『投資家という職業は「圧倒的に稼げるチート」です』と主張しているブログ発見



■『【悲報】投資家という職業は「圧倒的に稼げるチート」です【時空の歪み】』というブログ記事


【悲報】投資家という職業は「圧倒的に稼げるチート」です【時空の歪み】

なるブログの記事を見つけました。

書いているのはマナブ@バンコク(@manabubannai)くん。

フォロワー数11万5000人もいる方なのでかなり人気な方なのでしょう。(これはすごいなと思います)

ブログも月500万稼いでるらしく、これも純粋にすごいなと思います。尊敬しています。


【悲報】投資家という職業は「圧倒的に稼げるチート」です【時空の歪み】

このブログで「内容は合っているな」と言う部分もありましたが、「かなり眉唾ものの内容」もありました。その点について指摘してみたいと思います。この記事はマナブくん自身を否定しているわけではないのでご理解ください


■マナブくんの主張 『投資家という職業は「圧倒的に稼げるチート」です』


投資家(?)なる人々と関わるようになってからいろいろ感じるところがあり、自分もチートしたいと思うようになったそうです。

マナブくんは

投資家という職業は「圧倒的に稼げるチート」です

と主張しています。

チートというのはWikipediaによると「広義にはコンピュータゲームにおいて、本来とは異なる動作をさせる行為である。 狭義には、ゲームを優位に進めるために制作者の意図しない動作をさせる不正行為(インチキ)を指す。」とあります。

要するに「本来とは異なる動作をさせる行為」「インチキ」ということです。



投資家がチートなのでしょうか?

どうも、マナブくんは投資家と投機家(トレーダー)の違いをよく理解してないようです。

マナブくんは最近FXの勉強をしているらしく


別にFXそれ自体は肯定も否定もしないのですが、投資と投機(トレード)は別物です。この違いを理解しないでやっていると将来大損する可能性が高まります。


これは何度も書いていることなのですが、全く同じように見えて別なものなのです。「投資の原則100」(基本編2)でも解説していますが、投資」と「投機(トレード)」では手法が異なります。


「投資」と「投機(トレード)」はやっていることは同じように見えて、実は中身がぜんぜん違うのです。

スポーツに例えるとサッカーと野球のようなもの。同じ「スポーツ」という枠組みで見ると一緒のように思えますが、個別に見ると試合方法も人数も全然違いますよね。それと同様に「投資」と「投機(トレード)」も似て非なるものなのです。


「投資」企業の中身に注目します。経営者の能力、信頼性、製品・サービス、業績(売上・経常利益・営業利益・純利益等)、経営陣(代表取締役・役員)、従業員、顧客、他社との関係性、占有率、独占力、ブランド力、のれん、資産、負債、価値、成長性、そういったものを総合的に研究をして資金を投じます(投資)。基本的に行われるのは「ファンダメンタルズ分析」と呼ばれるものです。視点は「中・長期」ということになります。

一方、「投機(トレード)」「価格」「トレンド」「ブーム」を重視します。いくらで買っていくらで売るか、本質はそこにあります。なので、基本的に企業の中身は見ません。トレードの場合は企業の中身は関係なく、上がる株はいい株と言われます。基本的に行われるのは「テクニカル分析」「モメンタム分析」と呼ばれるものです。視点は「短期的」ということになります。


これを理解すれば、投資家が「ゲームを優位に進めるために制作者の意図しない動作をさせる不正行為(インチキ)」をしているとはとても言えないと思います。

チートという表現、あたかも不正を働いて稼いでいるかのような意味合いになるので、やめてほしいなと思います。



■投資と投機(トレード)の違い バフェットとベンジャミン・グレアムの投資の考え方


ウォーレン・バフェット
『「投資」が少なくとも支払った金額に見合った価値を求めた結果の行為でないとすれば、いったい何なのでしょうか?それと気づきながら、ある株式に価値以上の金額を支払うこと(すぐにさらなる高値で売れるであろう見込みで)は、投機と呼ぶべきです』

ベンジャミン・グレアム
「投資とは「詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動」を言う。投機はこのこれら3つ「詳細な分析」「元本の安全性」「適正な収益」を考慮しない行為。


バフェットもバフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムも、「詳細な分析」をして「安全性(安全域とも言う)」を確保し「価値」を見極め投資をし、「適切な収益」をあげることを目的にしています。


投資とは

「詳細な分析」
をして
「安全性(安全域とも言う)」を確保し
「価値」を見極め投資をし
「適切な収益」をあげる

これらが伴わないものは「投機」ということになります。

FXは安く買って高く売ることを目的とするので「投機」です。

なのでマナブくんの言う『投資家という職業は「圧倒的に稼げるチート」です』は間違っていると思われます。


■投資も投機(トレード)も簡単に儲かるの?


そもそも投資も投機(トレード)もそう簡単に儲かるものではないというのが正直なところです。

株式投資の中で投機的部類に入る信用取引の評価損益率を見てみるとわかります。大体においてほとんどの人が損しています


正直、投資も投機(トレード)も儲かってる人は儲かってるといいますが、損すると撤退していくので声が小さくなり、儲かってる人だらけのように思えますが、9割方損をするともいわれます。(←データはないようですが)

ですので10年生き残るのはかなり難しいものであると心得たほうがいいと思います。

正直生き残っているとしたら、米国株式市場に素直に投資していたような人かもしれません。米国株式市場は長期的にみると資本主義の拡大とともに株価も上がってますので。


詳しくは金融庁「人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書」 のときに書いた『具体的方法論(複利の力を利用する)』(無料記事)も参考にしてみてください。





■マナブくんの複利の感覚が飛び抜けすぎている


マナブくんは複利についてこのように語っています

月利20%でも相当だと思いますが、日本のトップクラスでも「月利20%くらい」ということです。つまり、初心者がやるなら「良くて、月利5%」とかじゃないですかね。

100万の運用なら、月5万。500万の運用なら、月25万。
1,000万の運用なら、月50万ですね。

初心者がやるなら「良くて、月利5%」・・・

おそらく月利5%くらいならまあできると言いたいのだと思いますが、具体的にこの複利で長期的にみるとどれだけの数字になるか見てみましょう。

100万円を一切資金を追加せず、月5%複利(年ではないです月です)で運用できた場合(毎月20.3%課税(本来は20.315%ですが))で計算してみますと

100万円月5%複利で運用できた場合(毎月20.3%課税)

初年度 100万

1年目 169万
2年目 304万
3年目 546万
4年目 981万
5年目 1762万
6年目 3164万
7年目 5682万
8年目 1億0204万
9年目 1億8325万
10年目 3億2908万
11年目 5億9099万
12年目 10億6133万
13年目 19億0600万
14年目 34億2290万
15年目 61億4704万
16年目 110億3920万
17年目 198億2481万
18年目 356億0252万
19年目 639億3700万
20年目 1148億2167万

10年で100万円が3億円を突破します。20年目には1148億円になっています。月複利5%がどれだけありえない数字かということはご理解いただけでしょうか。

正直このレベルは日本一のトレーダーBNFくん並のレベルです。一般人では絶対にありえないレベルです。


■与◯翼くんも以前・・・

よく「月利◯◯%」と言う表現をされる方がいますが、これは初学者に非常に誤解を与えるものなので、こういう表現はやめてほしいと思います。たまたまその月うまく行ったからと行って、次の月にうまくいくとは限らないのです。

与◯翼くんも以前「月25%複利」的なことを言っていて、これを簡単に信じてしまうと危険だなと思いました・・・

与◯翼ブログ【ビジネスVS投資】2015/4/19 より


「月利◯◯%」を強調するような主張には、初学者の人は要注意しましょう。





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