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定性的な目標を定量的な行動目標に落とす3ステップ

僕が数年前にアクセラレーションプラグラムに参加して頭をガツンと打った経験は何よりも「ロジカルシンキング」を学んだことだった。

「数字」というと夢のないものというイメージがあるし、
「売上」というとビジネスライクな感じがする。

だけどその定性的な「夢」とか「目標」を「数字」に落とすことで初めて夢が目標になり、達成できるようになるのである。

自分が今マネジャーや事業の担当者に対して話をしている順番をここで書いて自分の備忘録としたいと思う。

もちろんこの方法が正しいとか、間違えているとかはなくて「好み」とか無限にある方法の中から僕はこれが好きだって話であるということを最初に書いておきたい。
また、この方法に関しては適当なマーケティングやブランディングの本なんかを読んだらどこでも書いている内容なので「そんな当たり前のこと知っているよ」という方もいらっしゃるだろうが、そういう方はまぁ、いいじゃないですか。って感じで見てもらえると助かる。


定性的な目標を定量的な行動目標に落とす3ステップ

今回は具体例を挙げながら話をした方がいいと思うので仮説的なビジネスをおこしてみる。
あるところにLunaちゃんという女の子がいたとする(うちの犬の名前)
このLunaちゃんはペットがすごく好きでペットが歳をとっても元気に暮らせるためのペットフードを販売したいと考えている。

オーガニックで健康的なペットフードを売ることで、ペットの健康寿命を延ばしたいと思っているとする。
このLunaちゃんの夢を具体的な行動目標にしていきたいと思う。
(商品開発はすでに終わっていると仮定する)

この素敵なLunaちゃんの夢を具体的な明日やる行動目標に起こす3ステップは下記の通りだ

・Purpose(目的)を決める
・KPIツリーを作る
・最重要KPIを決める

どれも時間をかければ無限にできてしまうステップだけど、とにかく間違えていても完成度40%でもいいから作ってみることが大事なのでまずは挑戦してみよう。

Purpose(目的)を決める

Purpose(目的)とここでは呼ぶが、別にテーマでもヴィジョンでもミッションでもなんでもいい。
とにかく「このブランドを通じて達成したい、伝えたいメッセージ」を具体化するのである。

このPurposeがなぜ大事かというと「すべての目的地」になるからである。

例えば「ハワイに行く!」という目的がはっきりしている場合はどうやっていくか?は違ったとしてもいきたい場所が明確なので迷うことはない。

例えば従業員さんがいたとして「ハワイ行きのチケットを手配しておいて」とお願いするとする、これがファーストクラスだったりLCCだったり、東京経由なのか関西からなのかいろんなルートはあるだろうがとにかく「ハワイに行く」という目的がブレることはない。
しかしこの指示が「暖かい場所にいきたい」という指示だったとする。
そうすると沖縄に行くかもしれないし、季節によっては南半球は寒かったりするから逆に北半球に行くことになるかもしれない。

こういう時に経営者や指示をした人は自分の物差しを出してきて「普通暖かい場所といったらハワイだろ!」とか言い出してしまう。

この認識の違いを避けるために必要なのがPurpose(目的)である。

これは従業員さんだけじゃなくてお客様にも刺さるメッセージである、
お客様が何のためにそのブランドと付き合うのか?どうしてその商品を買うのか?そういう指標になる。

これがいわゆる「夢」だったりするわけだ。

そしてこの夢を語る上でのポイントは「達成したかが明確な設定」をすることである。

例えば「ペットの健康寿命を伸ばす!」とした時に「いつからいつに伸ばすのか?」とか「伸ばしてどうしたいのか?」が明確でないため計測が難しい。

だけど例えば「ペットの健康寿命を伸ばすことで、飼い主との大切な思い出を作る」という目標設定だった場合本来だと弱ってくる年齢にさしかかたペットと例えば旅行に行くことができて、最後の思い出を作ることが「できた」と計測することができる。

もっと具体的に「ペットと飼い主の大切な時間を1年間延長する」みたいな目標でもいいかもしれない。

「幸せにする」とか「輝かせる」とかそういう目標を立てる人が多いのだけれど、それが本当に達成したかどうかが計測できない以上このあと出てくる定量的な目標設定ができなくなってしまうのである。

なので夢を定量的に設定するというのが大切なポイントだ。

Lunaちゃんはそれを踏まえてこんなPurposeを立てた。
「ペットの健康寿命を1年感伸ばすことで最高の思い出を作り出す」
なんて目標を立てた。

KPIツリーを作る

Lunaちゃんがそんな目標を立てていざ商品を販売しようと考える。
purposeが決まったことで商品の画像の方向性とか、キャッチコピーとか、ホームページなどはかなりまとまって情報にブレがなくなってきた。

人と話をする時も、商談する時も必ずこのフレーズを言うようにすることで「あの人はこう言う人だ」と認識してもらえやすくなる。
さらに「自分も同じこと考えてました」と言う人も増えてリクルーティングもうまくいき出した。

だが・・・

表向きはいい感じだけれど実はあまり商品が売れていない。
やばい、これはやばい。
銀行から借入して商品開発は終わっているけれど一応消費期限のある「フード」という商材を売るにはどうしたらいいだろうか。

めっちゃ営業に行く?
D2Cと考えていたけど卸した方がいいのか?
いや、パッケージが悪いのか?
purposeが間違えていたのか?

様々な疑念が降りかかってきて眠れなくなるLunaちゃん。

ここで必要なのがKPIツリーである。
このKPIツリーはKPI(目標)の設定の意味もあるのだけれど、むしろ現状の分析のツールとして使うのも非常にgoodである。

KPIツリーとはどんなものか?

まず基本的には「売上」というのが指標になる、そこから四則演算(+-×÷)で計算できるように分解していく。

例えばLunaちゃんの商品の場合

売上=顧客数×客単価で計算できる
顧客数=新規顧客+リピート顧客で計算できる
新規顧客=広告表示回数×購入率(CVR)で計算できるし
リピート顧客=新規購入者数×リピート転換率で計算できる。

こんなふうに売上を軸に枝葉を作っていって分析をしていく。


参考画像引用元  https://dollyblog.org/kpi-tree/

これを最初は5〜7階層くらい作ってみる。
上記の画像の場合だと「来店者数」の部分の次の階層には「SNSからの来店者数+検索からの来店者数+それ以外」と続くかもしれない。

こんなふうにできる限り分解してみる。

そしてそこに自分のショップの具体的な数字を入れてみるのである。

この部分が「苦手」と考える人が多いと思う。
感覚的に何か足りない感じはあるからと思ってしまいがちだがここに関しては「我慢」しかない、忍耐強く挑戦してみてほしい。

そして数字を入れてからそれを分析してみるのである。

ただこれをただ数字で考えるだけではなく、ここにpurposeを紐づけて考えてみる。

例えば広告表示数は十分にあるにも関わらず「クリック率」が低い場合、自分たちの商品の魅力が十分に伝わっていない可能性が高い。
健康寿命を一年伸ばすというパーパスがダメなわけないし、共感する人はたくさんいるだろう。
しかしそれがわかりずらかったり、伝わっていない可能性があるので画像を見直してみたりすればいいかもしれない。

ショップの訪問数は多いけれど購入率が低い場合は魅力は伝わっているが最後に買うための「説明不足」かもしれないし価格が高いのかもしれない。

そしてその結果自分たちがこの商品を売ることができなければ極論だが「ペットの健康寿命を本来伸ばすはずに1年間伸ばすことができていない」と言うことになる。
売上と言ってしまえばそればまでだが、その売上は「健康寿命」であり、売上が目的なのではなくパーパスが目的なのだ。

ここで初めて定性的な「夢や目標」が「数字」とつながってくる。

最重要KPIを決める


こうやってKPIツリーを作ってみると大体ショップが売れていない理由が見えてくる。
大体の場合全体にちょっとずつだけ問題が起きているので、あれもこれも解決しなければいけないことがたくさんある。
しかし時間は限られているし、Lunaちゃんと他には事務の人1人しかいない。
全てのKPIを達成することはできない。

そこで「自分が得意で尚且つ効果的な最重要KPIを決める」

ここで重要なのが「コントロールできるもの」で「数字に大きく影響する」KPIを選ぶことである。

実はLunaちゃんは人見知りで、人前で話したりするのが苦手である。
しかしLunaちゃんは文章を書くことが好きで、物事をわかりやすく文章だと伝えやすいとする。

そのLunaちゃんが「頑張ってインスタライブをする」と言う選択肢が正しいだろうか?

例えばインスタライブは新規顧客獲得には影響を与えるだろう。
買うか買わないかの選択に迫られる時にインスタライブを見て買うかを決める消費者は多いはずだ。
しかしLunaちゃんはそれが苦手。
そのせいかショップを見てみると新規顧客は多くないし、リピート顧客も多くはないが「リピート転換率」が高いと言うことに気付いた。

Lunaちゃんがコツコツと思いを込めて書いているショップの中のブログやXの閲覧数が多くそこからリピーターになってくれていると仮説を立てることができたのである。

新規顧客の獲得はコストがかかるが、リピーターを獲得すると顧客獲得コストは下がっていく。
だから「リピート率」というのは売り上げの少ない初期のKPIとしては結果が見えずらいが間違いなく「フード」という定期的に購入する商材にとっては大きな武器になるのである。

そこでLunaちゃんはリピート転換率を自分のKPIにして、そのために行動目標として心をこめたブログを4本書き、その都度DMを手書きしてお客様にお届けすることにした。
また、新規で買っていただいたお客様には手書きのメッセージで「パーパスについて」を書いて同封するようにした。

そうすると新規のお客様は多くないものの、リピートしていくことで安定的な売上を作っていくことができるようになってきたのである。

そして安定的な売上(投資原資)ができてくると次は苦手だった新規獲得のための広告に予算を使えるようになる。
そうすると新規顧客数は増えていく。(新規顧客はお金をかければ増やすことができる)そして得意のリピート転換率のゴリ押しにより収益を上げることに成功したのである。



とまぁ、こんなにうまくはいかないことも多いけれど。
少なくとも「網羅的に全部を改善する」と言うのはなかなか難しい。
そんな中で自分が得意な領域で尚且つ重要な最重要KPIを見つけることで、そこを伸ばして売上を獲得することができるのは事実である。

論語と算盤

自分で読み返してもわかりづらい文章ではあるものの、最終的に伝えたいのは論語と算盤である。
売上はなんのためにあるのか?
どうしてその事業をやるのか?それをしっかりと明確にすること。
そしてそれをどうやったら達成できるのか、そして自分はどのやり方だとうまくいくのか?
それを明確にすることで基本的には誰でも成功することができると思っている。

僕は今でも、これからもずっと夢を見ている。
夢を見ることは楽しいし、僕たちの会社はファッションデザイナーの人たちの夢を叶えていきたいと思っている。
同時に縫製職人さんの夢も叶えていきたいと思っている。

だから「夢をあきらめる」という瞬間に立ち会うのがとても苦しい。
しかもその理由が「知識不足」だなんてとても勿体無いし悔しい。

一人でも多くの人の夢が叶うことを願ってわかりにくいけれどこんなnoteを書いております。


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