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犬を撫でたりしないでください

連作形式でおもしろさがもっとも発揮できるジャンルのものって何だろうかなって考えたとき、短編ホラー小説の連作なんじゃないかな~って思っている。すごい強いメリットとして、同じような話の細部をちょっとずつ変えて繰り返し語られることで、ホラーの場合は怖さがじわじわと増幅されていく。これはきっと、かたちを変えた反復によって、同じものを見ているはずなのに複数の見え方がすることに読者が勝手に不安を抱くからなんだろう。それに対して短歌の連作では同じ単語を複数の歌に登場させるときには、よっぽど練らないとうまくいかないよな、定型という語数の制限がある以上、連作内で同じ単語に複数の意味を持たせてかつ文脈を共有しなきゃいけないから、考えるべきことがメチャ多そうだ、ということで、僕は連作内で細部を変えた歌を複数並べる手法は使ったことがない。やってみたい気持ちはあるなあ。つぎの角川短歌賞用の連作は、ちょっと練りたいの盛り込むかも。

「未來」2023年4月号

関係ないけど、「未来」の2023年4月号の投稿作は、旅行のときの思い出や印象にうっすらホラーっぽい要素を込めた連作気味っぽいものにしました。というか、勝手になったというか。篇と篇のあいだに繋がりがあるようでない、というのもホラー要素で大事なものだな、というところでは、ホラーと短歌連作というのも相性いいのかもしれない。

踊ったり駆け登ったり駆け降りたり犬を撫でたりしないでください/あめのちあさひ

「未來」2023年4月号


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