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幸せ進行形


 市川雛菜というキャラクターから受ける第一印象は見た目もしゃべり方もふわふわしていて自由気まま、といったものだ。身にまとうファッションやユニット内での立ち回りなど周辺の情報が増えるほどにその印象は強固なものになる。しかし、W.I.N.G.編を一通り見てみるとかなり姿を変えた一面が見える。その結果僕は自分ルールの固まっている芯の通った人だと市川雛菜に対して思った。気ままなように見えてすべての行動に雛菜なりの説明できる理由があり、自分と他人の境界をしっかり切り分ける。
 これはそんな市川雛菜のギャップに当てられて書きなぐったものだ。


 W.I.N.G.編の共通コミュでは特にその雛菜が精神的に持つ強い芯の部分に焦点を当てている。例えば、ノクチルの他三人がレッスン後残って自主レッスンをしている中雛菜は一人帰ろうとするコミュがある。ここで注意しようとするPに対して雛菜は珍しく不満げな顔を見せる。その後も一般論や型にはめられることを嫌がる様子を見せる。

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 それとは別に雛菜は瞬間瞬間の最高の「しあわせ~」を常に追い求めてるようだ。ただそれは刹那的とか享楽的というのではなく、常に自分の眼のまえに「しあわせ~」が来るように努力し工夫しているように見える。
 時々剥がれているように見えるこの振る舞いも、雛菜の考える「しあわせ~」の形だったのだろう。朝コミュでも「楽しくてしあわせだとかわいくなっちゃう」といっている。

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 逆にしあわせ~になるために必要のないことは知りたくないとまでいっている。周りがどれだけ変わっても自分は変わらないというその考え方はかなり芯が通っていて、いっそ排他的な面まである。悪く見れば自分さえ良ければいいというようにも取れてしまうだろう。確かに、相性の良くない目上の人間からは協調性と一致団結を口実に型にはまれといわれてしまいそうだ。 だから雛菜は「自分のことがわかるのは自分だけ」「雛菜にも他の誰かのことは分からない」というのだろう。見た目と第一印象以上にしっかりした人間だと思うしノクチルが幼馴染としてもばらばらになってしまったとしても、それを飲み込んで前を向けるような人だと思う。

 カードコミュでは、そんな自分を強く持っている雛菜が時間と立場にせかされている姿が描かれている。
 全体を通してのテーマというかキーとなるのは『進路調査』。学校から配られた進路調査の紙を雛菜はとにかく雑に扱う。折り紙にしたりそのまま事務所に忘れたり。「今を最高にしあわせ~にする」ことを重視する雛菜にとって、高1の段階で書かされる進路調査票は「今の幸せが終わる日」への片道切符に見えていたかもしれない。
 なぜそこまで攻めた解釈の言い切りができるのかというと、カードコミュ一本目のタイトルが「END!NG」だからだ。この!を小文字iの特殊な表現だとみるならendの現在進行形「ending」となり「終わりはじめている」という訳ができるからだ。
 それとこのタイトルはもう一つ穿った読み方ができる。それは素直に!を!と読む場合だ。そうしたとき「おしまい!はNG」という意訳ができる。
 もしこの読み方が想定されているものだとしたら、雛菜が将来について考えさせられることをどう思っているかが何となくわかってくる。雛菜にとって意味があるのは、「どこまで行けるか」ではなく「何をしているか」なのだろう。だから、将来の希望先に順位付けする希望調査を嫌がる。
 その辺は二本目のカードコミュ「P-each」からもわかる。雛菜は駅のホームで電車を待ちながら、もしアイドルとして成功したら有名税で失われる日常の風景に目をやり、別にアイドルとして成功しなくてもいいとPに言う。どちらにせよ、いつかここの売店で別の味のジュースを飲みに来たいと。


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 選んだ道がどこまで続いているかではなく雛菜自身がその道を選んだことに満足できているのか。もし雛菜がそう考えているならば、その考えは確かに進路指導とはかみ合わないだろう。

ちなみにこのコミュのタイトルも「桃」の「peach」だけでなく「どちらも」の意味の「each」が含まれた「P、どちらでも」とも意訳できる。これはジュースの味とアイドルとしてプロデュースの行く末の両方を指しているのかもしれない。

最終的に、選択肢を絞らないという選択肢があることを雛菜は学ぶ。そしてtrueコミュではたくさんのことに挑戦していくとPに宣言をする。なんでもある程度できて自分の芯をぶれさせることのない雛菜が多方面に挑戦するというのは大事な選択だったのだろう。

そしてtrueコミュのタイトルは「CherryPick!NG」。今までの傾向から考えると「サクランボを選んでいるところ」と「サクランボを選んじゃダメ!」という二つの意訳が出来上がる。

 桃の花言葉は「チャーミング」「気立ての良さ」「私はあなたのとりこ」「天下無敵」。サクランボの花言葉は「小さな恋人」、「上品」、「幼い心」、「あなた」。
 ここに加えて雛菜常設pSSRのガチャタイトルは『蒲魚』。読み方は「かまとと」であり、簡単に意味を調べると『何も知らない振りをして上品ぶる人』というのがgoo国語辞書に出てくる。
 まぁ、単純に雛菜の好きなジュースは白桃よりサクランボだったという話かもしれないが。

 雛菜のプロデュースをしてみた結果、かなり言語化に困った。自分の理想のために人生を費やしているこの姿を単に「キャラを作っている」といって済ませていいものか。もっと言うならば普段みせる雛菜の立ち振る舞いは、その理想を考え上げた思考回路に基づいたものであり厳密にいわゆる素という部分は存在しない。つまり黛冬優子のように「冬優子」と「ふゆ」の二面性があるわけではない。
 自分も他人も幸せであるべきだと考え、その考えに基づいて自分も他人も幸せにするために立ち振る舞う姿は雛菜自身にとっても偶像的かもしれない。


最後に自力ではわからなかったところを一つ。雛菜pSSRのカードタイトルは「HAPPY-!NG」。これを!を軸にいつも通りに意訳すると「しあわせ~進行形」と「しあわせ~はナシ」の二つになる。前者はともかく後者がつかみきれなかったことがとにかく悔しいのでnote漁ってきます。

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