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歌枕@サントリー美術館

都内に出る用事があったので、六本木に寄り、サントリー美術館で8月28日まで開催中の展覧会「歌枕 あなたの知らない心の風景」を観てきました。

サントリー美術館 歌枕展

黒い地に風合いの異なる複数の絵をあしらったポスターがとても素敵です。
「歌枕」とは和歌の表現技巧の一つで、和歌に古来多く詠みこまれてきた名所、地名のことです。掛詞(「逢坂の関」「松帆浦」など)や、その場所ならではの特徴(「吉野の桜」「竜田川の紅葉」など)、場所が詠まれた歌の定番化(「富士」「武蔵野」など)といったあたりが由来となっていて、歌の中で、特定のイメージを連想させる役割を果たしています。

今回の展覧会では、屏風や色紙、画帖、絵巻などに仕立てられた名所絵、硯箱や櫛などの蒔絵を施した工芸品、能装束など、幅広い展示品で、歌枕が呼び起こす「心の風景」を見せてくれます。
私が特に気に入った作品は、俵屋宗達が画を、本阿弥光悦が書を受け持った合作の色紙(以前、この黄金コンビによる「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」に感動したのを思い出しました!)と、詩情豊かな、狩野探雪の「松川十二景和歌画帖」、豪華な日本刺繡が美しい能装束「網代に桜楓模様縫箔」です。

和歌が好きな方、書道が好きな方に、特におススメの展覧会です。

かつては日本人の日常生活の隅々に浸透していた歌枕。現代では解釈付きでないと十分に鑑賞できなくなってしまいましたが、今ならまだ歌枕に心を惹かれる人がこんなに沢山いるのだなと、思いのほか人が入っていた会場を見ながら思いました。
こうした展覧会は、真に「美しい日本」が和歌をめぐる世界にもあることを、多くの方に知っていただく機会になっていることでしょう。

鑑賞後のお楽しみは、美術館併設の「カフェ 加賀麩不室屋」。本展覧会限定メニューの不室屋パフェ<能登塩アイス>をいただきました。焼麩や生麩など色とりどりの加賀麩を使った贅沢な和パフェ! とても美味しくて大満足の半日となりました。

限定メニューの不室屋パフェ


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