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ブランドを成功に導く武器

「価格が合わない」

これはものづくりをする中で1番聞く声かもしれない。

値付けは経営だと言われるほどに値付けは難しい。
売れる価格作れる価格などそこがビジネスをブレイクスルーする上でとても大事なのにやはりなかなかうまくいっていないと感じるのだ。
僕がここがうまくいかない理由は「武器」が他にないからだと思っている。
売るための武器が知らず知らずのうちに「価格」になってしまっている。

マーケットインとものづくり

ものを売るためには「マーケットイン」で考える。
プロダクトアウト(商品から始める)ではなくマーケットイン(市場のニーズから始める)というのはとても理にかなっていて
・どんな商品が売れるのか
・どんな需要があるのか
・どんな価格なら売れるのか

その観点から考える。

それはもちろん素晴らしいことなのだけれど、ものづくりをする身からすると
売れる商品を売れる価格で作るという超絶基本的なこの部分にめちゃくちゃ難易度が高いと思うのだ。

例えばこんな相談を受けることがある

「ユニクロより少し高い価格で10着からシャツを作りたい」

少し極端だけれどこれに近い話はよく聞く。
もちろんそれを否定したいんじゃない
(まず服作りに興味持ってくれてまじでありがとうございます!!)

思考方法としては間違えていない、
ユニクロよりも少しラグジュアリーを感じるもの(でも買いやすいもの)をリスクなく生産してオリジナルで販売できたら売れるんじゃないか?

すごく正しいし実際にSHEINなどは実現していたりもするから思考方法は1つの正解かもしれない。
「価格を武器にしよう」というわけだ。

では実装しようとすると実際に課題はいくつかある
・ユニクロ並みの価格で生産できる生産背景
・少量生産でも価格を抑える仕様
・資材の調達

などであるわけだが、実際にこの課題を「できるようにする」というのが「仕事」なのだ。
これが誰でもできるのであれば仕事ではない、例えばそれをヴァレイが簡単にできるとしてそれを発注するだけであればそれは仕事ではないのだ。

できないことをできるようにすることが仕事

ユニクロ並みの価格でオリジナルで10着からシャツを作りたい場合課題は非常に多いわけだが無理とは思わない。
この「非常に課題が多い」という部分が参入障壁であるから他の人ができないことである。
その他人にはできないことをできるようにすることが仕事であり、事業やブランド立ち上げで1番難しい部分なのだ。

そしてその1番難しい例えば「安く少量で作る」という部分を「なんとかなりませんか」とお願いするというだけしかすべがない場合は結構事業としては不安定じゃないか?と思うのである。

僕の周りで成功しているブランドのクリエイターたちは皆「素晴らしいデザイン」は当然のことながら間違いなく「他者が入ってこれない難しい部分」を持っている。
それはアパレルの専門的な知識かもしれないし、見た目かもしれない、
生まれが海外というアイデンティティかもしれないし、着物を仕入れたり扱ったりする専門知識かもしれない。
少なからず「他者が入ってこれない難しい部分」を持っているのだ。

ブランドを運営するための武器

他者が入ってこれない難しい部分=参入障壁や差別化

アパレルをやっているとどうしてもその差別化が「デザイン」になってしまう。
しかしこれだけでは正直かなりぶっ飛んでいないと売れないと思う。
誰しもがぶっ飛んでいる才能を持っているわけではないので後天的にこの武器を探すことが成功の秘訣になる。

では、その武器はどこにあるのか?

それこそが成功の秘訣である。
武器を見つけるにはとにかく「誰もやりたがらないこと」を集中してやるべきだ

例えば着物のリメイクをしているブランドだと「着物の仕入れ」とか「着物の洗浄」とか「着物のほどき」とか山ほど課題がある。
どれも一元管理でサクッとやってくれれば問題ないけれどそんな都合のいい会社はなかなかないから自分でコツコツやるしかない。
逆に他の人は「コツコツ」やらないから唯一無二のものができる。

例えばユニクロ並みの価格で作りたかったら
どこよりも安い生地を見つけるために人生の時間を使って、自分で工場を立ち上げて最大出力で生産をしてもまだ難しいだろう。
だから隙間時間を活用するラクスルのモデルを見てみたりすればいい。

もしくは自分の母や祖母などに格安で縫って貰えばいいかもしれない。
そうすると「他の人がその人の母親に縫ってもらうことはできない」わけだから差別化できるし価格もはまってくる。

こんなふうに他者がめんどくさかったり、難しかったりしてできないことをできるようになることでそれが武器になり結果唯一無二なものは売れるのだ。

武器は「自分で作る」

武器は他者に依存してはいけない。

特にものづくりにおいて「デザイン決定権」「価格決定権」と「納期決定権」は重要なファクターであるがその多くが工場が関連している。
だから工場が偉い!なんてことは当然思っていないが、その本当に重要な工場とのやりとりがどうしても後回しになってしまっていたり
「今は困っていない」という理由で工場が不安定になっているにも関わらず生産を確保できないのは非常に危険な状態なのだ。

2016年にヴァレイを立ち上げで2017年にMY HOME ATELIERの運営を始めて僕がずっと「作れないと売れない」と言い続けてきた。
当然ではあるものの「作る」という行為が今まではできていた。
工場が多く成功しているメーカーが少なかった。
しかし今は工場が少なく成功しているメーカーやその卵はとても多いのだ。
だから僕はそのデザイナーやメーカーの良きパートナーとして服作りがしたいのだ。

僕たちが皆さんの武器になれるようにと思っている。

後天的な武器の作り方

先天的に圧倒的にビジュアルがいいとか、軍資金がめっちゃあるとか、圧倒的な原体験があるとか先天的な武器は真似することができない。
しかしほとんどの武器は後天的に得ることができる。

そしてその武器は「武器」という割には誰でも手に入れることができる。

どうやって?
それはとにかく時間をかけること。
もしくはめっちゃお金をかけて時間を買うこと。

そして粘り強く人間関係を築くことなのだ

誰にでも時間をかけることはできるし、トラブルがあっても粘り強く相手の立場に立ってしっかりと対応することができれば他では真似できないものづくりを実現することができる。

急がば回れ
とにかくしっかりと時間をかける。
そうしているうちにどんどんみんな辞めていって自分だけの圧倒的な武器が手に入るのだ。

人間におそらく魔法は使えない。
だからしっかり粘り強く武器を研いでいくしかないのだ。


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