見出し画像

【大学サッカー界 屈指の指導者】成山監督と吉村教授が語る ジュニアユース世代の可能性


「ジュニアユース(中学生)世代におけるスポーツ教育について」

今回は Criacao Shinjuku のジュニアユース設立に向けて、社会人トップチームCriacaoの監督を務め、ジュニアユースCriacaoの総監督を務める成山一郎と、ゲストとして順天堂大学のスポーツ健康科学研究科教授であり、スポーツ健康科学博士・スポーツ健康科学部 副学部長を務められている吉村雅文氏を迎え、ジュニアユース世代のあり方について、対談を行った。
(ファシリテーター:株式会社Criacao代表取締役・丸山)

7年間関西学院大学サッカー部の監督を務め、夏・冬の大学日本一を含む、4冠を達成し、スポーツを通じての教育とは何かを向き合い続けた成山と、順天堂大学サッカー部監督として、その間2011-2013には日本大学選抜の監督として、長く教育者として大学生と向き合い続けた吉村氏の二人が考えるジュニアユース世代のあり方とは?

※文中敬称略



「ジュニアユース世代に大切なことは、自分で考えて自分で決めて自分で責任を持って行動すること」


 (写真左:Criacao監督・成山一郎、右:順天堂大学教授・吉村雅文氏)


成山:私は中学生を5年間、大学生を10年間指導させてもらいましたが、改めてジュニアユース世代に対して感じる大切な事は、自分で考えて自分で決めて自分で責任を持って行動することだと思います。要するに主体性を発揮するということですね。

大学生を指導している時に感じたのは、高校生の時に決められたことをやり抜く力は付けてもらっていると思いますが、大学生に求められる主体性を発揮する力は不足していると感じました。そういうことを高校生や中学生の時から訓練されていたらいいなと思います。

サッカーでそこの人間教育のお手伝いができるのであれば、サッカークラブは価値があると思いますし、そういうことを大切だと思い、取り組ませるというのがジュニアユース世代にはとても大事な事になるのではないかと思います。


吉村:それを実現するなら、どんな組織を作れば実現できますか?どんな形態をつくればそうなっていくと思いますか?


成山:昔、サッカーコーチの先輩に教えてもらった話がヒントになると思っています。ある強豪チームの理想的な練習のお話なのですが、例えば、17時から19時まで練習時間が設けられています。しかし指導者は練習開始の時間になっても現れません。しかし選手たちは17時から来て指導者が来ていないけど、サッカーが好きなので自分たちで勝手にボール回しを始めたり、飽きたらゴールを持ってきて自分たちで試合をしたりしている。夢中になってやっていると終了時間の19時に指導者が来て、「はい!今日の練習はこれまで!」というお話なんです。


成山一郎。1977年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。同大学体育会サッカー部所属。大学卒業後、大阪の街クラブでサッカーコーチをスタート。ジェフ千葉、サンフレッチェ広島の育成コーチを5年間務めた後、母校の監督に就任していた元・日本代表監督の加茂周氏にヘッドコーチとして3年間師事。その後、監督に就任し、2015年に夏・冬の大学日本一を含む、4冠を達成。2017年よりJ2リーグ・愛媛FCトップチームコーチ。2018年には東京都社会人1部リーグ所属Criacaoの理念に共感し、監督に就任。今年設立予定のジュニアユースの総監督も務める。



吉村:素晴らしいね。僕も全く同感です。練習場が開放されている時間なら「いつ来てもいいよ」「好きな時においで」というクラブ。「おっ!みんな来てるね」とコーチが出て行き、「やってるねー、いいよ!いいよ!」とか「うまくなりたい?なりたくない?」とコーチは選手に声を掛ける。でも全体を観察してちょっと寂しそうな選手がいたら、「一緒にやろうよ」という声も掛ける。発想は全く一緒です。そんなクラブが作れたらオシャレだと思いますね。


丸山:そこに至るには、最初のうちは指導者の介入みたいなものが必要ですよね。


吉村:それはあるよね。自分たちでやっていいんだよっていう安心感。
チームに所属している子ども達は基本的に指導者を待っているけど、そうじゃなくて大好きなサッカーをしに来たんだから、指導者を待つ必要はないじゃないですか。でも付き添っている親も指導者が来るまでやらせない。「うちの子が怪我をしたらどうしてくれるの」と文句を言う親が多くなっているからね。僕が今やっているクラブは小学生しかいませんけれども、基本的には「いつ来てもいいよ、来なくてもいいよ。でもこの時間はいるからね。大学生のお兄ちゃんがいるから一緒にやりたかったらおいで」という考え方で実施してます。ほとんどの子ども達は所属チームがあるんですけれども、その時間だけうちのクラブにも来るんですよ。そして、大学生と一緒にプレーして本当に上手くなっていきます。




丸山:自分で考えて自分でやれるようになるという観点は大切ですよね。親の教育とか指示待ちという言葉がありますけど、学校教育にしても、どちらかと言えば与える教育になればなるほど受ける、待つということが強くなってきて、自発にやるというのもやっぱりなかなかできない。

それを引き出す教育みたいなものを、いろんなアプローチ方法があると思うのですけれど、お二人はそこをどういう風に引き出していかれるのかなと。

大学世代になると中に面白い奴が何人かいるかもしれないですけど、そこにそういう人間がいなかったときにどうやってその子たちの個性が出てくるのを、ひたすら待つ形なのか、何かあるのでしょうか?

個性を引き出すアプローチ方法は?


成山:僕は自発的にやるということの大切さを説いて、あとはひたすら考えさせて待つ派ですけどね。できる力があると信じて、極力、大人が介入しないということが大事なことだと思います。うまくいかない時に大人がアドバイスをすることも必要だとは思いますが、大人があともう少し我慢したら、子ども達同士で解決方法を探し始めるのではないか、と信じて待つ姿勢が大切なのではないでしょうか。



吉村:クラブを作って10年になるのですが、僕がずっと親たちに練習についてくるなと言っても、親が来ないっていうことは絶対になくて、子ども達の中で起こった問題を、子ども達で解決することが重要なのに、親が練習に付いてくると問題が起こったとき親の介入で解決されてしまうことが残念だと思っています。

子ども達の世界を大切にしたいのに、親が口出しするんです。どうしても口出ししたいなら子ども達と一緒にサッカーをして、同じサッカー仲間になってほしいと言い続けています。

だから、基本的にはずいぶんと一緒にやる親が増えてきたのだけど、でも運動得意じゃないし、汗かきたくないという理由で、一緒にサッカーをしようとする親は多くはありません。

僕は決して親が嫌いなわけではなく、第三者ではなく当事者として、子どものサッカー、子どもの成長に関わって欲しいと願っているんです。でもそこに指導者っぽい人がいて子ども達が集まっていると、誰もがサッカースクールだと思ってしまう。ましてやお金がかかって、ユニフォーム揃えて、何時から始まって何時に終わるなんてスケジュールがびしっと決まっていたりすると、間違いなくサッカースクールですよね。

僕はそうではなくて、参加する子ども達も親も、皆でサッカーができる環境を作ろうとする、サッカーができる環境を守ろうとする姿勢を大切にしたいと考えているんです。でもそこを理解できる人は本当にいないんです。僕のクラブは月謝じゃなくて会費制をとっています。体験や入会を希望される方々が真っ先に聞かれることは、「月謝はおいくらですか?」です。そして、その質問に対して「私達のクラブは会費制なんです。月謝という制度は取っていないです」と答えても理解して下さる方は一人もいません。

要するにサッカーをするということは、ピアノや習字と同じく習い事をするという感覚しか持ち合わせていない方がほとんどなんです。



サッカーを通してクラブの在り方を維持しようとか、会員となってこのクラブを守ろうとする気持ちを持って頂くには、相当な時間と、学生スタッフの姿勢を感じ取れる感性を持っていないかぎり、非常に困難であることを私自身が学習しました。まあそれでも、私達のクラブのコンセプトを理解していただいているのかしていないのか、会費を納めていただける方も徐々に増えて来ているのですが、年度末になると、私は年会費を払っているのに、あそこのご家族は払ってないみたいですよ!という話しが湧き出てきます。私自身は、いつも「そうじゃないんだけど!お金を払う払わないではなく、ここでサッカーをする価値を、ここでサッカーができる環境を大切にしたいという考え方が重要なんだ!」とぶつぶつ言っております。

しかしこれが日本のスポーツ文化の現状なんです。

吉村雅文氏。大阪府枚方市出身 57歳 O型 火星人。
順天堂大学 大学院スポーツ健康科学研究科 教授 スポーツ健康科学博士
スポーツ健康科学部 副学部長。入試運営委員長、運動部運営委員長、運動部指導者会会長を務める。
前順天堂大学サッカー部監督。1996年〜 オランダ Coach留学、2011〜2013年 ユニバーシアード日本代表監督を務める。



成山:みんなでクラブの在り方を守る、そのための会員であり会費であるという考え方はすごくいいなと思いました。クリアソンジュニアユースの話になるんですけど、今、株式会社クリアソンが事業展開しているキャリア形成支援や研修プログラム、新宿区協働事業などをクリアソンジュニアユースの選手にも保護者の方にもご案内させていただき、会員としてサッカー以外のことからも学び成長し、共にクラブを創っていきましょう、ということがクリアソンにはできるなと思いました。サッカーやスポーツの価値を創造し続けてきたクリアソンにしかできないことだと思います。

サッカーだけでなく、様々な視点から学びを得ることができる環境に



吉村:私も間違いなくそう思います。極端に言うと、サッカーだけしていてもダメだと思っています。サッカーはするけど、もっと違うことをやらないと、クラブの価値は生まれないのではないかと思っています。

自分の所属するクラブのサッカーチームを応援したいと思う人が増えないと、単なるサッカースクールになってしまうように思います。クラブ哲学やクラブ理念が非常に重要になってくる!でもそれを理解する人が増えれば、月謝、入会金、途中退会、どうでもいい問題だと思います。プロの監督、コーチがいて、それだけでうまくなっていくより、こんな活動もしている、あんな活動もしている、こんな考え方もあるっていう中でトップチームになっていくのがいいんじゃないでしょうか。


成山:クリアソンにはできますよね。サッカーやスポーツだけでなく、ビジネスや様々な世界で活躍されている方にご講演いただき、中学生の時に聞いてもらう。「あっ、こういう考え方や生き方もあるんだ」と自分で考えるきっかけにもなりますよね。「中学生には難しい」とか「まだ早い」と大人が勝手に子ども達の限界を決めずにどんどん刺激を与えたいですね。


吉村:大人がだめなんだよ。親が子どもの可能性を潰しているケースは腐るほどある。大学生になっても成績不良者が出るとか、やんちゃしたりすると、親をやっぱり呼ばないといけないんですよ。

規律委員会とか懲罰委員会みたいのがあって、嫌だけどそういうのもするんですよ。そういう話を親とすると、大学生の親でさえ、「うちの子どもが努力してなくて申し訳ないです…」みたいに言うんだけど、「あんたが言うのはいいんだけど、努力してないって本当に知っているの?」って何にも知らないのに平気で親は言うんだよね。子どものことに無関心だし、クラブに入れておけばいいっていう親がすごく多いし、そこらへんが嫌ですよね。


丸山:弊社にて大学の就職支援をやっていて、そこで思うことなのですが、意思決定できる学生は、親が大半、放任に近い形で、自分で意志決定をさせている。どんな親なのって聞くと、「ほとんど何も言われないですね。ほんとうにまずいときだけぶん殴られました」みたいな感じで、そんな学生はイキイキと育っている。

親に事あるごとに「中学受験のときは勉強しろって言われてこれやって、実はこっちに行きたかったのに親がこっちを選んで」って口出されていたという人はやっぱり最後の最後で決められない。

本当に面白いなっていう奴は、それは僕だけではなく、ちゃんと評価されるっていう観点においても、やはり自分で決めてきた人間で、親が決めさせていたとかではなく、そこの意思決定に口を出していない親の元に育った学生であることが多いと感じています。


成山:クリアソンジュニアユースは、中学生だけが会員じゃなくて、その家族まるごと会員になってもらい、みんなが同じ想いで子どものサポートができるクラブになれるといいですね。

家族も巻き込み、子どものサポートを


吉村:私達のクラブはそうですよ。親が来てもいいし、兄弟が来てもいい。でも、一世帯の家族会員、それしかないです。イベントにも出られる。親ぐるみなので、そこにサッカーしたいって子供が来て親が会員になって、親がお手伝いできることはありませんか?と言って田んぼを貸してくれました。田んぼでちょうど稲刈りが終わった後、そこに水ぶっこんで、みんなで泥んこサッカー大会やったんですよ、竹立てて。大学生もパンツ一枚になりながら、子どもたちと一緒に泥だらけでサッカーをやって、その後ドラム缶にお湯入れて体を洗って、新米のおにぎりを皆で握って食べるんです。田んぼを貸してくれた親が、おにぎり食べながら、お米はこうやって作るんだよ、お米作りはこんなことが大事なんだよ、と子ども達に話しをしてくれる。そして、大学生には新米が届く、素晴らしい光景と環境です。


成山:クリアソンの理念通りに、子どもがサッカーうまくなるのは一部の事であって、サッカークラブを通じてその家族みんなを豊かにしたいんですっていう想いでやるのが一番いいんでしょうね。


丸山:そしてそれを続けることが大事な気がしますよね。


吉村:それが本当にうまく伝わったときに、援助してくれる人や応援してくれる人が出てきてくれると思いますよね。


丸山:ちゃんと尖らせるというか、自分たちがそうだなと思うことをやり続けることが大事かもしれないですね。


吉村:このサッカークラブの子ども達、サッカーパンツはくの忘れてサッカーしてるよ!本当にサッカー大好きなんだ! サッカーパンツはくの忘れちゃいけないけど、そんな選手が沢山いるクラブがオシャレだと思います。是非立ち上げて、シャイな子ども達を少なくしていってほしいな。

昨年末に新潟の中学生が20人合宿しに来たんですよ。大学の施設を見せてあげたり、レクチャーしたり、一緒にサッカーをしたり、うちの大学院生と一緒に活動するんですけど、全くしゃべらない。びっくりするくらい喋らない。テレビゲームとか電話を持っているときはニコニコしているんだけど、知らない人の前に出た瞬間に完全に硬直してしまう。「いやいや、おっちゃんは年はくってるけど人間やで」って言ってもほぼ反応無し、残念です!


丸山:学校教育の弊害な気がしますよね。1+1=◯という答えが分からない時に、発言して失敗した時の恥ずかしさ、怖さ、を第一に考えてしまう教育や文化的な背景があるような気がしますね。

正解か間違いか?それが全てではない!


吉村:先日、今年4月に入学する新入生を対象にした研修会で、集まった新入生に「A+B=C、みんなわかるよね?」って言って、「B=Dだからね、じゃあA+Dは?」って聞くと100人いて「わかった人?恥ずかしくないよね?手をあげてくれ」と聞いても誰一人手が挙がらない。BとDが入れ替わっただけでもうフリーズするんですよ。

要するに何が言いたいかというと、人とものを喋るというのは、正解か間違いか、それを決めるだけの価値観で育っているんですよ。僕は学生を成長させなくてはいけない、そのためにはクラブを担当する先生方にも成長していただかなくてはならないので、「こういう学生を預かるんだよ、頼みますよ」っていう思いだったんです。クラブを担当する先生方には、新入生がどのような思考・行動パターンの学生が多いか理解していただき、今後の指導に活かしていただきたいと思っています。


丸山:数年前にアメリカからあるスポーツクラブの経営者が日本にきて、日本のスポーツ関係者向けにセミナーを開催してくださったのですが、講演の内容がとても素晴らしいものだったのですが、質疑応答の時間になると、急に誰も手をあげなくて、自分しか手を挙げてない状況だったんですね。でもこれって、聞きたいことがないわけではなくて、みんなの前で質問した時に、他の人からどう思われるかということが気になる、そんな感情なんじゃないのかなと思うんですよ。

世の中に絶対的な正解なんてものはないのだから、もっと思ったことを思った時に発信する、そんな価値観を大切にしてもいいのかなと思います。


吉村:別に何でもいいのに、合っているのか、合っていないかで育っていく弊害はすごくスポーツ選手にもあると思う。

スポーツ選手のほうが基本的に勉強してないのだから、成績が悪くたっていいだろ、その代わり聴く力や改善する力や工夫する力は優れている、そんな子どもを育てることができるのがスポーツじゃないのかと思います。そんな記号数式の問題なんか間違ったって良いじゃないですか、奇抜なアイディアで「BとDが変ったから、Eとちゃうか?」と言っても誰もバカにはしないのに、瞬間にそうやって正解を探そうとするんですよ。私が、じゃあ誰かに答えてもらおうかな?と言った瞬間に全員の頭が下がるんです。目線を外す瞬発力は抜群です


成山:さすが、アスリート(笑)。


吉村:でも、「君ら大丈夫か?馬鹿にはしてないよ。でも自分でやっていくことが大事やし、自分で表現していくことをやらんと上手にならないよ」「先生方、現象ちゃんと覚えておいてくださいね」ってメーセージ送ったけど、たぶん先生方も理解してないかな?

自分の子どもがオランダのベーシックスクールに行っていたんだけど、クラスみんな手を挙げるんですよ。ずっと見てて不思議で仕方がなくて、先生に聞いたことがあって、「何でみんな手を挙げるんだ?日本やったらあり得ない」。でもスタートのところでベーシックスクールの先生は子ども達に「先生の質問の意味が分かったら、みんな手を挙げるんだよ、その後誰に当てるかわからないけど、間違ってても大丈夫だから。自分の意見を言って」って教える。

日本は「わかった人、手を挙げなさい」。日本の先生は答えを求めているんですよ。日本のテレビで海外の学校の授業風景を放送しているのを見て、さすが海外の子ども達は積極的に取り組んでいるんだなと感心する人が多いようですが、実は、もともと授業のスタートにあるのは、「先生の質問の意味が分かった人は手を挙げて」というのが海外の教育のベーシックになっている。それを聞いて僕もびっくりした。手を挙げて喋った子が間違ってても間違っていなくても、どうでもいいんです。

積極的に取り組む姿勢、物事を真剣に考える姿勢を身につけるためには、まず、先生の質問を理解することが重要で、問題の正解を求めたり、知識があるかどうかと言うのは後々の問題だという考え方です。

でも日本人はそのようなテレビ中継を見ると「優秀だな。みんな分かっているんだな」と捉えてしまう。実は正解が分かっているわけではないのです。僕もオランダに滞在しているとき小学校をたくさん見に行きましたけど、みんな手を挙げていました。でも先生に当てられると、「分からない」って(笑)。手を挙げることが大事なんですよ。先生の話を聞けたことが大事なんですよ。伸ばしていくことが大事だったら、先生の質問が何かっていうことを理解することが大事。挙げていない子がいたら、「先生がもう一回質問を言うからな」という教育を僕は二十数年前に教わりました。


丸山:こういう話を日本でもしてほしいですよね。知ったら、「そうだよな」ってなるじゃないですか。不思議ですよね。

自分が学校教育を終えて、社会に出て、ビジネスの世界に出た時に、正しい答えが1個しかないなんて今まで1個もなかったと思うんですよね。お客さんに物を売るときに、Aと言おうがBと言おうがCと言おうが、何が正しいかなんて究極的には答えはないですよね。それなのにビジネスもスポーツも「利益出たの?」とか「勝ったの?」という分かり易い単一評価軸だけで評価する人が多くいて、でもその評価をされている人がその価値基準だけで評価されていることによって、本当に幸せそうかと言われると、結構 ?(はてな) という感じですよね。

結果はもちろん大切なことに間違いはないのですが、プロセスに誇りを持っているかとか、そこに色んな仮説やプロセスが入っているかということの方にも、価値があると思いますよね。そういう面において、結果だけでないスポーツにおける教育的価値は大きいと感じています。

頂いたサポートで良質な糖分補給をさせて頂きます。ありがとう!!