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ビオ・ランテ‼︎ 終章


ドロシーさんがいなくなって
暫く経ったある日

一面の森の中
何気ない会話から全ては始まった。


「ビオ、今度一緒に行きたい場所は無いか?」

食後の会話

ビオは少し考えると、父にこう頼んだ。

ビオ
「海、海が見たいわ」

「海、か。良し!」
「車なら任せとけ」
ランテ
「海?何それ?」
ビオ
「ランテも海は見た事ないのね」

翌朝、深い森に一台のボロ車に乗って父は戻って来た。

ビオ
「お父さん、この車どうしたの?」

「仕事で使う車が壊れてな、そいつをなんとか直してみたら、まだ動きそうなんだ」
ビオ
「コレに乗って海まで行けそう?」

「や、止めとくか?」
ランテ
「面白そう!行こ行こ‼︎」

かくして3人のドライブが始まる。
何度か止まりそうな雰囲気もあったが、車は走り続けた。

そして‥

潮の香りがしてくる

ビオ
「匂いが変わったわ!」

「そうか?俺には分からんが」
ランテ
「ビオ、海近い⁈」
ビオ
「わかる!近いわ!」

崖の間を走る。

光と共に景色が一気に広がる

眩しい

ビオは眩しさに耐えながら変わる景色を眺め、言葉を失った。

広がる海、波打ち際、渚
青に彩られた空と海のコントラスト

何よりも潮の香りがビオを包み込む

固まって動かないビオ。


「どうした?来ないのか?」
ランテ
「ビオ!早く早く‼︎」

海原、絶海‥

動かない体が、浜辺まで向かった父とランテの後を追うように駆ける

靴から伝わる砂の感触。
走り辛く、転びそうになる

追い付いた。


「どうだ?初めての海は‥て」

父に飛びつくビオ
ビオの涙腺が一気に涙で流れた

ビオ
「おどおさんありがどお‼︎」

「 」
「おわ!」
ランテ
「ビオだけずるい、私も!」

こんな海の様に生きたい

ビオが望む

全てを包み込む海原の様に

魔女のビオは
そう願い


生き続けた‥

おわり


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