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ヒロイン




私はいつかヒロインになれる日が来るのだろうか。

少し前に落ち込んでいた時期があった。何かに焦っていたし、不眠症に近い状態だったのかもしれない。
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』に出てくるヒロイン、エリザベスのように昼も夜も働いた。
私はヒロインになんてなれないのに。

自分の起伏が激しいことは承知していて、落ちるときは予感がする。
落ちてしまうと自分でも手に負えない程にマインドコントロールが難しく、怒りや憎しみ、悲しさ、辛さ、理由が分からず涙が出る。
いや本当は分かっているのかもしれない。
認めたくなくてその気持ちに目を瞑っているだけかもしれない。
些細な一言で深く傷付き易く、その言葉をふとした時に思い出すだけで深い海の中に沈んでいく気持ちになる。人の言葉というものは不思議な力がある。大切な人を愛することも励ますこともできるが、逆に消えない傷跡を残すこともできる。

私の居る場所、帰る場所がないように感じる。
私が突然居なくなったところで誰が血眼で探すのか。悲劇のヒロインにすらなれない私が泣いたり、消えたところで無意味である。
誰も助けてはくれない。自分でどうにかするしかない。


ただ感情を殺し、言葉を飲み込み
相手も自分も傷付けることなくじっと息を潜めて時間が過ぎるのを待つしかない。

私はいつか本当のヒロインになれる日が来るのだろうか。