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福丸小糸がみたシンデレラストーリー

クリアした直後にメモ帳に書きなぐったので見辛いとは思います



 小糸のW.I.N.G.をtrueまで攻略してみた感想としては、総じて幼げでかわいらしい娘だという印象だった。それ自体は第一印象と変わらないけれど、その無邪気さは精神的な幼稚さではなく良くも悪くも箱入りだったがゆえに育まれた素養だと感じた。

 共通コミュで小糸が少し気になる言い回しをしていた。なぜアイドルになったのかとPに聞かれた時、「皆と離れ離れになったらまた私の居場所がなくなると思ったから」と答えたのだ。これはどちらかといえば「自分の居場所」が答えの主語になるのではないか?この言い回しは小糸が幼馴染の中には「居場所」を感じていないからなのかもしれない。といっても本当は幼馴染を信用していない、とかそういう怖い理由ではないだろうと思う。きっと小糸から見た「幼馴染としてのノクチル像」は『「何でもできる三人」を「追いかける小糸」』なのだと思う。だから小糸の中には「幼馴染:ノクチル」という環はないのかもしれない。別コンテンツだけどバンドリ!のAfterglowなんかは同じ幼馴染でも四人が四人の顔をずっと見続けている。小糸の場合は、卑屈さと他三人の尊敬から皆を追いかけるという立場に固執しているようにすら見える。

 もう一つ気になるところとして共通コミュに『ガラスの嘘』というタイトルがある。このタイトリングに関して一番わかりやすいのは「親からの了承を得ている」という簡単に真実がばれてしまうような浅はかな嘘を指して透明なガラスで暗喩しているのだろう。
 しかしガラスというともう一つ思い浮かぶものがある。シンデレラだ。小糸は飴をもらって無邪気に喜んだり、公園のうさぎの遊具に喜んで乗ったり、幼気さが目立つ時がある。きっとアイドルになるというのは小糸にとって御伽噺のようなまさしくシンデレラストーリーへの一歩のように感じたのだろう。
 しかし、実際のコミュタイトルは『ガラスの嘘』。ガラスがシンデレラの暗喩だと仮定すると、ではガラスの嘘とは何を指すのか。それを指す唯一のものがフェアリー・ゴッド・マザーがシンデレラに掛けた魔法だろう。あれを嘘だという人は少ないとは思うが、虚実の虚であることは事実だろう。12時と共に解けた魔法は、孤独な少女を一人の美しい姫にしていた。小糸にとってPについた嘘は、自分をアイドルへと変える魔法のようだったのだろう。

 今回のカードコミュはかなり共通コミュと隣接しているように感じたから、まとめきれてないけどここからカードコミュの話も含める。

 一番目立つのは「公園うさぎはとべない」だろう。高校生の女子が公園の遊具を見つけて、心底嬉しそうに乗りに行く。端的に言えばそれだけ。ビジュアル的に小糸のイメージにもあっていて、ガチャ演出にもなっているこのシーンに違和感を持つことはないが、テキストを見るとかなり違う一面が見える。どうやら幼少期の小糸はかなり厳格なルールの下暮らしていたようだ。公園の遊具に「憧れていた」というのは正直に言ってかなり異常だ。それほど遊ぶ暇もないほどの教育を施されていたのだろう。

 ただ小糸の両親が毒親かというとそれは違うといえる。小糸にとってはアイドルになったことを隠すくらい、自身を縛る存在だったかもしれないが、結果としてアイドル活動を認めてくれている。だから愛されてはいると思う。しかしその厳しさは、絶えずさらなる向上を求め続けてきたのだろう。
 本来幼い子供が自尊心を満たすために称賛の声を求める先は二つある。親と友達だ。しかし、厳しい両親にそれを求めるべくもなく。また、小糸にとって自分よりも優れている幼馴染たちにもまたその言葉を期待することはできなかった。その結果、向上心は高いが自己肯定感は低い福丸小糸という現在の人格になったのだろうことは、想像するだに難くない。

そして今回のSSR小糸のtrueは、夢から覚めないようにPに頬をつねらないでというシーンで終わる。これもまたおかしな話で、アイドルが言うシンデレラストーリーとは一般的に「夢をかなえた」話しであることが多い。あの日憧れていた夢のステージに今立つ!とかそんな感じだ。これは夢を現実にした時の話になる。しかしtrueに至っても未だ小糸にとってアイドル業界は「夢の中」なのだ。しかしこれもまた否定的な意味ではないだろう。魔法が解けたシンデレラも、継母たちのいる現実を脱ぎ捨ててあの日夢見たお城の生活へと飛び込んでいったのだから。何かをつかみ取ったのではなく嫁入りする形で入城したシンデレラはおそらく覚めない夢を見続けていたからだ。

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