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AIR Domestic production7

新しい選抜チームが集う。

一度に口々噂が聞こえる。

「見て、小学生もいるわよ」
「マジかよ。俺達も負けてられないな」

上げればキリがない。

指令の姿が見える。

最初で最後の降下作戦になるかもしれないであろう新人クルーに指令の言葉が淡々と静かに響く。

指令
「君達は国産み計画に選抜された降下チーム。従ってそれぞれ二名のペアで組んだチームとしてダイブして頂く」
「惑星降下にはどんな危険が潜んでいるか分からん。訓練を思い出し、互いに協力し合い行動する様に。
何か質問は?」

しょうがない。
実践で判明する事は明白だった。

指令
「宜しい。ではデッキのハッチを開く。ヘルメットの着装をせよ」
カイネ
「二菜葉、これで一気に進展できると思う?」
二菜葉
「その日の為にシミュレーターで特訓したの。だから終わらせるよ」
カイネ
「そうね。終わらせて建国させなきゃ」
先導隊として私達から降下する。

目標は目の前の深い森で茂り、雲に隠れた平地。

近い様で遠い‥

この降下作戦で留意すべきは、岩礁帯での衝突を無事切り抜けて、森上空を飛行する事。

対衝撃回避はできても、スーツの機能を過信すると、思わぬ死が待ち構えている。

前例として、調査提案で武装した6名の死者が出ている。

素人目線だと軽く見られがち。

何があるかわからない。必要な装備は端末から呼び出し、思わぬアクシデントにも対応できる様にスーツも改良されていた。

準備は万端だ。

カイネ
「行きましょ!」
二菜葉
「うん!」

私達前衛が一斉にダイブする。
今度こそパラテラフォーミングを、
建国を実現させる。

いつまでもラグラの門前払いは御免だ。

焦る気持ちを抑え、私とカイネは手を取り合い、上空の奈落から推進ユニットを起動させる。 

目の前のランドシップに向かい前進。

衝突防止シールドを全面に展開させて、私達の前に出る先輩達。

先輩
「島を前にして死ぬなよ。エース」
カイネ
「アンタの事よ。二菜葉!」
二菜葉
「へ⁈わ、私⁈」
カイネ
「寝る間削って特訓なんてみんな知ってるんだから」
二菜葉
「カイネ‥先輩まで⁈」
先輩
「見せてみろ、お前の飛行を‼︎」

前衛の盾となる様に躍り出た先輩達が一気に加速して行った。

二菜葉
「待って、先輩‼︎」
先輩
「集中しろ!進路を作り出せ‼︎」



世界を反転状態でランドシップの上空に向かって加速。

カイネ
「みんな二菜葉に託してるの」
二菜葉
「え⁈」
カイネ
「アンタのシミュレーターと同じ難易度にして自信着いた人は居ないんだから」
二菜葉
「カイネ‥」

驚いた。
みんな知ってるから、それだけじゃなかった。

ラグラを、「此処を飛べる」のは私だけ‥。

そっか。
そうなんだ‥

だったら

二菜葉
「カイネ、私について来て。一緒に飛んでもらうね!」
カイネ
「え?」
二菜葉
「ランデブーモード!」
カイネ
「え⁈ちょっ‼︎」

私の軌道に合わせてカイネの飛行が連動している。

それがカイネのスーツに極秘に付けた機能。

二菜葉
「黙っててごめんカイネ!」
カイネ
「そう、こういう事だったのね」
二菜葉
「此処からは集中するね」

先輩達に遅れを取らず加速する。

強い大気の風を切って、
ランドシップの深い森が
目の前まで迫って来た。


続く

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