「大学全体のオリエンテーリングの競技力を上げる方法」

 ワールドカップの決勝戦熱かったですね!!もとなりさんからお声がけいただいてアドベントカレンダー19日目を担当することになりました浴本悠貴(えきもとゆうき)と申します。文章書くのはあまり得意ではありませんが、言いたいことを伝えられるように頑張って書きます。

 初めましての方もいると思いますので、しっかりと自己紹介しておくと、神戸大学オリエンテーリングクラブの4年生です。実績は、インカレの選手権クラスに出たり出なかったりという程度なので特筆すべきものはありませんが、オリエンテーリングに沼った人なので大会参加率は高めです。(今年の11月を振り返ると、11/5,6インカレスプリント・11/12第2回crazyfestival前週準備・11/13三重スポ・11/19第2回crazyfestival運営・11/20青山高原練習会・11/26,27伊豆大島と全ての土日でオリエンしてました。金欠まっしぐらです)もしかしたら、Twitterで知ってくださっている方もいるんですかね?「浴ちゃん」という名前で、9割9分オリエンテーリングのツイートしかしてないあれです。あとは、今年度の日本学生オリエンテーリング連盟幹事長をやっているので、その関係で知ってくださっている方もいるかもしれません。中々日本学連がどんな活動をしているか知っている人が少ないと思うのでちょっと紹介しておくと、今年度は、新型コロナウイルスの影響で不出場校があったインカレの枠配分をどうするか議論したり、春インカレの参加費高い問題について議論したりしました。インカレの運営負荷増大により、インカレの継続性が危ぶまれる中、今後のインカレの開催形態をどうするかについても今年度中にけりはつけたいなと思います。日本学連に興味があったり、要望・不満等があったりする方は浴本までお声がけください。

 自分語り大好きオタクなので、自己紹介しすぎた気がしますが、まぁ気にしないでください。お声がけいただいて、何について書こうか悩みましたが(日本学生オリエンテーリング連盟という組織について、全国同期2019について、第2回crazy festivalについて、eki写真集・・・)、自分が学生生活4年間で一番気になった大学全体でのオリエンテーリングの競技力を上げる方法について話そうかなと思います。競技力といっても大分漠然としているので、今回はインカレエリート=競技力がある人と定義します。各地区の枠配分によるところは大きいですが、インカレエリートが多い大学=競技力が高い大学という前提で今回は話していきます。注目ポイントは個人の競技力ではなく、大学全体の競技力に着目した点です(過去のアドベントカレンダーでもあまりない気がします。もしあったらごめんなさい。)。なぜ気になったのかというと、関西において大学の競技力の差を感じる機会が多いからです。神戸大学は普段から奈良女子大学、大阪大学と一緒に活動しており、(阪神奈大会もあって、「阪神奈」という名称が最近どんどん他大にも認知されていっている気がして嬉しい限りです。阪神奈の歴史について詳しく知りたい方は、下にリンクをのせたので阪大OBの片岡さんが書かれたアドベントカレンダーをお読みください。)阪神奈全体では100名を超えるクラブとなっています。人数の多さでは京京立に勝るとも劣らないにも関わらず、競技力に関しては京京立と大きく差を開けられております。秋インカレにて京大のjyoさんが二冠を達成したことを記憶している方も多いと思いますし、先日の関西ミドルセレクションでは、関西男子に割り当てられた枠8枠(jyoさんは昨年度実績枠のため免除/この8枠とは別に推薦1枠があります)のうち、京京立が6枠、阪神奈が2枠という結果になりました。しかも、この傾向は、自分が入部する以前から続いています。大学からオリエンテーリングを始める人がほとんどであるにも関わらず、このような差が生まれるのはなぜかと思い、調べてみることにしました。


●目次

○はじめに

○強豪校のデータ分析

○大学全体の競技力をあげる方法

○まとめ


○はじめに

 はじめに言っておきたいのは、タイトルが「大学全体のオリエンテーリングの競技力を上げる方法」ですが、私は競技力至上主義者ではありません(ここ大事です。大事なことなので太字にしてます。)。全てのオリエンティアがオリエンテーリングをうまくなるべきとはこれっぽちも思っていませんし、景色を楽しんだり、高負荷のナビゲーションの実行を楽しんだり、全国各地に遠征に行くことを楽しんだり、いろいろな楽しみ方があるのがオリエンテーリングの良さだと思っています。そうした中で、「オリエンテーリングでいい成績を残したい!」という人がいたときに、それを全力でサポートできる環境が整っていることが必要であるし、それが強豪校とそうでない学校を分ける差だと思っています。


○強豪校のデータ分析

 では、頑張りたい人を全力でサポートできる環境とは具体的にどのような環境を指すのでしょうか。これを明らかにするために、強豪校が普段どんな取組を行っているのか分析してみました。まずは、下の写真を見ていただきたいのですが、今年の秋インカレの各大学の選手権クラス出場人数と各大学の競技者登録人数(※選手権クラス出場大学のみ大学名を記載)についてまとめております。その中でスプリントとロングの合計人数が10人以上だと赤字としているのですが、赤字となっている大学を強豪校と定義します(なお、同じ選手がスプリントとロング両方に出ていても2人分とカウントしています)。今回だと、北から東北大学、筑波大学、東京大学、横浜国立大学、名古屋大学、京都大学の6校が該当します。この並びを見て、あぁ確かに一般的に強豪校だなと言われる大学が並んでいると個人的には思っています。

今年のインカレ選手権クラスに出場した大学は33校でした。

そして、この6校の知り合いに、いくつかの質問事項をのせたグーグルフォームの回答をお願いしました。(日学幹事長になってよかったなと思うことの1つが、日学内にいろんな大学の学生がいるので、幅広い大学に知り合い・友達ができることですね。自分から話しかけるのが苦手な自分にとって、非常に助かってます。)普段の練習頻度であったり、版権をもつテレインの数などについて質問しています。

 そして回答結果が、下図です(少し見づらくてすみません)。上記6校に自分の神戸大学を加えた計7校について記されています。皆さんの大学がどうなのか比較しながら見てもらったら面白いと思います。個人的に調べてみて興味深かったのは以下の3点です。

回答してくれたみなさん、ありがとうございます!!

①    強豪校が全て調査技術を有している

②    練習頻度が週に複数回ある

③    強豪校はオンラインの地図読みよりも対面での地図読みが多め


①    やはり、調査技術を有することは、大学全体の競技力を上げるための重要な要因の1つではありそうですね(上記6校以外にはこちらのアンケートを送っていないので、調査技術を有すれば、強豪校になれるという条件は成り立ちませんが)。オリエンテーリングにおいては、学生大会が多いというのもあって、上記6校以外にも調査技術をもっている学校は多いと思いますが、調査によって地形の書かれ方であったり、現地のものが何で表記されるのか、調査者がどこが地形的に目立っていると思ったのかなどを理解したりすることができる気がします(私、調査能力ありませんが笑)。

②    当然ですけど、練習すればするほどうまくはなりますよね。おそらくですが、練習によって技術力が上がるのはもちろん、部員が直接顔を合わせることで仲良くなって、一緒にオリエンテーリングの大会に行く関係が築けるのだと思います。

③    このデータは意外でした。神戸大学は、大阪大学や奈良女子大学と距離が離れている+部室が存在しない(神戸大学は実はサークルであり、部室がありません。大事なことなので2回言いました。部室が欲しい。)こともあり、オンラインでの地図読みがメインなのですが、強豪校は対面での地図読みのほうが多かったですね。オンラインの地図読みって人の通りたいルートを可視化できるので便利なのですが、その一方で❶ルートが可視化できるため、行けたような気になり、何を見るかというcpの設定を怠るもしくは不足してしまう。❷地図が拡大できるため、大会で地図を見たときに地図が見づらい。といったデメリットがあります。阪神奈ももう少し対面での地図読みを増やして紙の地図に慣れないといけないと思ってはいます。


○大学全体の競技力をあげる方法

 さて、ここまで強豪校と神戸大学を比較してきましたが、いよいよメインパートです。ここから、大学全体の競技力を上げる方法について話していきます。これは持論ですが、「個人がみんなうまくなる⇒大学全体が強くなるように見える」ではなく、「大学全体が強くなる⇒(結果として)その大学の部員が強くなっている」の流れだと思います。阪神奈にも築地さん(神大2013年度入学)や出田さん(2016年度入学)などインカレ選手権クラスに入賞する人はいます。しかし、彼らは独力で頑張ってうまくなってきましたように感じます。しかし、この形では大学全体で競技力を上げることは難しいです。人も大事ではありますが、大学ですし、いつかはみな卒業してしまうので、大学全体の競技力をあげるためには、仕組み作りが重要です。結論から言うと、大学全体の競技力をあげるためには「ある程度の部員数」と調査査技術」と「練習頻度」(と「競技に打ち込む先輩」)が必要です。

 今、「何こいつ当たり前のこと言ってんだ」と思った人いると思います。が、我慢してもう少しだけお付き合いください。

 まずはある程度の部員数です。2022ICSLにおいて合計人数が10人以上の強豪校は全て学連登録者数が40人以上います。後で詳しく説明しますが、練習頻度を上げるためには練習会を主催する人の数を増やさないといけない以上、ある程度の部員が必要となります。大学生はオリエンテーリング以外にもバイトや授業、遊びと多忙を極める以上、1人で同時並行して運営するのは大変です。これはどこもそうだと思うのですが、特定の人に仕事が偏りがちなので、うまく分担したいですよね。部員を増やすために、新歓頑張りましょう。新歓については過去アドベントカレンダーでけっこうのってるので読んでみるのがオススメです。

 次に部員が増えたら調査技術を身につけましょう。調査技術を身につけることで、地図に対する感覚が鋭敏になり、また、調査を行うことで版権をもつテレインが増え、練習会がやりやすくなり、練習会の頻度が向上します。さらに調査技術を身につけることでレースでうまく回れることが増え、オリエンテーリングの成功体験となるので、よりオリエンテーリングに対するモチベーションが湧くという好循環が生まれます。

 3つめに練習頻度です。ある程度部員がいることで運営負担も減りますし、参加者も増えますし、練習がこまめに行われることで、必然的にオリエンテーリングに触れる機会が増えて、オリエンテーリングに対するモチベーションが上がります(そういう意味で部員数と調査技術と練習頻度は相互に関係しあっています)。運営者も参加者も足りないから練習会開けないと言う大学もありそうですが、平日の練習はランニングとか準備が全くいらないものでもいいですし、土日の練習は自分たちの大学だけでこまめに開くのが厳しければ、地域クラブや他大にお願いして開催してもらうのもありだと思います(オリエンテーリングという競技が狭いコミュニティの中で行われているからこそこういう協力関係ができたらいいなと思います。オリエンティアはTwitterやりがちなので、練習会したいとツイートすればのっかってくれる人がいそうですよね。)。お互いに助け合って練習機会を創出していきたいですね。

 4つめの「競技に打ち込む先輩」は何の根拠も裏付けもありません。自分がどうやってオリエンテーリングにはまっていったか振り返った時、1年の時のインカレの選手権クラスで自分の大学の先輩が走っているの見て「自分もあそこ走りたい」と思ったことをかすかに覚えています。また、嬉しいことに今年秋インカレで選手権クラス走った後、「自分もエリートになりたいです」と言ってくれた1年がいたので、これも要素の1つかなぁと思いますね。「こういう風にオリエンテーリングに向き合う先輩がいるんだ」という気付きが得られるのも大きいと思います。

 この4つを整備することによって、頑張りたい人が頑張れる環境が整えられると思います。その段階までいけばあとはもう楽勝な気がします。勝手にオリエンテーリングの大会に申込はじめますし、lapcenter見てライバル作りますし、勝手にテレインになりそうな場所はないか探すようになります。

 

○まとめ

 今回、大学全体の競技力についてまとめてきました。自分がオリエンテーリングの技術論を語れるほどオリエンテーリングがうまいわけでもないので、当たり前のことを言って終わった気がしないでもないです。自分の意見として、大学全体の競技力をあげる方法を提示しましたが、これ以外にも大学の競技力を上げる方法はあると思います(異論大歓迎ですし、異論があるはずだと思います)。この記事を読んで、「部としてこういう方向性でいけば競技力が上がるのではないか」などいろいろ考えるきっかけになれば幸いです。
 インカレの会場で挨拶してる学生がいたらおそらく私なので、初対面の人でも話しかけていただけると喜びます。それではまたオリエン会場でお会いしましょう。



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