夕陽空

夏の終わり
夕焼け頃に降り出す
紅い雨
どこか暖かく
肌身に染みる
あなたに温めてほしくて
抱きしめた時に香る
シャンプー
どこか妖艶な色気に
空の色も相まって
赤らめる頬も潤んだ瞳も
すべてが愛おしい。

このままずっと時が止まればいいのに
思いながらも近づく距離、視線が自然とあったその瞬間
両手を絡ませ動き出す

放課後に響くチャイムを背に
強く握り返した我にかえる
夕陽に向かって走り出した
遠くで光る小さな涙の意味もわからず
ただただ走った

ああ夏の思い出
そんな立派にいえるものじゃないけど
また途中で降り出した雨
あなたの温もりを思い出す
今ではただ
冷たいだけ
夕焼けに浮かぶ校舎にもう一度戻ることができたなら

あの涙を拭いに
引き返すことができるなら

夏の終わりの儚い雨

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