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TIF2023に行ってきましたよって!!!

まえがき


どうも、手持ち花火の動画をSNSに上げる人が苦手な篠岡です。


さて、セミがセミヌードになり自然公園のおじいがフルヌードになるあちはわな今日この頃 、いかがお過ごしでしょうか。


そんな今回は!!8/6(日)に参加したTIF3日目の話を書こうと思いますよって!!


思えばコロナ禍以降のTIFに行くのはこれが初で、自分がダベってたここ数年で地球はあちはわになり、物販の電子決済化が進み、TikTok特典会が始まり、なにより不肖アラサーの我が身には「老い」というスティグマがより深く刻まれました。


しかし摩季の言を聞くまでもなく毎年飽きずに夏は来るし、対するヲタクも「○○ちゃん始まったわ!」→「○○ちゃんしか勝たん!」→「○○ちゃん辞めたからヲタ卒するわ…」→「(別の)○○ちゃん始まったわ!」の無限4コマをひた走るループもの主人公の顔つきを崩しません。


かくして「異臭からはじめよ」ばりにおじヲタのオイニーが罪もない女ヲタの鼻腔をプライベート・ライアンするご”臭”傷なサマー。


クーラー効いたキンキンの部屋でネフリと甲子園観ながらチル決める選択肢もあった中、それでも心の西田ひかるが「人生変えちゃう夏かもね」と囁いたので、意を決して夏への扉を開いた伏線張りの下手なおじさんでした。


なお、お察しの通りご覧の駄文は終始こんなトーンで続きます。


よければ大小様々な画面越しに湧き立つ臭気を感じながら、ひと夏のアイドル・ヲタク・メモリーにお付き合いいただければこれ幸いでございます。かしこ。



老いっちんぐ♡


ヲタクの朝は臭い。もとい、早い。


不肖アラサーの身で参加する数年ぶりの夏フェスに高揚し、ポケモンスリープより早起きして迎えた決戦の朝。


もはや1ミリも信用ならない自分の時間感覚を折り込んで30分前行動で組んでいた計画表は、「起床」に始まり「最寄り駅着」「最寄り駅発」「乗り換え」「現地到着」とセルフはじめてのおつかいばりに丁寧に続いていた。


なにせ時間へのルーズさを「ヲタクダッシュ」という必殺技一本でどうにかできた数年前の若さは今の自分にはもう無い。


ならば綿密な計画を練って体に無理のないムーブを成立させるのが大人のお作法というもの。


そんな気持ちから「今年はヲタクダッシュなしで乗り切るぞい!」という思いを新たに家を出た。


ゆりかもめの計


「ヲタクが始まる前にりんかい線が終わっている」


そんな一報が届いたのは家を出て数十分した頃だった。


かくしてTwitter改め「X」(手を交差してジャンプしながら入力)には、同じくお台場で推しメンに熱中症()しようと息巻く強火なドルヲタ達の阿鼻叫喚が渦巻いており、「投げた石柱に飛び乗る」以外の現実的な移動手段として唯一残された最後の希望、ゆりかもめにキリコより熱い視線が注がれていた。


そして元々ゆりかもめルートで向かう予定だった自分は、暗雲立ち込める展開に早速ヒリつきながらも短い足で急いで新橋駅へ向かうと、案の定そこは大勢の人でごった返していた。


ここで普通のヲタクなら「推しメン出番に間に合うかな…」と心配でパニくるところだが、脳髄がTwitterに直結している僕はこんな時でさえ冷静に画像検索をかけてネタツイを嗜む余裕を見せる。

電車の屋根に乗る事を「トレイン・サーフィン」と呼ぶとこの日初めて知った


かくしてこの日最初の応援対象がゆりかもめになった僕は、“無機物推し“という特殊なフェチズムを新橋の地に刻みつつどうにか乗車成功。


時計を見ると、フェスティバルステージのトッパーを任されている推しグループ・コミッキュオンの出番まであと数十分。


更に3日目からTIF参加の僕はライブ前にリストバンド交換に向かう必要もあったので、この時点でかなりギリギリなスケジュールであり、既に数年ぶりのヲタクダッシュの機運が高まっていた。


そんなシビれる展開にも最近ジムで鍛え始めた両脚は「ったく、結局今年もオレ頼りってことかよ…」と不敵に微笑んでみせた。


行くぜっ!



すし詰めのゆりかもめで無理かもめになりつつも、ようやくテレコムセンター駅に着いたのが10:10頃。


対して先述したコミッキュオンの出番は10:25と時間がなく、急いでエリア中央にあるリスバン交換所へ向かう。


早くも炎天下の様相を呈する灼熱のお台場で列に並ぶこと数分、ようやくリスバンを手にした時にはジャスト10:25。


時間を見た直後、脳内の柴田恭兵の「行くぜっ!」という叫びと同時に気づくと僕は走り出していた。



走れ!


動悸が止まらない。


膝の笑い止まらない。


動き出すよ推しのステへ走れ!走れ!走れ!


…なんて2010年ライクなおチョケを差し込む余裕もないほどに朝イチから爆走をカマすアラサー。


「腱より券、腰より推し」の精神で老体に鞭打ちヅダのテンションでひた走る。


横断歩道を渡りゼーハー言いながら木々の立ち並ぶ緑道を抜けると、トレードマークのユニコーンガンダム像が聳え立つフェスティバルステージを視界に捉え、同時に耳馴染みあるコミッキュオンの曲が少しずつ近づいてきた。


まとわりつく生ぬるい空気をかき分け、息苦しさに癖で付けていたマスクも剥ぎ取り、ただただ無心で走る。


ようやくライブスペースに着いたのは1曲目の「超越展開POROPOROコミッキュ」の終盤で、かれこれ1人もアイドルが出ないまま約2,000文字を消費したこのnoteぐらい尋常じゃなかった息を整えながら、なんとか推しメンのTIFデビューとなる記念すべきステージに間に合った。


そこから穏やかでポエミーな「おねがいかみさま」、ビビッドでシリアスな「NEO WORLD ORDER」と続き、コミッキュオンは立派なステージングで見事にTIFでの初陣を飾りライブは終了。


これまで踏んできた数多のステージでの経験を活かし、この大舞台で堂々とパフォーマンスして魅せた5人の姿が誇らしかった。

コミッキュオン


か、カステラの可愛い子~!


コミッキュオンのライブ後「一度止まったら終わる」という直感のもと、すぐにその場を後にしてスマイルガーデンへ。


先ほどとは打って変わってゆったり移動し、「かすみ草とステラ」のステージに間に合った。

かすみ草とステラ


なおステージに登場した時の第一印象は「多っ!」の一言で、ABCお笑いグランプリでダウ90000が登場した時と同じ声が出た。


なおカステラについては「最近2期生が入ってメンバーが激増した」という情報は入っていたものの、にしても想像より1.3倍くらい多くて出会い頭のインパクトは充分だった。


そしてライブは真っ白な衣装が映える清涼感溢れるもので、特に色々な現場でヒリつく経験をしてヲタク人生に疲れたおじさんの目にはヴァルハラに映るのではないかという印象を受けた(注:褒めてます)


途中、自分の好み的にめちゃ可愛い子を見つけたので心の中で(か、可愛い子~!!!)と叫びながら、「この名前知らんまま湧くムーブがフェスの醍醐味よな」と懐かしくなった。


ちなみに後ほどお名前調べたら石間さんというらしい。要チェックやで!



落語と油絵


続いてスマイルガーデンに登場したのはNUANCE。


NUANCE

先日メンバーの稀咲妃菜さん活休と同時に新メン城戸海月さんの加入が発表されたNUANCE。


そんな城戸さんは正式なステージデビューがこのTIFのスマイルガーデンという超シンデレラガール。


また個人的にもNUANCEは曲とライブが大好きで、対バンでお目当てと被った際や節目のワンマンなどは優先して観てきたグループだった。


そんなNUANCEの新体制一発目ということで気になってマイタイテに組んだのだけど、結果から言うと観に来て本当に良かった。


NUANCEはグループの地盤を作った初期メン4人体制の印象がいまだ強いものの、内3人が卒業され、新たに別グループでのキャリアがあるメンバーが加入し、更にここでアイドル自体が初めてという城戸さんが加わった今、初期から続くフォーマットを新しいメンバーが各自の感性で再解釈するような趣があって、原型を壊さず新たな色を塗り重ねていく油絵のようだと思った。


また先述のとおりこの日がデビューステージという城戸さんも、当然まだぎこちない部分は多いものの先輩3人に必死に食らいついており、いま誰よりもNUANCEになろうともがいている彼女がいるからこそ今のNUANCEに新しい色が生まれているように見えた。


それでいてグループ屈指のマスタピース「ミライサーカス」では、メンバーごとに専用の歌詞が割り当てられるお馴染みのシステムが健在で、先人の創った型を守り受け継ぎながらも、話し手によって自在に色が変わる落語のような意趣を感じた。


結局「面白かったら長めに観よう」ぐらいの気持ちで予定に入れていたNUANCEだが、ライブが良くてほぼ最後まで見てしまった。


実験的に試行錯誤して創っている芸人さんとの新たなエンタメ含め、引き続き今後が楽しみです。いやマジで。


いまや時代はTikTok


そんでNUANCE見てからは、いぎなり東北産を観ようとヒートステージことZeppDivercityを覗いてみたものの、人がパンパンパンパンポケモンパンだったので速攻諦めて移動へ。


この辺の判断や損切りの速さは鈍ってなくて良かった。


んで酷暑の中、メインステージの漏れ聞こえを楽しみつつ橋を渡って辿り着いたのはフジテレビ社屋下のドリームステージ。


ここではコミッキュオンがファン投票で出演を決めた企画コーナー「明日バズりたい選手権」が開催された。


この企画は一言でいうとファン投票制の賞レースなのだけど、正直言ってアイドルのライブは良さを数値化できるものじゃない派なので、そもそもこういう勝負形式になった時点で気持ちが半分降りている僕は(冷めた性格しててゴメンなぁ~)という気持ちでせめてライブくらいは応援しようと馳せ参じた。


それはそうと今年のTIFは各ステージのVIPエリアが狭まっていて、実動員を狙うよりもこういう細かい課金レースを複数仕掛けてメイクマネーする方向に舵切ったんかなぁ?と勘繰った。



そして本企画について言えば、その主戦場として選ばれたプラットフォームがTikTokという事に時代を感じたし、昨今のTwitterの不安定さを鑑みても公式サイドも徐々にTikTokの比重を高めたいのではと感じた。

このコラボ企画が好きだったので、もっと色んなアイドルさんに参加して欲しかった

言語コミュニケーションが主体じゃない分、おじさんの参加率が低くなるのはインスタの例からも実証済みとして、若者からしたらTwitterで日々起こっている大人の汚い罵り合いや、YouTubeを埋め尽くす冗長な広告動画など、邪魔で煩わしいネットのノイズを切り離した末に残ったのが今のTikTokという形なのだろうと思う。


そして今後TikTokが情報拡散の主戦場になっていくとしたら、そこにキャッチアップできる若者あるいは情報感度の高いヲタクが多く付いているグループとそうでないグループとで、得られるチャンスに大きな差が出てくるのではと感じた。


既に撮影可能ライブで撮った動画を「“TikTokに”上げてください」と要望するMCや、メンバーとファンが一緒にTikTokを撮影できる特典会形式などが徐々に日常的な風景になりつつある今、これからの変化にどう対応していくかで各所の明暗が分かれるような予感がした。


そしてお忘れだろうがこのnoteの主題はライブレポなので、長々と自論述べといて恐縮ながら何事もなかったようにライブの話に戻らせてもらう。すまんね!


そんでそんで!企画の出場枠の3組中、事前投票ポイントで3位だったコミッキュオンは一番手でライブを披露。


今夏に向けて仕上げた夏曲『拝啓さまざまサマー』と名刺代わりの代表曲『左ききのメイビーU』をフレッシュに歌いきり、「このステージさえ見れば履修完了ですよ~」という親切設計なライブ構成が場にハマっていた。

個人的なハイライトは、ステージ上に設営された雨避けテントの支柱にボコスカぶつかっていた推しメン松永すみなちゃんの脳筋スマイルと、ライブ中にお団子ヘアーが解けかけるもパニックにならずチャーミングにメンバーに報告していた可愛さの核弾頭・彩瀬ゆるちゃんでした。


夏空に揺れる枯れない桜


再びコミッキュオンのライブを観た後は(チケ買った以上ライブ優先で回る貧乏性ですまねぇ…)と思いつつ、企画の結果発表まで残らず颯爽と次のステージに向かった。


ついさっき渡った橋を戻って広場を通り、再度スマイルガーデンの敷地内に入ってからこの日初となる屋内へ足を踏み入れる。


そして数年越しの天空宮殿、スカイステージへの階段を昇った。


普段写真とか一切撮らない人なのに、階段乗ってる途中で一枚だけ撮ってた。多分だいぶ浮かれてた。

そしてちょうど出番直前に登り切り、ステージ付近の良ポジを取ったところで@onefiveのライブが始まった。


@onefive


@onefiveについてはあまり知識のない僕ながら、ひとまずメンバーが出演して主題歌も歌った実写版「推し武道」は劇場版を観て号泣する所まで完走したし、グループの母体であるさくら学院については、これまで父兄(さくら学院のファン総称)の友人達から色んなことを教えてもらっていた。


なので幼少期から人並み外れたパフォーマンス力とスーパーレディの心得を叩きこまれているという信頼感があったし、TIF数日前に再度さくら出身の友人に勧められてもいたこともあり、「時間的に回せそうだ!」という閃きから突発的に観に来たのだった。


そしてライブが始まり、当前ながら『推し武道』で見ていた姿とは全く違う姿で登壇したメンバー達に目を丸くしていると、一曲目に早速ドラマ主題歌の『未来図』が流れて一気に気持ちが高まった。


初めて生で観る@onefiveのパフォーマンスは純然たるアイドルグループというよりダンスボーカルユニット寄りのスタイリッシュなものでありながら、さくら学院仕込みの基礎を磨き上げた先にある強さと美しさを感じた。


その後もスキルフルながら一切力んだ様子のない@onefiveの伸びやかなアクトは、スカイステージを取り囲む絵に描いたような青空に本当によく合っていて、吹き抜ける風を感じながらどこまでも爽やかなライブを堪能した。


思えばさくら学院の活動終了前、ライブ形式のイベントが年に数回しかない事もあり、さくら父兄にとってこのTIFは特別なものだという事を教えてもらっていた。


自分もかつてこのスカイステージで、ライブをするさくら学院と専用フラッグを振って応援する父兄たちの微笑ましい光景を見ていたので、母体としてのさくら学院が無くなった今も、その意思を継ぐメンバーがこうして数年越しに同じステージでパフォーマンスをしているという事に外様ながら感慨深さがあった。


なお余談ですが、ドラマ「推し武道」で一番役がハマっていた寺本優佳役のGUMIちゃんが、劇中の天然キャラとは1ミリもカブらないしっかりした喋り方でギャップにめちゃ惹かれました。

跳べ!るなピス!


@onefiveのライブ後、すぐにスカイステージから地上に降り、隣のINFO CENTREことスマイルガーデン横の湾岸スタジオ多目的ホールへ向かった。


ここでは再三ながらコミッキュオンから、公野舞華ちゃんと四宮るなちゃんの2人が配信番組のワンコーナーに出る予定になっていた。


左:公野舞華ちゃん/右:四宮るなちゃん


TIFには何度か来てる自分だが、この会場に入るのは初めてで、涼しい屋内での観覧で体力を回復できてありがたかった。


番組開始直前の会場内では床に直座りスタイルでほぼ満員のファンが待機しており、避難訓練のような風景が広がっていた。


自分はギリギリで入ったのでほぼスペースがなかったのだが、おそらく四宮るなちゃん推しと思われる黄色いコミッキュオンTシャツを着たファンの方が親切に場所を詰めてくれて、なんとか座って観覧することができた。


上記の方、もしコレ読んでたらその節はありがとうございました。


そんなんしてたら番組開始。


元しゅかしゅんのEONさんのMCで始まった番組の企画は、3グループ対抗の縄跳び対決。


代表者による連続二重跳びで最も多く跳べたグループにアピールタイム30秒が与えられるというもの。


かくしてコミッキュオンからは、最年少の「るなピス」こと四宮るなちゃんが二重跳びに挑むことになり、参加グループ3組の中で唯一マイ縄跳びを持参するやる気を見せた甲斐もあり、見事「4回」という絶妙な記録で泥仕合を制してアピールタイムを獲得した。やったぜ!


そうしてせっかく掴んだアピールタイムでも野生児るなピスは「満足いかないから後ろでもう一回跳びます!」と宣言するや、告知を舞華ちゃんに丸投げして再度ステージ後方で二重跳びを始めるフリーダムさを発揮。


若い子の型にはまった振る舞いを見るのが心苦しいヤッチマイナ系おじさんとしては、このTIFの舞台で伸び伸びと自分の色を出して輝くるなピスと、それを持ち前の対応力で活かして見せた舞華ちゃんコンビの活躍が嬉しかった。




灼熱に舞う真夏の幽霊


激闘(?)の縄跳びを見守って外に出ると、スマイルガーデンでスパガが『MAX乙女心』を歌っており、途中からだけどアイドル夏曲の始祖に立ち会えた幸せを嚙み締めた。


フェスはこういう各所の必殺技みたいな曲を偶然聞けるから嬉しい。


そんなラッキーも拾いつつ次に向かったのは、この日初めて足を踏み入れるHOT STAGEこと野外特設スタジアム。


数年越しに野外会場として復活したメインステージのこのHOTでは、TIF1日目の8/4(金)に行われた「メインステージ争奪LIVE決勝戦」で見事優勝したMerry BAD TUNE.のライブが予定されていた。

Merry BAD TUNE.

このメインステージ争奪戦はTIF初出場のグループ8組により6月から行われていた催しで、先述の通り賞レースに抵抗があったり、特に応援しているグループが出ていない自分は一定の距離を取って様子を見ていた。


なので当然、メインステージをエサに各グループのファンを競わせて金稼ぎに興じる運営のやり方には批判的な僕だけど、そうした事情を飲み込んで尚、同じ目標に向かってメンバー・運営・ファン全体が時間・金・労力といったリソースを大いに注ぎ込み、その結果として辿り着いた、ある意味今夏のTIFで最も想いの詰まった舞台と言えるこの優勝者ステージがどんなライブになるのか…そんな野次馬根性もあって吸い寄せられるようにこのHOTに来ていた。


そうして入場したHOTステージでは、観覧エリアの入場口と退場口が別に設けられており、混み合った客席を見て「一度エリア内に入ると外に出る時に時間を取られそうだ」と直感して中には入らず、エリア手前の最後方からステージを眺めた。


その判断は結果的に正解だった。というのもライブ開始直後、むせ返るような炎天下の中で、おそらく6月から推し箱の勝利を信じて応援してきたであろうバチュンのファン達は、遠く後方から見ただけでも異様な興奮に包まれているのが分かった。


その興奮はOvertureが流れ出すと同時に堰を切ったように爆発し、待ちに待ったメインステージに辿り着いたバチュンの6人を大歓声で出迎えた。


先述のとおり、今年のメインステージ争奪戦に特に関わりもなければ、これといった思い入れもなくこの場にやって来た自分ではあったが、たった20分のこのメインステージ出番を掴む為に一体どれだけの人がどれだけの事をしてきたのだろうと自然に思いを馳せた。


それは輪の外にいる自分にはきっと想像もつかない事だろうし、明け透けに言えば札束で殴り合うような戦争を持ち掛けた主催側にはやはり言いたいことも少なくない。


それでもこうして眼前に広がる光景には、真夏の炎天下を押し返すほど人の情熱で溢れていて、ネット越しに見るデジタルな文字や数字が生身の人間として浮かび上がり、汗を流し、手を鳴らし、大声を上げ、飛び跳ねて歓喜の瞬間を噛み締めている様を見て少なからず感じ入るものがあった。


それは事情を知らない部外者からすれば何でもないたった20分かもしれないけれど、これだけの熱量でこの日を願って実現させたファン達にとっては、人生のハイライトに刻まれるような特別な20分で、これから先の未来で2023夏を振り返った時にとびきりの美酒のように何度でも味わいたい思い出になるのだろうと思った。

そうして盛り上がるファンとメンバーの光景を熱に浮かされながら見ていると、バチュンが今年の勝負曲として磨き上げてきた夏曲『真夏のユーレイ!』のイントロが流れ出し、会場のボルテージは更に上がった。

その生の景色には、決して映像には残らない熱気、日差し、爆音、汗…と色んな要素が混ざり合っていて、暑さに思考を奪われる夏フェスという特別な空間だからこそ、その場にいる全員が過去への悔いも未来への憂いも完全に忘れて、今この瞬間だけに心酔する魔法のような時間が流れていた。


そうして熱狂のままにバチュンのライブは終了。


最後のMCで言った『私達がこの夏の主役、Merry BAD TUNE.です!』という一見クサいフレーズも、今までの過程を経て辿り着いたこのメインステージで堂々とライブをやり切って言うからこその説得力があって素直に格好良いと思った。


何より6人にこの素晴らしいステージをプレゼントした熱いファンの人達に、外様ながら心からの拍手を送りたい。



北の天使に目を奪われて


バチュンのライブを観た後はすぐ隣の特典会エリアへ移動。


TIF初出場ながらここまで快進撃を続けるコミッキュオンのメンバーを賞賛に、そして他にもいくつかお目当てもあり、休む間もなくスタコラ向かった。


到着後、引き続き容赦ない日照りにケバブ肉の気持ちを味わいつつ入場列の最後尾に付く。


そして持ち物検査所で日焼け止めスプレーを預けたりしつつ、どうにか特典会エリア内に入場。


もちろん僕がまっすぐ向かったのはコミッキュオンの特典会ブース…ではなく、ひと夏の思い出が生まれる紳士の社交場「TOKYO GRAVURE IDOL FESTIVAL」ブースだった。

この通称TGIFについてはもはや説明するのもヤボなのだけど、このnoteの構成上ここでしっかり記載しておかないといけないので言葉を尽くして詳細に書くと「水着のアイドルとチェキが撮れるめちゃくちゃ楽しい所(偏差値3)」である。


このTGIF企画は各フェスで名前を変えつつ存続してきたもので、かくいう自分も2017年から折に触れて参加している人生のセーブポイントのような神現場だった。


そんなTGIFがコロナによる制限を越えて「リアル対面2ショ」という完全な形で帰ってきたこともあり、自然と今までの思い出が浮かび感慨深い気持ちになった。


まっさらな瞳で推しの晴れ舞台を見に夏フェスへ訪れる若人ヲタクを横目に、「水着の女の子とチェキが撮りたい」というある種、地球上で最も純粋な欲望を燃やしたおじさん達が、真夏の酷暑のなか始発に乗って会場入りし、早朝から滝汗を流して長蛇の列を作るのである。


その光景には「COOL JAPAN」なんてフレーズでは収まらない凄味があり、直前でお目当ての子の券が売り切れたヲタクのリアルに膝から崩れ落ちる姿、そして直後「ここまで来たんだから誰でもいいから水着の女の子とチェキを撮る…!」という潔いまでの切り替えに生命力の美を感じては、何度感動の涙に頬を濡らしたか分からない。


ただ先述の通り、自分もこのTGIFへの参加は1回や2回じゃない。


なので「誰でもいいから水着の子とチェキを撮りたい!」などというシャバ僧の季節はとっくに過ぎており、「もし自分の感性にビビっとくる子がいたら考えようかな…」と、余裕ある大人のスタンスで事前発表された参加者リストを目を皿にして見ていたのだった。


しかし運命と運営はイタズラである。


こうして軽い気持ちで血眼になって見漁っていた参加者リストをキッカケに、僕は今夏どうしてもお会いしたい方を見つけた。


それが北の天使、信野樹奈ちゃんだった。



ザっと調べたところ、北海道を拠点にライブアイドル活動をしつつ、個人でのグラビア活動も精力的に行っているらしい彼女。



単純にビジュがぐぅ好みかつ、スレンダーなのにスタイルが良く、数々のえちカワ水着を決して下品にならない健康美で見事に着こなす様を見て、僕の中の長渕火山が「やるなら今しかねぇ」と噴火した。


そんな経緯から真っ先に訪れたTGIFブースで香盤表を確認。


チケットサイトでの事前購入制だった今回のTGIFながら、現地での当日券販売も行っていると聞き、時間的に回せるか分からず事前購入していなかった自分もとりあえず当日券の有無を見に来たという経緯だった。


お目当ての信野さんは(15:00~15:30)と(17:00~17:30)の2部に参加、かつ当日券はどちらの部も販売しており拳を強く握りしめた。


そうして安心してから、改めてコミッキュオンの特典会ブースへ悠々と向かった。


雨中でLa Ta Ta


今さっきまでTGIFを物色していた事などおくびにも出さず、平然とした顔でコミッキュオンの特典会ブースに到着すると、同じく今日の5人の大健闘を讃えようと多くのファンが集まっていた。



普段は推しメン+αしか回らない自分も、さすがにこういう機会なので全メンバーと撮ることに。


【花咲みゆちゃん】

いっぱい練習した煽りがTIFの舞台にも伸び伸び響いていて良かった。

「コミッキュオン初見の友達も皆のライブ見て褒めてたよ!」と伝えると嬉しそうに笑ってくれて(こいつめ~♪)と思った。


【四宮るなちゃん】

ライブはもちろん配信番組でもその天真爛漫さを発揮して素晴らしかったと伝えた。

またこの日の前日に届いたオンファイ動画で、吉川晃司のシンバルキックを頼んだら「シンバルキックのシンバル抜き」が届いたのだけど、『あれどうだった?頑張ったんだよ!』と笑顔で言われたのでサムズアップを返しながら(こいつめ~♪)と思った。




【彩瀬ゆるちゃん】

もはやお馴染みコミッキュオンのアイコンゆるちゃん。

大舞台に物怖じせず自身のフォームを崩さない安定感に信頼が凄かった。

「おじさんは変な応援しかできない病気なんだけど、ゆるちゃんが居てくれて本当に良かったと思ってるよ」と伝えると素直に喜んでくれて(こいつめ~♪)と思った。


【公野舞華ちゃん】

認知もないのに「大喜利と裏回し力を尊敬しています」という斜め上な入りを試みて軽スベりしたので、逃げるように小雨降るテント外へ剥がれた。2マス戻る。


【松永すみなちゃん】

(推しメンにエモいこと言うぞ~)と意気込んで行ったらテンションがおかしくひたすら喋られて、一回も自分のターンが回って来ないまま「じゃあ時間だから剥がれるね!」とヲタクのかぐや姫みたいな事だけ言って剥がれた。5マス戻る。


そうして全員分のチェキを回ったり、顔見知りのヲタクと雑談をしているうちに少しずつ雨が降り始めた。


しかし謎のイケるっしょ精神で雨具の類を一切持参していなかった僕はノーガード戦法で雨を受け続け、少しずつ濡れた犬のような臭気を育てていった。


残る券(いのち)、散る券(いのち)


そのときふと時間を見ると15:40を回っており、ある事に気づく。


「はッ…!!信野樹奈ちゃんのTGIFが!!!」


そう、先ほど当日券の有無だけ確認して満足気にその場を去ったTGIFであったが、コミッキュオン特典会でのあったけぇ雰囲気に落ち着いているうちに、気づくと信野さんの1枠目の締め切りである15:30を過ぎていた。

紐になりたい(二つの意味で)

そしてラストとなる2枠目も17:00~17:30ということで、この後予定されていたコミッキュオンのスカイステージ出番と絶妙に被っている。


それこそ時間だけ見ればライブ後も十数分の猶予はあるが、朝から動き続けて乳酸の溜まったこのワガママボディで、ここから短時間にスカイの天空宮殿を再度上り下りするのはあまりにも現実的じゃなかった。


そのため、少なくともこの時点で信野さんとの逢瀬の道は断たれてしまったが、冷静に考えてヲタクがそこそこの期間ライブを観てきたグループの晴れ舞台と、初対面のアイドルとの水着チェキを脳内で天秤にかけているとバレたら事案でしかないので、そこは全力で平静を装いつつ、信野さんとのチェキは次なる機会を待とうと気持ちを切り替えた。


そうして僕の心の涙と雨が少し落ち着いた頃、コミッキュオンのすぐ近くだったクマリデパートの特典会へ向かった。


【優雨ナコちゃん】

永田さんのSRでおなじみ「ナガタコ~」のポーズ

同じく推している≠MEのナガタコさんこと永田詩央里さんについて「裏で2ショとか撮れないの?」と軽い気持ちで聞いたら、楽屋の違いやステージへの動線事情など物理的に不可能な理由を詳細に教えてくれた。

こうなったら正面から共演するしか道はないので、そのぐらいビッグになってくれ。頼んます。


と、優雨ナコちゃんとチェキって、次にクマリでの推しメンの小田ちゃんに並んでる最中に再度雨足が強くなった。


小田アヤネちゃん


しかし既に牛乳を拭いた雑巾みてぇな状態になっていた僕は(今更なんも変わらんわ)と平然と小田ちゃんのチェキ列に並び続けた。


ただ周囲を見回すと各所のスタッフさんの動きがにわかに騒がしくなっており、いよいよ「何かあったのか?」と疑問に思ったところで、雷警報の発令による全グループの特典会一時中断が宣言された。


かくして僕の順番まであと数人というところで列は全て切られ、場内にいたファン達は全員速やかにエリア外へ退場させられた。


悪魔の囁き


このとき僕は数年前のTIFで同じく雷警報のためライブおよび特典会がストップし、そのまま天候回復と機材復旧に要した時間のロスでいくつかのグループの出番が飛んだことを思い出していた。


そのため「仮にこのまま雷警報が続いたら野外ステージのライブが全て飛び、室内ステージでしかライブができなくなる」と考え、その場合に一気に混み合うことを見越して、数少ない室内ステージの一つ、HEAT GARAGEへと足早に向かった。


その後はTIF公式アカウントのツイート通知をオンにして復旧情報を待ちつつ、ライブ中は空くだろうと踏んでHEAT会場内のトイレへ行ってビショ濡れになったTシャツを着替えて体を拭いた。


こういう所で手を抜くと気付かぬうちに体を冷やして翌日簡単に風邪をひくので、野外ステの復旧状況に応じて次にどんな行動を取るにしても、この空き時間のうちにコンディションを整えることが最優先の急務だった。


そうして態勢を立て直したところで外の様子を見ると次第に晴れ間が覗いていたので、この後のスカイステージで予定されていたコミッキュオンのライブも、もしや実施出来るのでは?と期待した。


しかしその直後、先ほど通知を取ったTIF公式アカウントより雷警報と機材復旧の事情で中止となるステージの発表があり、残念ながらコミッキュオンのライブも時間の都合で無くなってしまった。

一瞬でも「イケるか?」と思ってしまった分、この発表には大きなため息が出たし、メンバーのこの日に向けた頑張りを見てきたこともあり、心から残念で仕方なかった。


気落ちしつつ、すっかり白紙になってしまったマイタイテを再確認し次にどのステージに向かうか考える。


ふと時計を見ると時間は17時前。


と、そこであることに気付く。


「TGIF…行けんじゃね?」


君たちはどうチェキるか


これを読んでいるそこのあなた、ぜひ胸に手を当てて考えてみて欲しい。


応援しているグループの大事なライブが直前で中止になり、号泣するメンバーの顔が容易に思い浮かぶ状態で(だけど時間的にTGIFに行ける…!)と気づいてしまったヲタクの複雑な胸中を。


もちろん「ライブ中止」と決まってしまったことは仕方ない。


いくら泣いてもそれは覆らないので、演者も客も今から取りうる選択肢の中で最良の道を見つけるしかない。


それで言えばもちろん、決まってしまったことを嘆いてこのままここで落ち込んでいるより、潔く切り替えてTGIFに行く選択が何より正しい。


ただ、ただである。


再三言うが、推しメン含め推しグループのメンバーがすぐ裏でギャン泣きしているであろう時に、自分だけ利根川より鼻の下伸ばして水着の女の子とニッコニコでチェキを撮るというのはヲタク的にというより、人間的にどうなのか。


「喪に服す」ではないが、さすがにこの状況でスパっと切り替えて他所で楽しくやるヲタクのムーブを観測したら推しメンはどう思うだろうか。


そんな事を考えると次第に気持ちが冷静になり、自分のことよりもまずメンバー達のことを考えなければと思い直した。


考えてみれば、信野さんとの初チェキはまた後日でも撮れる。


それより今は、とっさのトラブルに悲しんでいるコミッキュオンの5人の気持ちに寄り添うのが在るべきヲタクの姿じゃないのか。


…なんて思っていた時代が僕にもありました。

#今日も指がブス


風雲キュオンを告げる


数分前。


かくして「それはそれ脳」を全開にした僕は平然と信野さんとのTGIFに臨むべく、再開した特典会エリアに舞い戻った。



濡れたTシャツも着替え、空いたペットボトルも捨て、更に重要な決断も終えた今、思考も体も羽根のように軽く、飛ぶように会場へ向かった。


するとその入場列で同じくコミッキュオンを応援している友人と出くわしたので、自然と合流して一緒に最後尾に着く。


そして何の気なしに「篠岡さんもコミッキュオン目当てで来たんですか?」と聞かれたので、(ん?コミッキュオンの特典会ならさっき終わったはずだが?)と思いつつ、疲労もあってか正直に「いや、オレはTGIF行こうと戻って来たんだけど…」と言うと途端に『オイお前マジか』と詰められた。


聞くとどうやら自分が少しTwitterから目を離した隙に、コミッキュオンの公式アカから、ライブ中止の代替措置として無料の囲み写メ会を行うと発表があったらしい。


その情報を得て、落ち込むメンバーを少しでも励まそうと特典会エリアに戻って来た模範的ヲタクの友人に対して、僕はアホ面で「いや、オレはTGIF行こうと戻って来たんだけど…」などとバカ正直に言ったワケである。そりゃ詰められるわ。


それを受けて僕は向こう3年分の/(^o^)\ナンテコッタイを叫びながら、より一層複雑になった胸中で特典会エリア内に再入場し、半分脳死の状態でひとまず信野さんのTGIF当日券を抑えた、というのが先ほどまでの経緯。


しかし既にほいけんたよりカラダが夏になっている僕は今さら止まれない。


そうして勢いのまま手にした券を、TGIF入場口に立っていた優しそうな警備員さんに見せ、簡単なやり取りの後ついに僕は数年ぶりに聖域に足を踏み入れた。


世界平和とは


仕切りで囲まれたそのエリア内に入った瞬間、神経が一気に研ぎ澄まされていくのが分かった。


エリアの外周を囲むように水着のアイドルがチェキ会を行っていたその光景を見た僕は、劇場版BECKの歌唱シーンみたいな感覚を味わいながら、朝から続いたハードワークの疲労が一気に消えていくのを感じていた。


辺りを見ると水着のアイドルを前にどのヲタクもありえん笑顔をしており、その景色は一言で言うと「世界平和」そのもので、朝から各所でちょいちょい見ていた醜いヲタクの小競り合いが別世界のことのように思えた。


そうして感動に震えつつ辺りを見回すと、ようやく待望の信野さんを見つけて即列に並ぶ。


色白な肌によく似合う爽やかな白ビキニがめちゃんこ素敵で、ニッコニコでチェキを撮った。


凡ピースは平和と緊張の象徴です。

そうして僕の夏の最高到達点ことTGIFは終わり、後ろ髪をむしり取られる思いを感じながら特設エリアを去ったのだった。


以上、これが僕のTIF2023でした。


ご清聴ありがとうございました【FIN】


ヲタクは時に役者のように


…と、ここでこのnoteを終われたらどれだけ良かっただろう。


さんざ自分だけお楽しみですっかり忘れていたところだが、TGIFエリアを出てすぐ近くの特典会ブースでは、ついさっき大事なスカイステージの出番が飛んで失意に沈んでいるであろう推しグループ・コミッキュオンが、ライブ中止の代替措置の無料写メ会をやっているのである。


さすがにこれで行かないのは不自然だよなと思い現地に行ってみると、明らかにギャン泣きした直後であろうメンバー5人が、気丈に振舞いながら励ましに来たヲタク一人一人と真摯に話をしており、自分のテンションの場違いさにさっきとは別の意味で劇場版BECKになった。

Don't cry baby…Don't cry baby…(シルバーの腕時計)

しかしほどなくして知り合いに促され、結局僕は写メ会の列についた。


列の先頭を眺めると、どうやら落ち込んでいるメンバー5人をヲタクが思い思いのやり方で元気づけている様子が見えた。


真面目に励ます人、一緒に悲しんであげる人、あえてふざけてメンバーを明るくしようと努めている人。


一人一人が本当にコミッキュオンのことが大好きだからこそできる振る舞いをしていて、それを見ながら僕は内心(俺さっきまで水着の女の子とチェキ撮ってたんだよな…)と思った。


そうこうしてる間に僕の順番が来た。


写メ会は中央に置かれた椅子にヲタクが座り、その周りをメンバー5人が囲んでくれるというものだった。


そして僕の顔を見た途端、推しメンの松永すみなちゃんが『あ、じゃあ私となり行くね!』と、いっちょ前に「自分のヲタクが来た時の推しメンムーブ」をカマしてきたので(なるほどね…)と思いつつ、けれど同時に(俺さっきまで水着の女の子とチェキ撮ってたんだよな…)とも思った。

そうして写真を撮りメンバーの方を振り返ると、なにやら5人が「校長先生の一言」ならぬ「ヲタクの一言」を待っている空気を出していた。


この時点で僕は(さっきの今だし、マジで言える言葉も口もないな)と思った。


なぜならさっきまで水着の女の子とチェキを撮っていたわけだから!!!(大声)


けれど人間の慣れとは恐ろしいもので、これまで何百回と重ねてきた特典会の経験で培われた「ひとまずその場の会話をそれっぽく成立させる」というスキルが自然と発揮され、気づくと僕はすごく良い事を言っていた。


「今よりもっと人気になったら、来年はもっと大きなステージを任されると思うから、その時またここに連れてきてください。これからも期待してます。」


正直言って(決まった…!)と思ったし、メンバー5人にも少なからず響いていることが分かった。


中には涙腺を緩ませる子もいれば、静かに頷いてくれた子、早くも来年に向けて闘志を燃やしている子…とそのリアクションは様々ながら、メンバー5人が僕の言葉を正面から受け取ってくれたようで嬉しかった。


しかし、僕はさっきまで水着の女の子とチェキを撮っていたのだった。


太陽さんさんナガタコさん


そうして詐欺まがいの写メ会を終えた僕は笑顔でメンバーに手を振ってから会場を出て、再度お隣のメインステージであるHOTへ。


次のお目当ては推しメンのナガタコさんこと永田詩央里さんが所属する≠ME。

まぁHOTのステージ前に着いた時点でお察しの通りエリア内は親の仇ぐらい人数がいたので、秒で中に分け入ることを諦めて再度エリア手前の最後方からステージを見ることに。


ライブが始まると遠方ながらこの世の美をそのまま束ねたようなポニテを揺らしてキレキレのダンスを踊るナガタコさんを視界に捉え、そのありがたいご尊顔に手を合わせた。


そして個人の活動休止期間中に発表された都合でナガタコさんがMVに出演していない「はにかみショート」が流れた瞬間、これまでこの曲の中にいなかったはずのナガタコさんがライブで歌い踊っている姿を見て、幼少期に海外へ引っ越した幼馴染がめちゃめちゃ綺麗になって帰ってきたような錯覚に陥った。


あとは「天使は何処へ」のダンスブレイクを生で観られた時点でお腹いっぱいだなと噛み締めつつ、全曲でイントロ開始から大盛り上がりを作り会場を魅了するノイミーの人気を目の当たりにして、これがメインステージを任されるグループの説得力だよなあとしみじみ思った。

ナガタコさん、顔とパフォと人柄で素晴らしさが渋滞してるの凄すぎる


小田ちゃんの桜ターン


ノイミーの後はクマリデパートのライブを観に再度HEATへ。


ある狙いから上手側より入場すると、ちょうど転換のタイミングで思ったより前方の良い位置に入れた。


ライブ開始後は久々に浴びた『極LOVE浄土』に高まったり、初お披露目の新曲を聞いて心の髭男爵が「いや『ちゅるサマ!』やないか~い」とツッコんだりしつつ愉快に進行。

そして新曲『永遠サマー』のアウトロが引いた直後、メンバーがとったポーズである曲を予感、そこへ流れたイントロで確信に変わって思わず少し飛び上がる。


それは僕の大好きな曲『サクラになっちゃうよ!』だった。

この曲は春の情緒漂うテイスト/歌詞/歌唱はもちろん、推しメンの小田ちゃんの美しいターンをじっくり見られる点が特に大好きだった。


ゆうて僕自身クマリについては最近とんとご無沙汰だったので、そんな偉そうに知った口も聞けないのだけど、一応少し前からグループを見ていた分、元々ダンスが得意ではなかった小田ちゃんが、地道に努力して磨き上げたスキルの粋が「ターン」という最小単位の基礎動作に凝縮されている感激が大きくて、何度見ても息を飲んでしまう。


特にこの『サクラになっちゃうよ!』でサビ1回につき1度だけ見られる「桜ターン」については、左足の踵を軸に右半身を振って巻き込むように回るのだけど、ターン前の指差しの振付から勢いをつけてのターン、そして一回転して止まった瞬間に足・膝・指・目線の全ての角度がピタリと合って、そのままシームレスに指差しレスに繋がる作りが芸術的だと思うし、それを毎回1ミリもズレない完璧な動作でステージ上に再現する小田ちゃんを心から凄いなと思い視線が釘付けになる。


それは当日の舞台上で数えればたった1回や2回のターンなのだろうけど、あれだけの完成度を安定させるのに果たしてこれまで何千回、何万回ターンしてきたのだろうと思うし、決してファンからは見えないその蓄積の上に今日の1回や2回の美し過ぎるターンがあると思うと、陳腐な表現になるがやはり感動する。


「本当にダンスが上手い人は1万回回ったら1万回体が全く同じ軌道を通って動く」と聞いたことがあるけれど、小田ちゃんの桜ターンはそれに近い物言わぬ説得力に溢れていて、このターンを近くで見るためだけに上手側に位置取って本当に良かったと噛み締めた。


最後のシャトルラン登山


HEATでのクマリのライブを観た後は、同じくクマリのライブがこのあとスカイであるので早々にZeppを離脱して移動。


もはやこの日何度目か覚えていないスカイ登山へ向かった。


途中でTIF名物“久々に会うヲタ友”と偶然合流し、「まだ他界してなかったんか!さっさとヲタ卒しちまえ!」という毒蝮的なハートフル会話を交わしつつ、一緒にスカイの頂を目指すことに。

なかなか進まないスカイ入場列での待機中も「最近はどこの現場行ってんすか?」「今日はどんな感じで回ってたんですか?」と、親戚の集まりでいう「大きくなったわね~」よりベタな会話を楽しんでいるうちに愉快に時間が溶けて列も進みだした。

途中、スカイに向かうエレベーターにすし詰めにされた際、満員のエレベーター内でも普通にベラベラ友達と喋り、あわよくば偶然居合わせた他のヲタクから笑いを取ろうとしていた若いヲタク数人を一瞥して「エレベーター内で喋んなや」以外の感情を失っていると無事に最上階に到着。


テンションが下がってもエレベーターは上がるから偉い。


そんなん言いつつ、既に悲鳴を上げてる両脚に最後の喝を入れ、見晴らしの良い階段地獄に飛び込んだ。


思えばアイドルのレス以外ほぼ何も食わずに丸一日動き続けてきた本日。


当然足腰はとっくに限界だったが、共にスカイを目指す友人数名と一緒に登っていたからこそ「苦しいのは俺一人じゃない!」と思えて頑張れたし、そういえばレギュが修羅だった某現場に通っていた頃も、同時期に同じレベルでハマっていた友人の存在が無駄に当時の僕を勇気づけ、戦略的撤退のタイミングを遅らせたことを回想して(ろくな思い出がねぇ…)とため息をついた。


そんなムダ口を叩いてるうちにこのnoteは17,000字を突破したし、疲労困憊の僕はようやくこの日最後の会場となるスカイステージに再び辿り着いた。


スカイどうですかい?!


いつか絶対にイジりたかったツイートを章タイトルにできて安心したところで、再度クマリデパートのライブが始まった。


まずは直近の代表曲『2060年チェリーブロッサムの旅』を歌い、スカイ登頂で半分膝がやられているファンを一気に笑顔にすると、同じく最新アルバムから『宇宙の果てで恋をした』を披露。


伸びやかな曲調がお台場の夜空に融和して更にファンを魅了する。



そして最後に披露されたのは、この数日間での全てのアイドルとファンの出会いを喜び讃えるような意趣を感じた『アンサー!!』。


メンバー個人による企画コーナーを含めると、この数日で実に多くのステージに上がったクマリだが、そんな2023年のTIFラストを飾るのがこの曲であることの説得力と安心感がとても大きくて、実に満ち足りた気持ちで最後まで惚れ惚れとライブを観ていた。


こうしてクマリのスカイ出番は大満足の出来栄えで終了。

そして僕個人のTIFはこの後ukka→白キャンとスカイステージのライブを最後まで見て終了となった。


謎に食わず嫌いしていたukkaがライブ観たら良質なシティポップを演ってて、楽しみつつ内心土下座したり、白キャン出番で女性ファンの多さに驚いていたら、小野寺梓さんのアサルトライフルのようなレスを喰らってノンアル酩酊したりした。

やっぱり何も考えずとも、とりあえず現場行ってみれば発見が多いね(学び)

さいごに


そんなこんなで終盤かなり駆け足でしたが、僕のTIF2023振り返りでございました。


行く前は「グループ選出のセンスねぇな」とか「タイテおかしいだろ?」とか「賞レースやりすぎだろ?」とか散々文句言っていたけど、いざ蓋開けたら疲労で歩き方がMCハマーになるまで楽しんだ嬉し恥ずかし中年でした。


はっきり言って10年代TIFの「地上波グループに対抗する為の中小グループの見本市」といった趣は完全になくなり、今や大手を含め事務所絡みの政治やコネを感じざるを得ない選出も当たり前の光景となりましたが、それでも引き続きTIFが日本のライブアイドルの大きな目標の一つであることは間違いなく、それは高校球児にとっての甲子園のように「それがあるから頑張れる」という大きな夢であることは変わりないと思います。

そんなTIFを、コロナでめちゃくちゃになって以降の時代にもう一度イチから作り上げて再生させてくれた全スタッフさんと出演アイドルの皆さんにお礼を言いたいです。

本当にありがとうございました。

途中で書いた天災によるトラブル含め、今年悔しい思いをしたグループやファンはその分来年に何倍も良い思い出ができますように。

そして、もちろん今年良い思い出を作れたグループやファンの皆様も、これからもっと良い出来事がありますように。

改めて、ここまで本当に冗長な駄文にお付き合いくださりありがとうございました。

それでは長くなりましたが最後にこれだけ言って締めようと思います。







@JAMもよろしくね!!!

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