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不思議色バスに乗って🚌⭐創作童話です〜(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)ごゆるりと。

不思議色バスに乗って




ああ〜、ねむい。大学行きのバスを待ちながら、美保子は口を軽く押さえてあくびをかみころした。昨日、遅くまでスマホで話題の恋愛ドラマを見ていたのだ。



 バスが来て、定期をピッとして乗り込んだ。ねむねむの目をこすって、ボスンッと真ん中の席に座ってから違和感に気付いた。


いつも、バスこんなに空いてたっけ?


同じ大学の生徒もガヤガヤしていたはずだし。おかしい・・・そこにアナウンスが入った。



「みなさま、本日は不思議けいとう、不思議色バスにご乗車いただきまことにありがとうございます。当車は、10年前の自分経由、生まれた頃行でございます。降車の際はお手持ちの目覚ましでおしらせください」


美保子は愕然とした。う、生まれた頃行きー?不思議けいとうって何!お手持ちの目覚ましなんてないし!



「あのっ、運転手さん!私乗るバス間違えたみたいです。ここで降ろしてください!」


運転手さんは、ふふっと笑ったようだった。



「はじめてのお客様ですね。だいじょうぶ、お客様は眠っておられる状態です。そこにある予備の目覚ましで降車できますよ」



リリリーンとバス内で目覚まし音が鳴る。


「次はー三日前の自分、とまります。・・・さぁ、お嬢さんも」
美保子は降車ドア付近にあるたまごに羽の生えただいぶ前に流行った目覚ましを取った。



「ご乗車のみなさまに申し上げます。当車のご乗車はいちど降りたらそれっきり。ご自分でよくかんがえてくださいね」



美保子は、コトンと、目覚ましを置いた。行ってみたくなるではないか。生まれた頃の自分ってやつに。



美保子は生まれた頃から父親がいなかった。このバスで、行ってみればわかる。父の顔、姿。よし。



うとうとするくらい、時間が経過した。
「だいぶ、すいてまいりました。次はー、10年前の自分、お降りのお客様はいらっしゃいますか?」


ジリリリリリン、と目覚ましが鳴る。
「かしこまりました。とまります。」



美保子は、10年前の自分というものに興味があった。窓に顔を近づけると、自分だけの景色が見えるらしい。



「あっ、わたしだ〜」
外には、運動会で、すってんころりんビリになってしまった自分がいた。


転んだのは、知らないおじさんの大声で、『がんばれー!』と聞こえてびっくりしたから。


でも、後で母に聞いたら聞こえなかったよと言っていた。不思議だー。



「ご乗車のみなさま、これより、きゅうげきに眠くなります。しっかりと目覚ましをセットです。次はー、はじめての学校」
次の瞬間、美保子は眠っていた。




「お嬢さん、終点ですよ」


目覚めたら、終点だった。美保子は目覚ましを運転手に返すと、降りようとした。バスが閉まるその時、運転手は言った。



「ご乗車、ありがとうございました。・・・会えてよかった。うでの北斗七星のほくろは変わらないですね。いい人生を!」
「えっ?・・・あの、もしかして。・・・おとうさん?」



プシューと音を立てて降車ドアが閉まった。あれが、私の父だったとして、ここは夢の中だ。母と父はどうやって出逢ったのか。


目が覚めたら母を問い詰めよう。



 目の前は、病院だった。父が、いますように。


美保子はさっき見た父のパリッとした凛々しい姿を思い出し、ニヤッとした。
さぁ、会いに行こう。



ブログ、ねころびパンケーキ🌿より。次はいつも通りのごはん系の投稿かな?
童話、読んでくださる方が予想より多かったので、ホクホクです笑🐣


お付き合いくださり、ありがとうございますm(_ _)m🍵✨今日から仕事明けの方も結構いらっしゃるのでしょうか?



お身体に気を付けて🐱🌸
良い夜を!🌃✨
ナッツカナッペでした〜(⁠人⁠*⁠´⁠∀⁠`⁠)⁠。⁠*゚⁠+🏵️




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