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新日常 小説21

まだ

私が
生まれる前
魂の記憶

何度も
話したくなる

間違えて
母方の
生家へと
流れ着いた

逆光の
人影

一目で
厳格のある
老師が

私の前に
鎮座する

肉体を
持たない
私に

老師は
警告した

「お前さんが
来るのは
この家じゃ
ないよ」

私は
老師の案内に
慌てて
この家を去った


私が
思い出したのは
母方の

加藤家の
古いアルバム
だった

荷物整理に
開いた
曽祖父の
逆光姿が
目に止まる

ハッとした

遺影に映る
曽祖父に
向き直る

くっきりと
鮮明に映る
曽祖父の
モノクロの
遺影

曽祖父は
曽祖母を残し
他界


出会う事は
叶わなかったが

貴方の
道案内が
私を導いて
くれた

間違い無く
老師の風格を
眺め

私は微笑む

感謝が
溢れた

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