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別所温泉と無言館へ 2023年秋の母娘旅

一本前の記事で、無言館での天満敦子さんのコンサートについて書きましたので、今回は一泊二日の旅での、その他の記録を残しておこうと思います。


まずは、コンサートの翌日に改めて訪れた『無言館』について。
太平洋戦争などで志半ばで戦死した画学生たちの遺作や遺品を展示している施設です。
作品に添えて作者の略歴と、時に家族や友人恋人の言葉が紹介されており、享年の若さ、作品や言葉に滲む無念さに、改めて胸を突かれます。
本館で最も印象的だったのは、館主・窪島誠一郎氏の言葉(詩)です。
一節をご紹介します。
 
遠い見知らぬ異国で死んだ 画学生よ
私はあなたを知らない
知っているのは あなたが遺したたった一枚の絵だ
その絵に刻まれた かけがえのないあなたの生命の時間だけだ

本館のほか、少し坂を下ったところに第二展示館もあります。一点一点を観ていたら、合計2時間近く経っていました。
第二展示館の前の庭には、沖縄の激戦地、磨文仁の丘の石が敷き詰められ、
建物の裏側には、館主・窪島誠一郎氏の言葉が刻まれたオブジェ『オリカケノツル(折りかけの鶴)』も。

オリカケノツルは飛べない
(中略)
オリカケノツルは話せない
(中略)
ツルを折り続けるのはあなた
ツルを飛ばせるのはあなた

オリカケノツル
第二展示館前 磨文仁の丘の小石

素人目にも、美術作品としてはまだ未熟なものが多いのかな、という印象は否めない中で、小野春男(享年26歳)の屏風絵『茄子』は日本画として、色合いも構図も素晴らしいと思ったら、日本画の大家・小野竹喬のご子息でした。なんと惜しい才能が失われたことか…。

全ての展示を見終えて「生きたい! 描きたい!」という若者たちの声なき叫びが、心に痛いほど刺さります。

無言館 入り口
入り口前の碑 記憶のパレット
画学生たちの名前と、美大の授業風景が刻まれています
無言館本館に向かう坂にある石碑


無言館最寄りのバス停付近には、機織り体験ができたり、美味しいコーヒーも頂ける上田紬の小売店『藤本』や、真言宗の古刹・前山寺があります。
前山寺には参道や境内に萩が咲いていて、こんなに残暑が厳しくても、季節は確実に巡っているのだなあと実感します。

前山寺境内にて 白い萩

「未完成の完成の塔」(お寺の公式サイトより)と呼ばれ、国の重要文化財でもある三重塔は、前山寺の名物。石段の上に聳え立ち、美しい姿を見せてくれています。室町時代初期の創建と推定されているそうです。

前山寺 三重塔
藤の頃の塔の写真

このお寺には、もう一つ名物が。庫裏で提供されている『くるみおはぎ』のお接待です。
境内で採れる鬼胡桃のたれに塩田産の餅米で作ったおはぎ、向付(梅のしそ巻き)、お茶。仏画や書に囲まれた静かな空間で頂戴する、くるみおはぎのセットはとても美味で、ほっこりした時間を楽しめました。

前山寺 くるみおはぎのお接待
くるみおはぎを頂いたお部屋の中の屏風


続いては、別所温泉のお宿をご紹介。
今回はスケジュールの関係上、本当に泊っただけになってしまって、名刹もある温泉街の散策ができなかったのが残念でしたが、とてもいいお宿だったのです!
素敵な女将が切り盛りする、比較的こじんまりした温泉宿『七草の湯』。
スタッフの皆さんの応対も、お部屋のしつらえも、お風呂もお食事も全てに満足のいく、快適な滞在でした。

泊った別所温泉のお宿
夕食 サンマの揚げ物 盛り付けも素敵
朝食 だし巻き卵と信州プレミアム牛のハンバーグ


別所温泉に泊まった翌日、無言館を観た後は上田駅に出て『しなの鉄道』に乗り、軽井沢までローカル鉄道の緑あふれる車窓を楽しみました。

上田駅待合室に、藤城清治の大きな作品が!
鏡を使っていて、壮大に見える仕掛けが施されています
しなの鉄道 軽井沢駅のプレート
軽井沢駅近くの名店『ベジビエ』にてランチ
ジビエと野菜たっぷりのパスタ


母と二人での、のんびり信州旅。
聴いて観て歩いて食べて…実り多い、よい二日間でした(^^♪

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