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オパール

数十年前、時期は違いますが10月の誕生石であるトルマリンと同じくオパールも日本でバブル期に宝飾業界のプロモーションなどにより一大ブームのあった宝石です。
形を楕円形(オーバル)に整えたブラックオパールなどは当時とても高額で売買されていたため、貴石同様の宝飾デザインをしていました。
オパールが石の亀裂や隙間に形成される性質があるために厚みのあるものを採掘するのが稀で母岩を付けたまま研磨したボルダーオパールやマトリックスオパールは形が不揃いなことが多く、かえってジュエリーメーカーの量産に不向きなために当社のような逸品制作の職人作品や作家作品として多くのジュエリー表現に用いられた個性の詰まった宝石ともいえると思います。
一般的に遊色効果(英名:プレイ・オブ・カラー)【虹のような多色の色彩を示す現象】を特徴としますが、メキシコオパールの中でも有名なファイアオパールは正に燃えるようなオレンジ~赤の透明石で遊色効果を持たないことのある特徴があるものもあります。他にブルーやピンクのオパールにも遊色効果を特徴としないものがある場合もあります。
業界でもあまり知られていない話としては、そんな「遊色効果を特徴としないオパール」は総じて『コモン オパール』という名称ですので、「ブルー オパール」や「ピンク オパール」とするのは通称となります。(更に紛らわしいですがファイアオパールだけは別の扱いをしていましてプレシャス・オパールに含まれています。)
そんな遊色のマルチな色彩と同様に、コモン オパールやコントラ・ラズ オパールなど一般的でないものも含めると多彩な名前が存在する宝石でもあります。
日本で所有されている多くのタイプはミルキーオパールと思われます。ヴァンモアにもリフォームしたいと代々受け継いだジュエリーをお持ちになる中によく見られます。
そして対極に希少ですが所有者のあるブラックオパールは高価ですがお持ちになる方も少なからずお見えになる状況です。そのブラックオパールの定義について宝石の専門的視点から少し触れておきますと、「地色に黒~グレーの遊色効果を持つオパール」という表現が一般的です。地色とは遊色の色や色調ではなく、そのオパール全体の背景となる色合いの事を言います。さらに狭く定義付けをしている業者の中には『ライトニングリッジで採掘された濃い地色を持つオパール』とだけ表記しているところもあります。
こちらもパパラチア・サファイヤの時などと同じ宝石業界のよくある話で、ガイドラインが曖昧な宝石でもあります。採掘状況としましては不確かな点もありますが、かなり減っているか採掘費用が掛かりそれに見合った売価とのバランスが崩れている状況と思われ、あまり一般の仕入れ業界でも少ない状況です。
価値基準は[1. 地色,2. 明るさ・光沢,3. 遊色 ,4. 遊色効果のパターン,5. シェイプ・形の良さ,6. カボション形状・バランス,7. 重さ・サイズ,8. 欠点・マイナス点 ]と複雑でしかも一般のオパールにはよくある割れや表面の傷、さらには砂状の表面やポッチと呼ばれる内包物の有無、そして色が抜けているような部分(ウインドウ)まで査定基準になるので容易ではない宝石です。
よく言われる「赤い遊色が強く出ているものほど高価」の理由はブラックオパールやボルダーオパールの場合で、単純に赤系が最も採れにくくて紫系が多く採れるということにあります。また遊色が全体にバランスが良いものの方が高価とされています。
実は日本にもオパールの採掘できるところがあったのですが、宝石品質のオパール産地としてあまりにも有名な福島県西会津町の宝坂屋敷鉱山は、2006年秋頃に採掘が休止して二年後の2008年の秋に閉山しています。
また、張り合わせで作られたような簡単なイミテーション(合成)石も多く存在しています。しっかりした合成オパールとしてはギルソン社製やイナモリ社(京セラ[名称:クレサンベール])製があります。

10月の誕生石は「オパール」と「トルマリン」と「ローズクォーツ」と言われています。

【産出国】
主要産地国 オーストラリア/クーバーペディやライトニング・リッジ 等・メキシコなど

【鉱物組成】
Si02・nH2O

硬度 :5.5-6.5
比重 :1.99-2.25
結晶系:非晶質【珪酸微球粒子の立方配列】

【オパールのお手入れ】


【宝石言葉】

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