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新卒採用はKPIでも言葉遊びでもない。技術である。サッカークラブが新卒採用と向き合った中でわかったこと。


お茶は4500年という時間をかけて食物からお湯と混ぜる飲料になり、そこから数百年の時を得て乾燥させたお茶の葉を挽いて粉末にしてお湯と混ぜるという手法に辿り着きました。

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採用も試行錯誤を繰り返し、今とは全く違った形へと進化していく事ができるのだと私は心から信じています。

サッカークラブと採用を2軸で展開する会社なんてどうせ中途半端な考察しかできないのだから、採用は我々のようなプロに任せればいいという意見を頂くことがあります。それに対して反論はありません。私たちはサッカークラブでありベンチャー企業でもあるため、純粋に採用だけと向き合って仕事をすることができません。

しかし進化の過程には専門家だけでなく、私たちのような素人(サッカークラブ)が全く別の角度からアプローチすることで新しい発見が生まれることもある。そう信じています。

シナジーを信じて一緒に活動したり、意見交換をさせてくれる人材会社の皆様、人事の皆様には本当に感謝しています。いつもありがとうございます。


SPECIAL THANKS
今回記事を作成するにあたり、協力を頂いた4名には感謝しかありません。

人材研究所 曽和様
プライムクロス 安川様
VOICY 勝村様
Beyond cafe 伊藤様

本当にありがとうございます。



本日の内容について

クリアソンは体育会に向けた就職支援サービスを提供しています。今回サッカークラブを本業とする私たちがどのように新卒採用と向き合って、事業を運営しているのかの世界観を共有させて下さい。新卒採用とは「人を見る事」「社会・経営を知る事」「適切なマッチングとは何か?」を考える事だと考えていますが、今回は「人を見る事」に絞り込んで言語化させて頂きました。



採用に対する根本的な考え方について

"人材こそがもっとも重要な資産だという格言は間違っていた。適切な人材こそがもっとも重要な資産なのだ。"


これはビジョナリーカンパニー2から学んだ格言です。私はこの言葉を大切にしており、「優秀」に目を向けるのではなく、「適切」という言葉に目を向けるようにしています。



人を知るとは1に近づけるという事

1998年、フランク・シュミットとジョン・ハンターは面接時の評価から職務能力をどこまで予測できるかという85年にわたる研究をメタ分析し、その結果を発表している。

ワークサンプルテストの決定係数(r²)は0.29
一般認識能力テストの決定係数(r²)は0.26
構造面接の決定係数(r²)は0.26
同僚からの評価の決定係数(r²)は0.24
職務知識テストの決定係数(r²)は0.23
業績記録による評価の決定係数(r²)は0.20
構造的採用面接の決定係数(r²)は0.14
履歴書評価の決定係数は(r²)は0.12
身元照会の決定係数(r²)は0.07
職務経験年数の決定係数(r²)は0.03
筆跡学の決定係数(r²)は0.04


つまり面接で人を見極めるとは、手法の組み合わせによって1に近い数字へとたどり着けるかだ。繰り返すが「1に近づける」ことの目的は「優秀な人材の採用」ではなく、「適切な人材の採用」である。



ハイパフォーマンスコンピテンシー範囲

ハイパフォーマーコンピテンシーに基づいて優秀な人材を定義することが要件定義におけるスタンダードとなっているが優秀を個人という単位だけでなく、チーム・組織という単位で考えて設計することが好ましいと私は考える。ハイパフォーマンスチームで、それぞれがどのような役割で動いているのかに目を向けることで生まれる発見があるはずだ。

Aさんが大活躍しているから、Aさんみたいな人がほしい!!と個人だけにフォーカスをあてて要件定義した瞬間から会社はバランスを失いはじめている。どんな組織・チームをつくりたいのかで要件定義すれば、必要なタイプが複数いることに気付けるはずだ。

社内の人材ポートフォリオを見渡して、適正なバランスをとることが採用要件では重要である。


情報価値の優先順位

全ての情報に意味はあるが情報価値が異なることを理解し、優先順位をつけないと「インパクト」のある言葉に惑わされて価値の序列を間違えてしまうことがあります。(〇〇企業がGPAによる採用を導入!! など)

情報価値優先順位のサンプル

【日本国内の大学生】
大学名 > GPA が情報価値の優先順位

【海外大生の場合】
大学名とGPAが同等の情報価値をもつ


学歴でフィルターをかけるべきか?

優秀な人材を採用するために学歴でフィルターをかけるというのは安易な発想である。最高とは知性や専門技術といった唯一の属性によって定義されるものではないからだ。しかし就職活動は「時間制限」があるため、最高を追求することが必ずしも正義とは限らない。最善を考えると効率重視になり、優秀層が出現する確率の高いボリュームゾーンの中で絞り込んでいく事が必要となるからである。



大手企業のジレンマ
大手企業のような「完成された仕組み」を回す人間を大量採用するケースは学歴採用が有効的であるのも事実だ。学歴とは社会の仕組みにおいて勝ち上がった証明のひとつであり、仕組みを回せる人間の出現率は学歴と相関関係が強いという仮説が成立する。

仕組みの中で違いをだせる優秀層を採用するための取り組みもあるが、そういったケースのほとんどは失敗に終わる。優秀層にとって大手企業の仕組みは「窮屈」なので、オーバースペックとなってしまい外資やベンチャーに1~3年の間で転職するのがオチだ。

幹部候補採用のような形で優秀層にアプローチする取り組みもあるが、既存社員の嫉妬から人間関係が崩れたり、適切な機会を与えられないケースなどもあり中々難しい。既存社員が幹部候補生に対する嫉妬から、理不尽なマウンティングをとって潰してしまうケースも多い。それだけでなく、こういった社員が人事に対して「この程度で辞めるやつを幹部候補として採用するなんて見極めができていないんじゃないか」と怒鳴りつける。人事もせっかく採用した優秀層が成果を出す前に辞めてしまっているので、社内の立場上反論が難しくなってしまう。カオスである。


学歴フィルターの欠点について
わたしたちは、ものごとを評価する際、平均値を基準にしたランク付けを当たり前のように行なっています。しかし、このランク付けがじつは機能していないと、ハーバード個性学入門の著書ドット・ローズは主張している。これには私も同感だし、まさにその通りだと思う。


第4章「才能にはバラツキがある」の抜粋

グーグルは、働きたい企業の世界ランキングにおいて最上位に位置するようになった。2007年には毎月の応募者が10万人となり、最高の才能は選び放題だった。ただし問題は、最高の才能をどのように確認するかだった。当初グーグルは、フォーチュン500企業の大半と同じ選抜方法を採用した。各応募者のSATの点数、GPAの評価、ディプロマの三つに注目し、最上位にランクされる人物を採用したのだ。まもなくマウンテンビューにあるグーグルのキャンパスは、SATの点数が満点にちかく、学業成績が最優秀で、カリフォルニア工科大学、スタンフォード、マサチューセッツ工科大学、ハーバードなどの名門校で修士号以上の学位を取得した社員であふれかえった。

一握りの測定基準、場合によってはひとつの測定基準のみで個人をランク付けすることは、新入社員を採用する際に共通の習慣であるばかりか、既存の社員を評価する方法としても最も普及している。2012年、世界最大の会計事務所デロイトは6万人以上の社員ひとりひとりを対象に、プロジェクトごとの成績を点数評価した。そのうえで、年度末に「コンセンサス会議」を開き、各プロジェクトにおける点数をまとめて平均値を割り出し、一から五までの五段階で最終的な評価を下した。

要するに各社員は、ひとつの数字のみで評価されたのである。これ以上に簡単な評価方法は、まず想像できない。個人の才能や実績を単独または少数の尺度でランク付けすることは、いかにも理にかなっているようだ。ところが2015年の時点で、グーグル、デロイト、マイクロソフトの各社は、ランク付けに基づいた採用・評価制度を修正または放棄していた。

グーグルは成長も採算性も順調に伸びていたが、2000年代半ばになると、才能の選抜方法にどこか間違っている兆候が見られるようになった。採用された社員の多くは経営陣が期待したほどの実績を上げられず、リクルーターや管理職に対する不信感が社内で膨らんでいった。学業成績、テストの点数、ディプロマなど、ほとんどの会社が利用するお馴染みの測定基準では、せっかくの才能を見逃されてしまう候補者が大勢いるように感じられたのだ。
グーグルの製品品質業務の人材募集担当ディレクターを務めるトッド・カーライルは、私につぎのように説明してくれた。「われわれは採用すべきだった人材に目を向けてこなかった。その反省から、〝失われた才能〟について分析するために多くの時間とお金をかけ始めた」


要は「学歴」「GPA」「適性検査結果」といった基準は明確であり、個人を評価する手法としては優れている。しかし偏った才能のみを集める採用手法となり、官僚的で慢心した組織になってしまう。同属性の高い才能を集めることは、最高のチームをつくることと直結しない。


私はこの主張に対して漫画を読んでいても「確かにな」と思う瞬間が多い。


キングダムでは「信」という主人公が大活躍しているが、本来主人公の「信」は奴隷の身分であり、通常の採用フローであれば見向きもされなかった人材である。(キングダムについて語り始めると長くなるので、これぐらいにしておく)


漫画アオアシの中でもユースというエリート集団と、主人公アシトという特殊な採用基準によって採用された人材が組織の中に化学反応を起こす様子をみることができる。所詮は漫画の空想の話だと笑う方もいるかもしれないが、社会人が読んでも確かになと考えさせられる描写は多い。


私の前職でも近岡という圧倒的な結果を出し続ける若手がいた。


彼は新卒で入社してから5年以上ずっとトップに君臨している。偏差値40で、とりわけ目立った成果も大学時代にはない。通常の採用フローであれば書類選考で落ちてしまう人材だ。それでも彼は実績だけでなく、組織文化にまで大きな影響を与えた。組織が面白いなと思うのは、彼のような人材ばかり集めれば組織が崩壊すると確信できることだ(笑)


採用とは多角性のバランスをどのように整え、採用手法に組み込むかが重要になってくる。学歴で足切りをしてしまった瞬間から、組織の才能は偏り最高のチームから遠のいていく。



学歴について調べておく必要がある事

ベテラン人事からすれば当たり前の事かもしれないが、学歴を一定の評価とする場合は短絡的に大学名だけで評価してはいけない。


入学方法と学部の偏差値
学力を正確に評価するため推薦なのか一般入学なのかは確認しておく必要がある。また大学名ではなく学部ごとの偏差値を調べることも必要不可欠である。例えば東京理科大学は文系と理系で大幅に偏差値が変わるため、「東京理科大学」という評価は適切な学力評価にならない。


高校偏差値と大学偏差値の誤差から考察する
高校偏差値と大学偏差値を事前に把握しておくことも重要である。全員が同じスタートではないので誤差を確認することによって様々な考察が可能となる。人によっては高校で優秀な人間に囲まれすぎて自信を失ってしまったケースもあれば、高校で大逆転したくて覚醒するパターンもある。こういった誤差は人間の「インパクト」として記録に残りやすいため、価値観に影響を与える可能性がある変数だ。



エントリーシートで人を見極めることはできない

エントリーシートに学生の本音があるケースは稀である。ほとんどの場合が誰かに添削してもらった偽りの言葉を並べているだけである。エントリーシートは社会人の添削ありきで成り立っているため、学生を見極める手法としては正確性を著しく欠くテストである。

一方でESは稀にいる本物の人材と、当たり前基準が著しく低い学生を見極めることには適したツールだ。そのため応募者を絞り込みたい人気企業にとっては効率的な「落とす面接」ができる手法である。(※落とす面接が良いのか、悪いのかについてはここでは議論しません。)

またユニークな採用手法がメディアからとりあげられて、先進的な企業イメージ(面白そうとか、ワクワクするなど)を生み出せることもメリットにはなっている。



適性検査について

一般認識能力テストの決定係数(r²)は0.26であることからも、有効的な施策であると言える。一方でSPIのような学力と相関関係が強いものをわざわざ就職活動で活用することは疑問である。知能指数テストのような学力ポテンシャルを測るツールをを活用し、現状の学力を比較したほうが有効的な考察が可能になると個人的には考えている。

知能指数が高く、学力が高いケース
知能指数が低く、学力が高いケース
知能指数が高く、学力が低いケース
知能指数が低く、学力が低いケース

この4つの視点だけでも様々な仮説が生まれてくる。

適性検査で学力を測りたいのであれば、学力が不明確な学生にのみSPIの活用ができる選考フローが好ましい。海外大学生にまでSPI試験を導入しているケースも見受けられるが、日本の大学と海外大学では卒業におけるハードルが違う事を理解した上での判断なのか疑問である。


理想と現状のギャップ
こういった理想論を語るのは簡単だ。実際に採用の現場でこれを実現するための仕組みをつくることは難しい。日本は平等主義で、みんな一緒が大好きなのだ。このような構造にしてしまうと「差別だ」などと感情的になって発言している人がでてきて、世論を敵に回す事となる。世論を敵に回した代償は大きく、組織のブランドイメージを傷つけることになりかねない。人事は常に最高と最善の狭間で戦っている人たちなのである。



面接手法について

基本的に「行動」と「状況」を確認するための構造面接を実施する。構造面接は非構造面接よりも信頼係数が高いのは言うまでもない。重要なのは「どのように構造設計するか」である。


行動評価は高校まで

私は行動を評価する上では高校~大学までに絞り込んで深堀していく。高校までにしている理由は、それ以前の話になると記憶があいまいになるため適正な評価ができないからだ。

人間の脳は一度覚えたものを忘れ、もう一度それを思い出そうとするときに記憶が刻み込まれるようにできている。良い記憶も、悪い記憶も同じレベルで脳の中に記憶される。悪い記憶は意識的に抑制がかかり思い出しにくくなる一方で、良い記憶は思い出しやすくなる。そのため過去を掘り下げようとするほど、美化された記憶をジャッジすることになるため情報信憑性は薄くなる。

※あくまでも「行動評価」における話であり、「価値観・人間性評価」においては幼少期まで深堀することは重要だと認識している。価値観はインパクト × 反復の中で生まれるため、悪い情報もインパクトがあるものは強く記憶に残っている可能性が高いからだ。

信憑性


面接時の質問について

ここから書く内容については、本当にそこまで面接という限られた時間の中で確認することができるのか?と疑問にもつ方も多いと思います。確かにこの質問事項を全て書き出して、ひとつひとつ聞いていったら面接は時間との戦いになりそうだし、学生にとっては強い圧迫感が生まれる地獄のような時間になるかと思います笑

実際の工程は驚くほどスムーズで、構造として質問するべきポイントを理解し、瞬時にテンポよく質問しながら進めていきます。学生に対しては自分を客観視するための時間になるようホワイトボードや、パワーポイントなどを活用して進めるため、いつの間にか「面接している感覚」ではなく「もっと知りたい。もっと質問で引き出してほしいという感覚」で面接を受講していただくことが可能になっています。

難しすぎて絶対に無理!と思う方もいるでしょうが、現在私はクリアソンで社員全員がこのぐらいの面談は最低限できるようにトレーニングしています。全てを一気に教えてしまうとパンクしてしまうので、少しづつ小出しにしながら教えるようにしていますが、Jリーグ出身で社会人経験0の社員でも一般レベルの構造化面談が6か月程度で可能になります。


今回のNOTEはあくまでもフレームワークを言語化しただけなので、言語だけではわからない部分などもあると思いますので、今後はYOUTUBEの実践動画・ZOOMでの実践実況なども検討した上でナレッジを共有できれば嬉しいです。


前提条件を整えるための質問

学生時代の行動を把握する

学生時代の労力を100とした時に、自分の労力の配分割合をざっくりとでいいから教えてほしいと質問をする。その上で学生時代頑張ったことはなんの話をしたいのかを教えてもらう。


学業20 部活70 アルバイト10 など


目標の確認

いつまでに何を実現することを目標としてきたのかを確認する。

組織目標・個人目標
組織目標は何か? 個人目標をどのように設定していたのか?について確認をおこなう。

目標設定は明確か?
「いつまでに」「なにを(数字など基準のわかりやすさ)」達成しようとしていたのかを確認する。頑張った事の内容によっては目標が曖昧になったり、明確に出来るはずなのに曖昧なケースも多い。そういうケースでは曖昧な目標に対してどこまで頑張れたのか、結果を出せたのか、どのように課題抽出していたのかを確認する。

ごく稀に「ZONE状態」に入り、目標設定などしなくても大きな成果を上げている学生もいる。この場合は測定不能。そもそもこういった人材は就職活動よりも、ZONE状態に入っている道の延長戦にキャリアを引いてあげたほうが良い。(本人の意思によっても異なるが)プロ選手なのか、プロでなくてもその道をビジネスとして成立させるために何ができるかを一緒に考えていくような支援となる。


目標に対するスタート地点を明確にする

スタート地点を明確するための質問はとても重要だ。目標とスタート地点の情報が曖昧だと正確に行動を評価することはできない。

体育会を想定した場合のスタート地点を明確にする質問例
・高校での実績はどれぐらいあるのか?
・高校ではどのような立ち位置だったのか?
・大学の同期は何人ぐらいいるのか?
・大学の同期や先輩たちは高校でどんな実績を持っていて、チーム内ではどのような立ち位置の選手だったのか?
・誤差がある場合、スラムダンクに置き換えるならどの程度のキャラクターレベル差があったのか? 
(ここはスラムダンクでなくても、学生との共通認識があるものの中で)


この前提条件が揃ってはじめて頑張った事をヒアリングできる。前提条件を整えることで頭の中には下記のような図ができたはずだ。

生産性



構造面接は本当に必要なのか?

面接する時間によって質問解像度は異なってくる。ざっくりとした目安を図にしてみたのでよかったら参考にしてほしい。

スケジュール

採用の世界には「俺は会って10分ぐらいで学生が見抜けるカリスマ人事」みたいなポジショニングとってくる人間がいる。確かに何かを成し遂げた人間は独特のオーラをもっていて論理では説明できない部分もあったり、外見で生涯年収が4760万増えるというアメリカの調査結果もある。確かに10分あれば十分その2つは確認することができるだろう。


仕組みが出来上がっている大手企業なら、その2つが確認できれば採用を大きく失敗することはないだろう。しかし世界最高の企業は「最高では不十分」と考え、最高の採用とは何かという問いに対する追求と投資をやめることがない。止まった先に進化はないのだ。

失敗がなかったは、最高と大きく誤差のある状態である。(同時にそれだけ進化の余地があるという事でもある)


構造面接の質問について

目標とスタート地点だけでは状況が不明確すぎるので、もう少し学生の状況を明確にしていく作業をしよう。


<登場人物の確認>
この物語の中で自分に良い面・悪い面を含めて影響を与えた人物は誰だったのか? (影響を与えた人物の役職・年齢・ざっくりとした人間性なども含めて)

<スタート時点での動機確認>
情熱は行動からしか生まれないのでスタート地点での動機が薄いことは十分あり得る。大事なことはスタートからゴールに辿り着くまでに、動機がどのように変化したのかを探る事である。最初から動機を明確にした上でスタートしているのであれば、評価にはなるが「行動とセット」である。

・その組織に所属しようと思った理由は何か?
・なぜその目標にしようと思ったのか?
・目的があるのか、目標があるのか、どちらもあるのかなど、なんとなく組織に所属して行動していただけなのか。


<活動のグラフ化>
私はモチベーションと困難の2つをグラフイメージとして認識しておきたい。グラフは相手を知る上で有効的な手段である。


下記の図はリクナビから抜粋したモチベーショングラフイメージだ。

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引用 https://job.rikunabi.com/contents/howto/247/


行動確認する際にここまで長いライフスパンのモチベーショングラフで質問をすることはまずない。大学1~4年生までに絞り込んで、解像度の高いグラフが欲しい。

私自身は相手を知る際に、こういったモチベーションだけでなく、大学時代に出会った困難もグラフにしてもらっている。困難をグラフ化してもらうメリットは多い。目の前の学生がどんな困難と向き合ってきたのか? 困難の発生源は何か?(自発性から生まれたもの・自然現象から発生したもの)、困難だと思う基準値はどこにあるのか? など困難との向き合い方について質問をする上でグラフがあることは役立つ。

モチベーショングラフは起伏が激しい人間なのか、落ち着いている人間なのかという確認と、学生の人生においてインパクトが生まれた瞬間を見逃さないためにグラフ化してもらっている。


行動で確認するポイントは下記の通りだ
相手の状況がある程度理解出来たら、その上で行動を確認していく。行動を確認する際に気を付けているのは下記のポイントである。


課題設定手法

曖昧なゴールに対しての行動であれば序盤はとにかく動き出すところからスタートしてみる事は悪くない打ち手だ。しかしストーリーが中盤になるころには、明確な目標に対して、どのように課題設定をおこなったかで結果に大きく影響を与える。そのため目標に対しての課題設定手法を確認することが必要不可欠である。

課題設定のプロセスがどのようなものだったのかを、頭の中で下記のような図をつくりながらヒアリングしていく事が必要となる。

課題設定

・課題に対してどのような選択肢があると考えたのか?
・それに対してどの課題にどのぐらい注力しようと思ったのか?
・どうしてその課題にしたのか?
・課題認識の深さはどの程度か?


行動の確認

行動の評価ポイントは「時間」「密度」「配分」である
どのぐらいの時間を活動に費やしていたのかを確認する上でも、大体のイメージをつかむために下記のような図を頭の中にフレームワークとして持ちながら費やした時間に対するヒアリングをおこなう。

全員共通の必須時間を知ることで、組織全体の取り組みレベル・強度をイメージしやすくなるのと、全員共通の中で違いを生み出していたりするケースなどもある。

行動量

密度とはこの時間の使い方をどのように工夫したのかを確認することである。具体的には、意識レベル・意識を高い状態で維持するために何をしてきたのかといった努力を確認する。課題を組織レベルとして学生が認識して行動している場合は、ここに仕組み化などの手法も加わってくる。

配分については、目的・目標に対して今までの時間配分を見直し、知識・経験・ノウハウなどによって新たな時間配分方法を考えて努力することである。密度と同じく、課題を組織レベルとして学生が認識して行動している場合は、ここに仕組み化などの手法も加わってくる。


要は行動における「絶対量」と「工夫した事」を知りたいのである。これらのデータが揃うことによって学生の「当たり前の基準」がどこにあるのかを知ることができる。


気づき・学び

上記の経験や困難と向き合う中で、学生がどのような気づき・学びを得たのか? それをどの程度まで言語化し、頭の中で理解にできているかの確認。これを私たちは「ラーニングアビリティー」と呼んでいる。

【ラーニングアビリティーを確認する上で】
・どのぐらいの頻度で学生が振り返りをしているのか?
・振り返りの精度はどの程度か?
(この経験から何を学んだのか? どうしてそう思ったのか?)
・学びの再現性はあるか?
(実際にこの教訓でその後何か行動に影響を与えているか?)
・情報を仕入れるためのツールとして活用しているものは何か?
・メモの取り方・整理手法など、学びを長期保持するための手法は何かしら取り入れているのか?



これらを基本構造として学生理解を深めていく。
(これで相手の全てがわかるのではなく、基本をどこに置くかの話であることはご理解いただきたい)



価値観マッチングの重要性

企業の究極のゴールとは「利益を出し続ける事」だと私は思っている。利益を出し続ける存在であるためには、「売上の追求」「社会の貢献(理念・ビジョンの体現)」を追求する必要があり、2つを組み合わせたものが世の中では理念経営と呼ばれている。

価値観マッチングの重要性は様々だが、その中でも「エンゲージメント」という点に注目している。そこで私はいくつかのエンゲージメントにおける著書を読んでみた。


ボストン大学心理学教授のウイリアム・カーンは論文でエンゲージメントの重要性を説いている。カーンの論文では、個人観点からのアプローチをとっており「パーソナルエンゲージメント」という言葉を用いています。

個人観点の従業員エンゲージメントでは、従業員のパーソナリティや職場内外における個人的な要因が、従業員エンゲージメントにどれほど寄与するのかというアプローチを取ることが多い。例えば、ビッグファイブ(外向性、開放性、協調性、勤勉性、情緒不安定性の5つのパーソナリティのこと)といった診断ツールなどの発展により、パーソナリティとエンゲージメントがどういう関係にあるのかという研究が行われている。


要は「エンゲージメントの高い社員は業績が良い」という事を発表した論文です。エンゲージマネジメントで重要なことは、全ての人のエンゲージを高めることがそもそも不可能である事。


私たちクリアソンはこのエンゲージメントを採用前、採用後の両方から打ち手を模索している。

採用後の打ち手で取り組んでいる事

■トッププロアスリート研修(B to B)
トッププロアスリート研修では、スポーツ界のトッププロを講師としてお招きし、ハイパフォーマーの共通点を学んだり、どのように組織で困難と向き合ってきたのかを学ぶ機会提供している。エンゲージメントは与えられるだけでなく、自分でも掴み取りに行く姿勢が重要になってくるので、こういったマインド形成はエンゲージメント形成には重要な役割を果たす。


■ブラインドサッカー研修(B to B、B to C)

ブラインドサッカーという障がい者スポーツをを企業様向けに研修コンテンツ化して提供しています。インプット型ではなく、体験型のため気づきが記憶に残りやすかったり、体験を通じて人と人が利害関係を超えて繋がりやすい状態をつくりだします。研修では実際にブラインドサッカーの選手が講師となるため、障がい者への理解とリスペクトが生まれます。



採用前の打ち手で取り組んでいる事

ここに関しては「マッチング領域」になってくるため、今回は「人の見極め」のみに絞り込んでいきたいので、このnoteでは価値観をどのように見極めるのかといった視点のみでお話しさせていただきます。



どのように価値観を見極めるのか?
価値観の見極めは壮大なテーマである。私たちは価値観を見極める上で必要となるフレームワークと、それを突き詰めるための専門性を高めることが重要になってくる。その中で私たちは価値観を知るためのフレームワークを、著書「IKIGAI」から突き詰めることを決めた。


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引用:https://tabizine.jp/2018/10/16/209787/


参考文献として活用しているもの
上記のフレームワークをさらに突き詰めるため、様々な著書を参考にさせて頂いている。いくつか影響を受けている著書を紹介させてほしい。



価値観を見極めるとは、エンゲージメントが高まる組織について考える事であり、それは生きがいを出来る限り理解しようとする姿勢なのだと考えている。相手のことを100%理解することはできなかったとしても、1%でも高く相手を理解するための努力をすることこそ技術であり、サービス価値に繋がっていると私たちは考えている。


先ほどの「IKIGAI」の図を日本語に訳したものがこちらです。私はIKIGAIを、自己理解領域、社会理解領域、経験領域と3つに切り分けている。だからこそ学生にも「自己理解の先」にやりたいことがあるのではなく、自己理解、社会理解、経験の3つが揃った時にはじめて本当のWILL(やりたいこと・人生で成し遂げたい事)が見えてくるのだと伝えるようにしている。就職活動では「経験」が不足するため、自己理解と社会理解を深めることによってシャープな仮説を立てられるかどうかが鍵となる。

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最後に...

私は大手人材会社で働いていたのですが、KPIを運用する手法ばかりが上達して採用に関する知識が全く身に付きませんでした。年を重ねるごとに、社会貢献をしているというよりは、ビジネスモデルに乗っかって人身売買をしているような感覚になってしまいました。

大手企業から逃げてベンチャー企業で採用を追求しようと思ったら、今度は宗教ちっくなノリで、採用を極めるというよりは「言葉遊び」だけが上手になっていきました。特に何も勉強しなくても、言葉遊びだけで仕事が成り立ってしまうことを能力・専門性と呼べるのだろうかと迷いました。ベンチャー企業に行けば何かが変わるのかもしれないと思ってたけど間違いでした。

人材業界に勝手に幻滅して、なんなんだこれはと死ぬほど悩みました。悩んだ結果たどり着いた答えは、自分が物事を他責で考え、会社に依存していたということ。こんな当たり前の事に10年の年月を費やしました。

結局のところ、どこで働くのかではなく自分がどう採用と向き合うかなんだという事に30歳過ぎてから気づきました。誰からも評価されなくても、本質と向き合うことを辞めてはいけない。会社の求める成果から逃げてはいけない。今所属する組織が悪いのではなく、自分の向き合い方が悪いだけ。たったそれだけのことでした。


情けない自分についてはこちらのnoteで...




まだまだ構造理解の甘さや、細部の設計、再現性など課題が山積みですが、これからも技術力を高め、サービスへと反映し、クライアントへ価値を提供し、理念を体現できる存在であれるように努力していきます。


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