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破滅フラグをへし折りたい

先日、仕事でそこそこ大きいミスをした。

そこそこ大きいミスだったのもあり、営業さんと上長にも即報告の上、対策会議をした。
その際に上長に「考えることを放棄している」と言われた。
頭をガツンと殴られたようだった。
その通りだ。私は考えることを放棄している。

なぜなら私は自分を一番信用していない。

***

私の父親はやたら意識の高い人で、やたら結果を求めてきた。
やれマラソン大会で一位になれとか、やれテストで100点取れとか、将来はこの有名大学行けとか。
当時は幼かったこともあり、万能感と素直さを持っていた私は、父親が望むように頑張ろうと思っていた。でも、現実ってそんなに甘くない。
父親が望んでいるようないい結果というのを取れたことはほとんどなかった。
追い打ちをかけるように母親は、やたら近所のお兄さんお姉さんたちと比べてくる。
正直、劣等感しか持てなかった。
両親が求めてくるいい結果を自分は出せていない。結果を出せない自分は何てダメなやつなんだろうと思っていた。

父は手先が器用で頭のいい人だ。父自身もそれを自覚している。
そのせいか自分の子供である私たちに分不相応な期待を抱いている気がする。
父からよく「がっかりさせるなよ」みたいなことを言われた。恐怖だった。
いつか父に見限られるのではないかと思えてならない言葉は、私にとっては脅しに近かった。
成績や運動能力ではとてもじゃないが、どうやっても父をがっかりさせてばかりだったので、ひたすらいい子に徹して父の言うことを守った。反抗期すらなかったほどである。
父は有言実行の人だ。言葉にしたことは必ず実行する。
見限るなんて言われたことはないが、そんな人だからやりかねない。
怖くて怖くて仕方なかった。
期待の表れや上昇志向が強いといえば聞こえはいいが、片田舎に住むただの子供に何を求めているのか。分不相応ではないだろうか。

そこに追い打ちをかけるように同年代にはいじめられるしで、私のプライドも自信もズタズタになった。

***

信用できないのは自信がないから。
だから、考えることを放棄している。

話は変わるが、今回ミスをすると自罰的になる自分に気付いた。
どういうことかというと、自分の人間性を否定し、罰として床で寝るなど自分を粗末に扱ってしまっていたのだ。

ミスをしたからといって、人間性が否定される謂れはないし、ミスをしたくてした人などいないと自分が一番よくわかっているつもり。
失敗してもこれを糧に次から気を付ければいいと思っている。(まあ、これはミスしまくりの私が言えるセリフじゃないかもしれないが。)

なのに、なぜ自罰的になってしまうのか。

自分で考えてもちっとも原因がわからなかったので、ここは文明の力に頼って調べてみれば『自信がないから』と出た。
ここでも自信。
…私の人生、どんだけ自信の無さに悩まされるんだよ。

そもそもなんで自信が無いわけ?
完璧主義とかまじめすぎるきらいとかいろいろあるけど、根本に破滅フラグを恐れている自分がいるからである。

これはわりとつい最近気付いたのだが、どうやら私は自信を持つと天狗になって、その結果痛い目を見ると思っているらしい。

どういうことかというと、こんな感じ。

自信を持つ

調子に乗って、天狗になる

破滅

水戸黄門を思い出してもらうとわかりやすいと思う。
越後屋やお代官が富を得ようと悪事を働く。なまじ成功していくからどんどん調子に乗って、さらに富を得ようと画策するも黄門様御一行に見つかったことで成敗されて破滅…みたいな。

普通に真面目に生きてたらそんなことありえない。
でも、詐欺に騙されたり、思わぬところで借金を背負ったりするかもしれない。はたまたその逆で宝くじが当たったり、ひょんなことから一生ものの友人ができるかもしれない。

そう、人生っていつ何時何が起こるか本当にわからない。

それはこの世に生きている以上、至極当然で当たり前で。
しかしながら、嫌なことはできるだけ避けて通りたい。
ので。
調子に乗らなければ、滅多なことには遭わないのではと単純明快にも考えたのだ。
物語と混同しちゃいけないのはわかっているが、大体破滅フラグを立てるのは調子に乗った人だ。調子に乗らず、慎重に生きていけば大抵のことはどうにかできるのではないかと考えたわけである。
そのせいか、自信を持つこと=調子に乗ることとしてストップをかけてしまっているのだ。

だからって、自信を持ちすぎたら破滅するはちょっと一足飛びだという自覚はある。

なので、毎月罹ってる心療内科の先生にこのことを話してみた。
すると、「それは違うんじゃない?」と一言。
次いで。
「自信を持つことと調子に乗ることは全くの別物だと思う。調子に乗る人はむしろ自信がない人じゃないかな」
なるほどと思った。
確かに調子に乗る時って人から煽てられたりとか、自分が自信を持てるようなことがあった時ではない気がする。

別物だと言ってもらえたからだろか。
自分に自信を持ってもいいんだとようやく思えるようになってきた。
少しずつ自分の自信を持てるようになりたいな。