレシピを上げたり、一つの口コミを書くことは価値ですが、その対価は大きくはありません。数十円、数円かもしれませんが、その金額を毎回支払うために、銀行の振込などの送金手段は使えません。
・払いたくないから
 このケースも多いと思います。当然ですが、企業側のコストは低ければ低いほど良い。払わなくてもサービスが成り立つのであれば、払わないにこしたことはありません。

払う手段がないことは仕方のないことだと思います。基本的に、市場でやりとりされるお金は基本的には法定通貨のみで、それ以外のものはなかなか流通しません。もちろん、金などは世界的にその価値が認められていますが持ち運びにくいですし使い勝手が悪い。そうすると自然に法定通貨に頼らざるを得なくなり、セキュリティや安全性を担保しようとするとコストがかかり送金手数料は高くならざるを得ません。

地域通貨の議論でもよくありますが、法定通貨は便利すぎるのです。国がその価値が保証しているゆえ、その国の中ではどこでも使えます。国の信用力にも依りますが、基本的に他国でも使えます。ただ、国が変わると使い勝手が悪くなるため、Exchangeのための手数料は取られますが。

つまり、法定通貨は利便性を追求したがためにセキュリティや安全性を担保せざるを得なくなり、高コストになったがゆえ、払う手段がなくなり、それが結局フリーライドに繋がっていると言えます。

4. THQで目指している”価値”の表現

THQで利用するHONはマイクロペイメントです。ペイメントと言うとお金っぽいですが、正確には価値の代替です。プライベートブロックチェーンであるmiyabiを使ってコンセンサスを得て、依頼者と翻訳者に対価が支払われます。

最初に行うのは記事の翻訳で、これはマイクロペイメントではなくてもいいものです。そこそこ長い記事であればそこそこの金額になるため、普通の送金手段でもそこまで効率が悪くありません。

なので、あまりマイクロペイメントとしてやることについて意味があるものではありませんが実証実験が終わったらマイクロペイメントでやるべきものを行っていく予定です。

例えば、絶対に実装したいと思っているものの一つに記事を読んでくれたユーザーにも確りと対価を払うということがあります。確かに、ユーザーは記事に書いてあるような、有用な情報を得ることで既に対価を得ているのかもしれません。ただ、金銭的な価値は薄いものの、そのサイトでその情報を得ているということも間違いなく価値だと思っています。

そこに対価を支払うべきだと強く思います。実際には99.99%は記事を書く人が価値を提供しているのかもしれませんが、読む人が誰もいなかったらいくら良い情報だとしても価値になりません。

殆どの人が何となく行っていますが、何かに興味を持つことも間違いなく価値です。記事を作るということについては記事を書く側と、記事を読む側がいてそれぞれ価値を出し合った結果、記事を書く側の方が価値が多いため、お互いの価値が相殺された結果、スポンサーは提供する側にお金を払うという構図になっています。相殺されていると考えればフリーライドではないのかもしれませんが、記録には残りません。

THQではこの提供される側にもスポットライトを当てていきたいと思っています。あまり測られてはいませんが、この価値がいくらかなのかを真剣に考え、対価を払っていきたいと思います。これこそ、マイクロペイメントで行う価値があるものであり、それが出来るようにしていきます。

それこそが、「お金」という魔王をHONが打ち倒すタイミングです。
世界の半分をもらうより、これを実現したいと思います。

長くなってしまいましたが、この辺で終わります。
次回は言語について書かせていただきます。

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