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AIR Domestic production4

船は高度を上げ、成層圏から大気圏上空へと上昇。
断熱圧縮の熱で火葬される事になった。

棺桶が船から射出される。

クルー全員が参列し、人々の思い思いで見送る。

ラグラの地に再び生まれ来る事が叶う様に。

私達の精一杯の弔い。

「黙祷」

啜り泣く
推し黙る
私はまだ涙が止まらない。

最後まで網膜に焼き付けていた。

此処を離れる事がしばらくできなかった。

床のスクリーンが一面大気層が映し出されたまま、私は蹲り、カイネもそのまま付き添ってくれた。


カイネ
「どう?落ち着いた?」
二菜葉
「うん、ありがと。ごめん‥ご飯どころじゃなかった」
カイネ
「ま、泣き虫でもアンタくらいが丁度良いわ」
二菜葉
「え?あ‥」
「私も丁度良いと思ってたの」

少し間を置いてカイネが教えてくれた。

カイネ
「噂だけどね、相性も選抜されるらしいわよ」
二菜葉
「そうなの?」
カイネ
「まさか最年少で来るとは思ってなかったけど‥」

シュッと扉が開く音
向き直ると、指令Jの姿があった。

カイネ
「ハッ‥指令⁈」
二菜葉
「あ、す、すみません‥」
指令
「構わん‥少し」
二菜葉カイネ
「?」

スクリーンを見下ろす指令が間を置いて語る。

指令
「話をするとしよう」
「無理もあるまい‥」

説明できない事もあるのだと彼が答える。
この計画の数々の矛盾‥。

それが、どんな理由だったとしてもと淡々と答える。

指令
「何故選抜が16歳までの男女かと思った事は?」
カイネ
「確かに‥私も疑問でした」

推し黙る指令の口から
まさかの実態が明らかにされた。

指令
「かつては先導隊として、大人も動員されていた‥」
カイネ
「‥‥え⁈」
二菜葉
「 」
指令
「‥だが、一人として戻る事が無かった」

そんな、対策は取れなかったのかとカイネが問い詰める。

私達が関われる範疇の問題では無い‥不可能では無いかとカイネは発言する。

しかし指令は続けて答える。

指令
「急遽我々は量子CPUに対策を依頼した結果、国産みに相応しいのは16歳までの男女どちらかだと回答されたのだ」
カイネ
「そんな‥だからって」
指令
「次の回答をどう捉えるかは自由だ‥何故ならば」

何故なら

この惑星の創造主が16歳の少女により創造された世界線だから、
調和を望む16歳までの男女によって選抜されていた。

それが、この降下作戦の全容だと
指令は説明してくれた。

カイネ
「あんまりです!機械の理屈で動員なんて‼︎」

真っ白になった。

頭の中が‥

見下ろす。

綺麗な空が
此処で生きる為の課題が

あまりに大きすぎて


‥‥‥

そして


この日から私の何かが変わった。

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